第4部 製品理論編
製パンの理論
はじめに
パンは、菓子とは根本的に異なる原理で作られる。菓子が「膨張剤や気泡で膨らませる」のに対し、パンは「生きた微生物が発生させるガス」で膨らむ。そして菓子がグルテンをできるだけ抑えようとするのに対し、パンはグルテンを積極的に育て、その網目でガスを閉じ込める。つまり製パンとは、グルテンという骨格を作り、イーストという生き物を管理する技術である。本章では、パンの主原料から発酵の理論、製造工程、各種製法までを体系的に解説する。
1. パンの主原料
パンの基本材料は、小麦粉・イースト・水・食塩の4つである。これだけあればパンは作れる。この4つを「主原料」、それ以外の砂糖・油脂・卵・乳製品などを「副材料」と呼ぶ。
1-1. 小麦粉
主に強力粉を使用する。グルテンを多く含み、発酵で発生した炭酸ガスを保持できるためである(第2章参照)。
フランスパンには、グルテンの量と質がやや異なる「フランスパン用粉(準強力粉)」が用いられる。
1-2. イースト(パン酵母)
働き:糖質を分解して炭酸ガスとアルコールを発生させる。同時に有機酸やエステル類を生成し、パン特有の風味を作る。
生イースト:水分約70%。1gあたり約150億の細胞を含む。風味がよく、発酵力が穏やか。
ドライイースト:水分約5%。使用量は生イーストの1/2量。予備発酵(ぬるま湯で戻す)が必要なタイプもある。
インスタントドライイースト(IDY):粉に直接混ぜられる。使用量はさらに少ない。
1-3. 水
役割:グルテンの形成に不可欠。でんぷんの糊化に必要。イーストの活動の場となる。生地温度の調整にも用いる。
硬度の影響:適度な硬度(100〜200mg/L程度)の水が適する。軟水すぎるとグルテンが軟らかくなりすぎ、硬水すぎるとグルテンが締まりすぎて発酵が遅れる。
1-4. 食塩
役割(第13章参照):
- グルテンを引き締め、生地に弾力を与える
- イーストの活動を抑制し、発酵を安定させる
- 味を整える
- 雑菌の繁殖を抑える
食塩を入れ忘れると、生地がだれて腰がなくなり、発酵が進みすぎて風味も損なわれる。
1-5. 副材料
砂糖:イーストの栄養源となり発酵を促進する(2〜3%)。ただし10%以上では浸透圧により発酵が抑制される。焼き色、風味、保水性にも寄与する。
油脂:生地の伸展性を高め、ボリュームを増す。老化を遅らせる。クロワッサンなどでは折り込み用(ロールイン油脂)として使う。
卵:風味とコク、色を与える。乳化性が生地をなめらかにする。
脱脂粉乳:風味と焼き色を向上させ、生地の伸展性を高める。
モルト(モルトエキス):発芽大麦を糖化・濃縮した麦芽糖。糖が少ないハード系パンで、イーストの栄養源となり焼き色を助ける。
2. 発酵の理論
2-1. 発酵で何が起こるか
イーストは生地中の糖を分解し、以下を生成する。
炭酸ガス(二酸化炭素):グルテンの網目に閉じ込められ、生地を膨らませる。
アルコール(エタノール):焼成中に揮発するが、風味の前駆物質となる。
有機酸・エステル類:パン特有の香りを形成する。
2-2. 自家製酵母種法
市販イーストの代わりに、自ら培養した酵母を使う製法。
| 種類 | 培養材料 |
|---|---|
| サワー種法 | ライ麦+水 |
| 酒種法 | こうじ |
| ホップ種法 | ホップ+馬鈴薯でんぷん |
| 果物種法 | 果実(レーズン、リンゴ等)+水 |
酒種は日本のあんパンの原点である。木村屋の木村安兵衛・英三郎親子が、欧米のイーストが入手困難だった時代に、日本の酒造技術に着目して開発した。
ルヴァン:フランス語で酵母や発酵種を指す。液状のものをルヴァン・リキッドという。
