栄養学 第11章:ライフステージと栄養

第11章

栄養学 第三部 食生活と健康のはなし

ライフステージと栄養

はじめに

人は、母親のおなかの中で育ち、生まれ、成長し、大人になり、やがて年を重ねていく。この一生の流れを、いくつかの時期に分けたものをライフステージという。

体の大きさ、成長の速さ、消化のはたらき、かむ力、必要な栄養素の量は、ライフステージによって大きく変わる。赤ちゃんに大人と同じ食事は与えられないし、高齢者に成長期の子どもと同じ量は必要ない。それぞれの時期の体の特徴を知り、それに合った食事をとることが、一生を健やかに過ごすための基本である。

本章では、妊娠期・授乳期・乳児期・幼児期・学童期・思春期・成人期・高齢期のそれぞれについて、体の特徴、栄養で気をつけること、食事摂取基準(2025年版)の要点を整理する。菓子は、子どもから高齢者まで、あらゆる年代の人が口にするものである。それぞれの年代に合った菓子のあり方も、あわせて考えていこう。

1. 妊娠期

1-1. 体の特徴

妊娠期は、母親の体と、おなかの中の赤ちゃん(胎児)の両方を育てる時期である。食事摂取基準では、妊娠期を次の3つに分けている。

時期期間
初期妊娠13週6日まで
中期妊娠14週0日〜27週6日
後期妊娠28週0日以降
  • 妊娠すると、胎児・胎盤・羊水のほか、母親の血液や子宮、乳房なども増え、体重が増える
  • 血液の量が増えるため、貧血になりやすい
  • 初期には、吐き気や食欲の変化(つわり)が起こることが多い
  • 後期には、大きくなった子宮が胃や腸を圧迫し、一度に食べられる量が減ったり、便秘になったりしやすい

1-2. 体重の増え方の目安

妊娠中の体重は、増えすぎても、増えなさすぎてもよくない。日本産科婦人科学会は、妊娠前の体格に応じて、次のような目安を示している。

妊娠前のBMI体重増加量の目安
18.5未満(低体重)12〜15kg
18.5以上25未満(普通体重)10〜13kg
25以上30未満(肥満1度)7〜10kg
30以上(肥満2度以上)個別に対応(上限5kgまでが目安)

妊娠中の体重の増加が少なすぎると、低出生体重児(出生時の体重が2,500g未満の赤ちゃん)が生まれるリスクが高まる。低出生体重児は、将来、生活習慣病になりやすいことが知られている。若い女性のやせが問題になるのは、このためでもある(第10章参照)。

1-3. 付加量(食事摂取基準2025年版)

妊婦は、ふだんの量に、次の量を付け加えてとる。

栄養素初期中期後期
エネルギー(kcal/日)+50+250+450
たんぱく質(推奨量、g/日)+0+5+25
鉄(推奨量、mg/日)+2.5+8.5+8.5
葉酸(推奨量、μg/日)―+240+240

1-4. 特に気をつける栄養素と食品

葉酸
胎児の脳や脊髄のもとになる神経管は、妊娠のごく初期(妊娠に気づく前)につくられる。葉酸が不足すると、神経管閉鎖障害(二分脊椎など)のリスクが高まる。そのため、妊娠を計画している女性、妊娠の可能性がある女性、妊娠初期の女性は、ふだんの食事に加えて、サプリメントや栄養素を強化した食品から1日400μgの葉酸をとることが望まれる(第5章参照)。

ビタミンA
妊娠初期に、レバーやうなぎ、サプリメントなどからビタミンA(レチノール)をとりすぎると、胎児に奇形が起こるおそれがある。緑黄色野菜のβ-カロテンは、必要な分だけビタミンAに変わるため心配はない。

鉄
血液の量が増え、胎児も鉄をたくわえるため、中期・後期には鉄の必要量が大きく増える。ヘム鉄やビタミンCを意識してとる。

避けるべきもの・控えるもの

対象理由
アルコール胎児の発育や脳に障害を与えるおそれがある(胎児性アルコール・スペクトラム障害)。妊娠中は飲まない
喫煙低出生体重児、早産などの原因になる
カフェインとりすぎに注意する(コーヒー・紅茶・緑茶・エナジードリンクなど)
一部の魚(キンメダイ、メカジキ、クロマグロなど)食物連鎖で水銀がたまりやすいため、食べる量と回数に注意する。ツナ缶など一般的な魚は、ふつうに食べてよい
加熱殺菌していないナチュラルチーズ、生ハム、スモークサーモンリステリア菌に感染するおそれがある。妊婦は感染しやすく、胎児に影響することがある
生肉、加熱不十分な肉トキソプラズマに感染するおそれがある

