【エピソード2】グルテンの罠〜ねっとねとの大惨事〜

エピソード

Scene 1:情熱の「こねすぎ」注意報

夜明け前の厨房。カケルは、サクサクが命の「タルト生地」作りに燃えていました。

カケル
カケル

マリさん! 見ててください、僕のこの情熱! こねればこねるほど、美味しくなる気がするんですっ!

マリ
マリ

……ちょっと、カケル。それパン生地じゃないのよ? そんなに力任せに振り回したら……

カケルは聞く耳を持ちません。情熱が空回りして、全身粉まみれ。さらに、必死すぎてかいた汗がボウルの小麦粉と最悪の出会いを果たしてしまいます。

Scene 2:クモの巣に捕まったパティシエ

数分後。そこには、作業台と一体化したカケルの姿がありました。

カケル
カケル

ひ、ひえぇぇ! な、なんですかこれ!? 手が、手が作業台から離れない! 動けば動くほど、糸を引いてねっとねとになるんです〜!

マリ
マリ

言わんこっちゃないわね。あんたのその余計な「情熱(こねすぎ)」が、小麦粉の中に眠っていた怪物を目覚めさせたのよ。

カケルはもはや、自分自身が巨大なタルト生地の一部になったかのように、ねっとねとのスパイダー状態に。

Scene 3:なもの「スイーツ・メモ」:グルテンの正体💡

なも
なも

ここが今回のポイントですねっ!💡 小麦粉には「グリアジン」と「グルテニン」という2つのタンパク質が入っています。これらが水と合わさって、強く「こねる」ことで結びつき、「グルテン」という網目構造に進化するんですね。
パンには欠かせない弾力ですが、サクサクさせたいタルトにとっては、この「ねばねば」と「強い弾力」は天敵!こねすぎると、焼き上がりがカチカチに硬くなったり、焼いている間に縮んだりしちゃうんですよっ💡

Scene 4:オチ(?):休息が必要なのは……

ようやくマリに救出され、お湯でねとねとを洗い流したカケルですが……。

ルヴァン
ルヴァン

カケルよ、生地には「休息」が必要なんじゃ。こねるのをやめ、静かに寝かせることで、グルテンの緊張が解け、美味しい食感が生まれるのじゃよ。

カケル
カケル

……休息、ですね。わかりました。僕もこのねっとねとのショックで、心がグルテン並みにガチガチなので……今すぐ冷蔵庫(の横)で一晩寝かせてください……。

マリ
マリ

あんたは寝てないで、その作業台についたグルテンの塊、全部綺麗に掃除しなさいっ!

Scene 5:焼き上がった「凶器」の試食

掃除を終えたカケルは、諦めきれずに例の生地を密かにオーブンで焼いてみました。

カケル
カケル

……ふふふ。あんなに情熱を込めたんだ。焼けばきっと、力強い美味しさが宿っているはず……!

しかし、出てきたのはカチカチに縮んだ茶色い塊。カケルはそれを一口、かじってみました。

カケル
カケル

ゴリッ……! 痛たっ! な、なんですかこれ!? サクサクどころか、石鹸かレンガを噛んでるみたいだ! “同じ配合なのに”全然お店のタルトと違う……!

Scene 6:理想との絶望的なギャップ

あまりの硬さに顎を押さえるカケルの前に、マリがお店のショーケースから本物のタルトを持ってきました。

マリ
マリ

……当然ね。あんたが作ったのは、タルトの形をした「ただの硬い小麦粉の塊」よ。お店のと食べ比べてみなさい。

カケル
カケル

サクッ……ホロホロ……。あぁ、これだよ……。口の中で優しく崩れて、バターの香りが広がる。僕のガリガリしたやつとは、別の生き物みたいだ。どうして同じ材料なのに、こんなに差が出るんですか……?

Scene 7:なもの「スイーツ・メモ」:油脂が守るサクサクの壁💡

なも
なも

ここが「美味しさの分かれ道」なんですね💡 タルトがサクサクなのは、バターなどの「油脂」が小麦粉のタンパク質をコーティングして、グルテンが繋がるのを邪魔してくれるからなんです。これを「ショートニング性」と呼びます。
でもカケルくんは、水分(汗)と一緒に力一杯こねちゃいました。油脂の壁を突き破ってグルテンがガチガチに結びついた結果、岩のような構造になっちゃったんですね。「美味しさ」は、実は「グルテンをどれだけ作らせないか」という引き算の美学なんですよっ💡

Next:タルトのサクサクの秘密

ガックリと肩を落とすカケル。マリはそんなカケルを、少し楽しげに見つめて口角を上げました。

ルヴァン
ルヴァン

カケルよ。パンは「力」の芸術だが、タルトは「繊細な拒絶」の芸術なんじゃ。油脂がグルテンを拒むからこそ、あの儚い食感が生まれるのじゃよ。

カケル
カケル

拒絶の芸術……。マリさん、僕、もっと知りたいです。どうすれば、あの油脂の魔法を使いこなせるんですか!?

マリ
マリ

ふふっ。……いいわよ。粉とバターが、どうやってその「サクサクの絆」を作っているのか……その深すぎる秘密、知りたい?

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