3. 製パンの工程
基本工程は以下の9段階である。
①計量 → ②ミキシング → ③一次発酵(フロアタイム)→ ④パンチ → ⑤分割・丸め → ⑥ベンチタイム → ⑦成形 → ⑧最終発酵(ホイロ)→ ⑨焼成
3-1. ミキシングの6段階
ミキシングは、グルテンを形成・発展させる工程である。生地の状態は以下の6段階で変化する。
| 段階 | 状態 |
|---|---|
| ① つかみ取り | 材料が混ざり始めた状態。生地はべたつき、まとまらない |
| ② 巻付き(水切れ) | 生地がフックに巻き付き、ボウルの水気がなくなる |
| ③ 結合 | グルテンが形成され、生地に弾力が出てくる |
| ④ 最終結合(最終段階) | グルテンが十分に発展。薄い膜が張る(薄膜テスト) |
| ⑤ レットダウン(麩切れ) | こねすぎ。グルテンが切れ始め、生地がだれる |
| ⑥ 破壊 | 完全にグルテンが破壊された状態。もう戻らない |
ミキシングの終点:パンの種類により異なる。
- 食パン・菓子パン:④最終結合まで(しっかりこねる)
- バターロール:油脂投入前は③結合段階まで
- クロワッサン:控えめ(折り込み工程でグルテンが形成されるため)
- リュスティック:1速3分のみ(①つかみ取り段階)
アンダーミキシング:こね不足。ボリュームが出ず、きめが粗くなる。
オーバーミキシング:こねすぎ。ボリューム過多で味が淡白になり、生地がだれる。
3-2. こね上げ温度
ミキシング終了時の生地温度。パンの種類により目標値が異なる。
- 一般的な食パン・菓子パン:26〜28℃
- フランスパン:23〜24℃
- クロワッサン・ブリオッシュ:24℃
こね上げ温度は、水温で調整する。夏は冷水や氷を、冬はぬるま湯を使う。
3-3. 一次発酵(フロアタイム)
イーストが活動し、炭酸ガスを発生させる工程。同時にグルテンが熟成し、伸展性が向上する。
標準的な条件:温度28〜30℃、湿度75%程度。
フィンガーテスト:指に粉をつけて生地に差し込み、発酵度合いを確認する。
- 穴がそのまま残る → 発酵完了
- 穴が塞がる → 発酵不足
- 生地が縮む・しぼむ → 過発酵
3-4. パンチ(ガス抜き)
発酵途中で生地を押したり折りたたんだりする工程。
4つの目的:
① 溜まった炭酸ガスを放出する(ガスが多すぎるとイーストの活動が鈍る)
② 新しい酸素を取り込む
③ 気泡を均一化する
④ 生地の温度を均一にし、発酵を促進する
菓子パンのように砂糖が多く生地の力が弱くなりやすいものは、パンチで補強する。逆に、素材の風味を活かしたいバターロールなどはノーパンチ発酵とすることもある。
3-5. 分割・丸め
生地を製品ごとの重量に分割し、丸めて表面に張りを持たせる。
型生地比容積の計算:
生地重量 = 型容積 ÷ 型生地比容積
例えば1.5斤型(容積約2,570cm³)で型生地比容積3.9なら、生地重量は約660g(220g×3個)となる。
3-6. ベンチタイム
分割・丸めで引き締まった生地を休ませる時間。グルテンが緩み、次の成形がしやすくなる。
目安:フランスパン20〜30分、菓子パン10〜20分。
3-7. 成形
製品の形に成形する。ロール型、俵型、棒状、リング状など。
3-8. 最終発酵(ホイロ)
成形した生地を、焼成前に最後に発酵させる工程。
標準的な条件:温度35〜38℃、湿度75〜85%。
発酵の目安:型の70〜80%まで膨らんだら窯入れする。
特殊なホイロ条件:
- クロワッサン・ブリオッシュ:30℃以下(バターの溶解温度以下。溶け出すと製品がぱさつく)