1-5. 妊娠中に起こりやすい病気

病気内容
妊娠高血圧症候群妊娠中に高血圧になる。母子ともに危険な状態になることがある
妊娠糖尿病妊娠中にはじめて見つかる血糖値の異常(第10章参照)
鉄欠乏性貧血血液の量が増えるため起こりやすい

2. 授乳期

2-1. 体の特徴と付加量

出産後、母親は母乳をつくるために多くのエネルギーと栄養素を使う。

栄養素授乳婦の付加量(食事摂取基準2025年版)
エネルギー+350kcal/日
たんぱく質(推奨量)+20g/日

2-2. 母乳

種類時期特徴
初乳出産後、数日間黄色っぽく、とろりとしている。免疫物質(分泌型IgA、ラクトフェリン)やたんぱく質を多く含み、赤ちゃんを感染症から守る
移行乳初乳から成乳へ変わる時期―
成乳出産後、約10日以降白く、さらりとしている。乳糖・脂質が多く、エネルギーが高い

母乳で育てる利点

  • 赤ちゃんに必要な栄養素が、消化・吸収されやすい形で含まれている
  • 免疫物質を含み、感染症にかかりにくくする
  • 赤ちゃんの将来の肥満や2型糖尿病のリスクを下げるとされる
  • 母子のふれあいを深める
  • 母親の子宮の回復を早める

母乳が出にくいなどの理由で母乳で育てられない場合は、育児用ミルク(乳児用調製粉乳、乳児用調製液状乳=液体ミルク)を使う。育児用ミルクは、母乳の成分に近づけてつくられた特別用途食品である(衛生法規の健康増進法の章を参照)。

授乳中に気をつけること
アルコールやカフェイン、一部の薬は、母乳に移行する。授乳中の飲酒は控え、薬は医師に相談する。

3. 乳児期(0〜1歳)

3-1. 体の特徴

乳児期は、一生のうちで最も成長が速い時期である。

項目成長の目安
体重生まれたときの約3kgが、生後3か月で約2倍、1歳で約3倍
身長生まれたときの約50cmが、1歳で約1.5倍
  • 体重1kgあたりのエネルギーや栄養素の必要量は、大人よりはるかに多い
  • 体の水分の割合が高く(約70〜80%)、体重あたりの水分の出入りも多いため、脱水になりやすい(第6章参照)
  • 消化のはたらきや、腎臓のはたらき、腸内細菌がまだ十分に育っていない

3-2. 離乳

離乳とは、母乳や育児用ミルクだけの栄養から、幼児食に移っていく過程をいう。厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」では、次のような目安を示している。

時期月齢の目安食べ方の目安食べものの固さ
離乳初期生後5〜6か月頃1日1回、なめらかにすりつぶした状態のものを1さじずつポタージュくらい
離乳中期7〜8か月頃1日2回舌でつぶせる固さ(豆腐くらい)
離乳後期9〜11か月頃1日3回歯ぐきでつぶせる固さ(バナナくらい)
離乳完了期12〜18か月頃1日3回+間食1〜2回歯ぐきでかめる固さ(肉だんごくらい)

離乳で気をつけること

  • はちみつは、1歳になるまで与えない(本章3-3参照)
  • 卵は、離乳初期から、固ゆでにした卵黄を少量ずつ与え始めることができる。食物アレルギーを心配して与えるのを遅らせても、アレルギーを予防できるという根拠はない
  • 母乳で育てている場合は、生後6か月頃から鉄が不足しやすい。離乳食で、赤身の魚や肉、レバーなどの鉄を含む食品をとり入れる
  • 牛乳を飲みものとして与えるのは、1歳を過ぎてからにする(鉄不足を防ぐため)。料理に使うのは離乳中期からでよい
  • 果汁を早くから与える必要はない。ガイドでは、果汁の栄養学的な意味は認められていないとされている
  • イオン飲料は基本的に必要ない。多くとりすぎてビタミンB1が不足した例が報告されている
  • 薄味にし、塩分・糖分の多いものは控える