- カレーパン・メロンパン:乾ホイロ(湿度が低い)。カレーパンは吸油量を減らすため、メロンパンは表面のひび割れ模様を出すため
3-9. 焼成
窯伸び(オーブンスプリング):焼成初期にガスが急激に膨張し、生地が大きく膨らむ現象。
焼減率:焼成により水分が蒸発して重量が減少する割合(%)。
ショック:食パンなど型焼きのパンは、窯出し直後に型ごと台に落として衝撃を与える。これにより腰折れ(ケービング)を防ぐ。焼き上がりの内部構造を固定する効果がある。
4. スチームの理論
ハード系パンを焼成するとき、庫内に水蒸気を充満させる。
4-1. スチームの4つの効果
① 水蒸気が冷たい生地表面で水滴となり、表面がどろどろの状態になる → 表面の焼成を遅らせ、内部の膨張を助長する
② 熱が対流し、均一に火が入る
③ クラスト(外皮)に光沢を与え、外観が美しくなる
④ きめ細かいクラストを形成する
4-2. スチームが不要な場合
油脂を5%以上配合したパンにスチームは不要である。
油脂が表面の乾燥を防ぐため、スチームの必要がない。むしろ油脂の多いパンにスチームを入れると、膨らみすぎて後で縮んでしまう。
「スチームは表面を早く焼き固めるため」というのは誤りである。 目的は逆で、表面の焼成を遅らせるためである。
5. 製法の種類
5-1. 直捏法(ストレート法)
全材料を一度にミキシングする製法。
長所:工程が単純。発酵の香りがよく、素材の特徴が出る。
短所:ソフトさにやや欠ける。作業に長時間かかる場合がある。
5-2. 中種法
粉の50%以上を先にミキシングして発酵させ(中種)、後から残りの材料を加える製法。
長所:直捏法よりソフトでボリュームがあり、老化が遅い。大量生産に向く。
短所:工程が複雑。時間がかかる。
中種のポイント:
- こねすぎるとグルテンが熟成を妨げ、酸味が出る
- 中種の見極め=網目が粗く、香りが多少酸味を帯びた状態
- 70%中種なら、粉の70%を中種に使う
加糖中種法:砂糖の多い菓子パン生地では、中種に少し砂糖を加えて発酵させる。これによりイーストに力をつけ、スムーズな発酵につながる。
5-3. 発酵種法(生地種法)
前日に仕込んだ発酵生地を30%程度加える製法。製造時間を短縮し、老化を遅らせる。
5-4. 液種法(ポーリッシュ法)
粉と水を同量で合わせた液種を30%程度使用する製法。
特徴:伸展性・作業性がよい。ボリュームが大きく日持ちがよいが、味は淡白になる。
5-5. 冷蔵発酵法(リターダー法)
生地を低温(0〜2℃)で15〜20時間発酵させる製法。
利点:作業時間の分散ができる。生地のべたつきが抑えられる。リッチな生地(ブリオッシュ、クロワッサン、デニッシュ)では腰が強くなり作業性が向上する。
5-6. オートリーズ
粉と水だけを混ぜて30分程度放置する前処理。小麦粉中の酵素が働き、生地の伸展性が向上する。
効果:窯伸びが大きくなり、火通りのよい製品になる。フランスパンで多用される。
6. 主なパンの分類
| 分類 | 特徴 | 代表例 |
|---|---|---|
| ハード系 | 直焼き。クラストが硬い。リーンな配合 | フランスパン(バゲット等)、カイザーゼンメル |
| 食パン類 | 型焼き。軟らかい | ホワイトブレッド、イギリスパン、パン・ド・ミ |
| ロールパン類 | 小型に成形 | ソフトロール、バターロール |
| 菓子パン類 | 嗜好的要素が強い | あんパン、クリームパン、メロンパン、クロワッサン、ブリオッシュ |
| その他 | 揚げ・蒸し・無発酵パン | ドーナツ、ベーグル、ピタ、ナン |
リーン:油脂や卵が少ない配合。
リッチ:油脂や卵が多い配合。
7. 各国の代表的なパン
| 国 | 代表的なパン |
|---|---|
| フランス | バゲット、バタール、パン・ド・カンパーニュ、クロワッサン、ブリオッシュ、クグロフ |
| ドイツ | プレッツェル、シュトーレン、プンパニッケル |
| イタリア | チャバタ、フォカッチャ、ピッツァ、グリッシーニ、パネトーネ |
| イギリス | スコーン、マフィン、プルマンブレッド |
| アメリカ | テーブルロール、ベーグル、コーンブレッド、ドーナツ |
| インド | チャパティ、ナン、ロティ |
| オーストリア | カイザーゼンメル |
8. 特徴的な製品の理論
クロワッサン
洋菓子のパイ生地とパンの発酵を融合させた製品。温度管理が最重要である。
4つのポイント:
① ミキシングは控えめ(折り込み工程でグルテンが形成されるため)
② ロールイン油脂と生地の硬さを同じにする
③ 生地が冷えた状態で作業する
④ ホイロは油脂の溶解温度以下(バターなら30℃以下)
発祥:ウィーン。現在の折り込み製法はフランスで確立された。
ベーグル
最大の特徴は、焼成前に「ケトリング(ゆでる)」を行うこと。
原理:表面のでんぷんがα化(糊化)して引き締まり、独特のもちもちとした食感になる。
温度:モラセス(糖蜜)入りの湯を80〜90℃に保つ。沸騰させると表面が荒れる。
発祥:ユダヤ。
リュスティック
フランス語で「田舎風の」「素朴な」の意味。パンの原型に近い。
特徴:水分が多く、あまりこねない(1速3分のみ)。成形せず、分割後そのまま焼く。ガスを必要以上に抜かない。
イングリッシュマフィン
水分量が多い生地。表面にコーングリッツを付ける。白焼きなので長時間焼成しない。専用の型(セルクル状)を使い、上に鉄板をのせて膨らみを抑制する。
ブリオッシュ
バターと卵をたっぷり使用したリッチな生地。腰が弱いため、一晩冷却して腰を強め、作業性を向上させる。
ホイロは30℃まで。バターが溶け出すと製品がぱさつく。
9. 日本の菓子パンの歴史
あんパン(1874年・明治7年):銀座木村屋總本店の木村安兵衛・英三郎親子が考案。欧米のイーストが入手困難だったため、日本の酒造技術に着目し酒種(さかだね)を使用した。ケシの実やゴマを付ける。1875年に明治天皇に献上された。
クリームパン(1904年・明治37年):中村屋の相馬愛蔵が、シュークリームをヒントに考案。グローブ型の切り込みは、空気抜きと子どもへのアピールを兼ねている。
メロンパン(1930年代):当初はサンライズという名前だった。格子模様がマスクメロンに似ていることから改名された。メロン生地はバター+砂糖+卵+薄力粉。乾ホイロが望ましい。
カレーパン:日本独特の揚げパン。明治後半〜昭和初期に考案。中のカレーは硬めにする(揚げる途中で飛び出すのを防ぐため)。乾ホイロで吸油量を減らす。
日本のパンの祖:江川太郎左衛門英龍。1842年(天保13年)4月12日、伊豆韮山の代官として、沿岸警備の兵士用の兵糧として「乾パン(兵糧パン)」を焼いた。これにちなみ、毎月12日が「パンの日」、4月12日が「パンの記念日」と制定されている。
なお、日本語の「パン」はポルトガル語の「pão」に由来し、日本で最も古い外来語の一つである。
10. 製パン用語集
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| アンダーミキシング | こね不足 |
| オーバーミキシング | こねすぎ。ボリューム過多で味が淡白に |
| オートリーズ | 粉+水で30分放置し伸展性を向上させる前処理 |
| 窯伸び | 焼成中にガスの膨張で生地が急激に膨らむこと。オーブンスプリング |
| 乾ホイロ | 湿度が低いホイロ。カレーパン・メロンパンに使用 |
| クープ | フランスパン等に入れる切り込み |
| クラスト | パンの外皮(硬い部分) |
| クラム | パンの中身(軟らかい部分) |
| ケトリング | 生地をゆでること。ベーグルの焼成前に行う |
| 腰折れ | 膨張した製品の表面や側面がくぼむこと。ケービング |
| こね上げ温度 | ミキシング終了時の生地温度 |
| 焼減率 | 焼成で水分が蒸発し重量が減少する割合(%) |
| すだち | パン内相にある気泡 |
| 手粉(打ち粉) | くっつかないように使う粉。使いすぎると硬くなる |
| ドウ | 生地のこと |
| パンチ | 発酵中の生地を押す工程。ガス放出→新酸素→気泡均一化→発酵促進 |
| フィリング | 中に入れる詰めもの |
| フィンガーテスト | 指を突き刺して発酵度合いを確認するテスト |
| ベーカーズパーセント | 粉量を100%として他材料の割合を表す。外割とも |
| ベンチタイム | 分割・丸めで引き締まった生地を休ませる時間 |
| ホイロ | 最終発酵。または発酵室 |
| モラセス | 糖蜜。ベーグルのケトリングに使用 |
| モルト | 発芽大麦を糖化・濃縮した麦芽糖。ハード系パンに使用 |
| リーン | 油脂や卵が少ないパン |
| リッチ | 油脂や卵が多いパン |
| リターダー | 冷凍・冷蔵機能を持つホイロ |
| ルヴァン | フランス語で酵母や発酵種 |
| ロールイン油脂 | クロワッサン等の折り込み用油脂 |
| ワンローフ | 400〜500g程度の枕型パン(日本独特の名称) |
試験対策:よくある間違いポイント
試験でよく出る「ひっかけ」の文です。正しいか間違いか、選んでから答えを確かめてください。
Q1スチームはすべてのパンに必要
Q2スチームはパン表面を早く焼き固めるため
Q3ベーカーズパーセントは全材料の合計を100%とする
Q4クラストはパンの中身、クラムは外皮
Q5ケトリングとは生地を冷やすこと
Q6ベーグルのケトリングは沸騰した湯で行う
Q7クロワッサンのホイロ温度は35〜38℃
Q8パンチの目的はガスを抜いてしぼませること
Q9食塩はイーストの発酵を促進する
Q10ドライイーストの使用量は生イーストの2倍
Q11中種はしっかりこねるほどよい
Q12液種法(ポーリッシュ法)は味が濃厚になる
Q13オートリーズは粉と水にイーストを加えて休ませる
Q14窯出し後のショックは製品を傷めるので行わない
Q15あんパンの考案者は中村屋の相馬愛蔵
Q16メロンパンは当初からメロンパンと呼ばれた
Q17型生地比容積の計算式は生地重量×型容積
まとめ
パンは小麦粉・イースト・水・食塩という4つの主原料から成り、イーストが糖を分解して発生させる炭酸ガスを、グルテンの網目が保持することで膨らむ。菓子がグルテンを抑えるのに対し、パンはグルテンを育てる点が根本的に異なる。ミキシングは6段階で進行し、製品に応じて適切な終点を見極める。一次発酵ではイーストの活動とグルテンの熟成が同時に進み、パンチによりガス放出・酸素供給・気泡均一化・発酵促進が図られる。ホイロは35〜38℃・湿度75〜85%が標準だが、バターを多く含むクロワッサンやブリオッシュは30℃以下に抑える。スチームは油脂の少ないハード系にのみ用い、表面の焼成を遅らせて窯伸びを助ける。製法は直捏法(風味重視)、中種法(ソフト・老化遅延)、液種法(作業性)、冷蔵発酵法(時間分散)などがあり、目的に応じて選択される。パンづくりとは、生きた酵母と対話しながら、温度と時間を設計する技術である。