3-3. はちみつと乳児ボツリヌス症

はちみつには、ボツリヌス菌の芽胞(菌が休眠状態になった、熱や乾燥に非常に強い形)が含まれていることがある。

  • 大人は、腸内細菌がしっかり育っているため、芽胞を食べても、腸の中で菌が増えることはない
  • しかし、1歳未満の乳児は、腸内細菌が十分に育っていないため、腸の中で芽胞が発芽して菌が増え、毒素をつくることがある。これを乳児ボツリヌス症という。便秘、元気がない、泣き声が弱い、ミルクの飲みが悪いなどの症状から、呼吸ができなくなることもある
  • ボツリヌス菌の芽胞は、ふつうの加熱では死なない。そのため、はちみつを使って焼いた菓子や、はちみつ入りの飲みもの・加工食品も、1歳未満の乳児には与えてはならない

4. 幼児期(1〜5歳)

4-1. 体の特徴

  • 乳児期ほどではないが、成長は続いており、体重1kgあたりのエネルギーや栄養素の必要量は大人より多い
  • 一方で、胃が小さく、消化のはたらきもまだ未熟なため、一度にたくさん食べられない
  • かむ力、飲み込む力が、少しずつ育っていく時期である
  • 味覚や食習慣の基礎がつくられ、好き嫌い、遊び食い、食べむらが出やすい

4-2. 間食(おやつ)の役割

幼児にとって、間食は「4回目・5回目の食事」であり、3回の食事だけでは足りないエネルギーや栄養素を補う大切な役割がある。

項目目安・ポイント
量1日のエネルギーの10〜20%程度
回数1〜2歳は1日2回(午前と午後)、3〜5歳は1日1回(午後)が目安
時間時間を決めて与える。だらだら食べさせない(むし歯の予防にもなる。第10章参照)
内容いも、果物、乳製品(牛乳・ヨーグルト・チーズ)、おにぎり、パンなど、食事で不足しがちなものを中心に。甘い菓子や清涼飲料は、量を決めて楽しむ

間食は、栄養を補うだけでなく、楽しみや気分転換、家族や友だちとのふれあいの時間でもある。

4-3. 窒息と誤えんに注意する

幼児は、奥歯が生えそろっておらず、かむ力・飲み込む力が未熟なため、食べものがのどに詰まる窒息の事故が起こりやすい。

食品注意
豆やナッツ類(ピーナッツ、アーモンドなど)硬くてかみ砕く必要がある豆やナッツ類は、5歳以下の子どもには食べさせない(消費者庁の注意喚起)。気管に入ると、肺炎などを起こすことがある
ミニトマト、ぶどう丸いまま与えない。4等分するなど、小さく切る
もち、白玉団子小さく切り、よくかんで食べるよう見守る
こんにゃく入りゼリー吸い込むように食べると、のどに詰まりやすい
あめ、ラムネ、丸い形の菓子走りながら、寝転びながら食べさせない

食べるときは、座って、少量ずつ、よくかんで食べるよう見守ることが大切である。

4-4. 食物アレルギー

食物アレルギーは、乳幼児に多い(第10章参照)。原因として多いのは、鶏卵、牛乳、小麦であり、近年は木の実類(くるみ、カシューナッツなど)も増えている。成長とともに食べられるようになることも多いが、自己判断で除去したり、食べさせたりせず、医師の指示に従う。

5. 学童期(6〜11歳)

5-1. 体の特徴と栄養

  • 身長・体重がゆるやかに増え続ける。高学年になると、思春期の急な成長が始まる子どももいる(女子のほうが早い)
  • 運動量が増え、エネルギーの必要量も増える

5-2. 学童期の食生活の課題

課題内容
朝食の欠食朝食を食べないと、午前中の集中力や体力が落ちる。生活リズムの乱れにもつながる
孤食・個食一人で食べる(孤食)、家族がばらばらのものを食べる(個食)ことが増えている。家族で食卓を囲む共食は、食の楽しさや食習慣を身につける大切な機会である
肥満とやせ間食・清涼飲料のとりすぎ、運動不足による肥満。一方で、やせ願望による極端な食事制限も見られる
生活習慣病の芽子どものころの食習慣は大人になっても続きやすい

5-3. 学校給食

学校給食は、学校給食法にもとづいて実施され、文部科学省の「学校給食摂取基準」にそって献立が立てられている。成長期に必要な栄養をとるとともに、食に関する正しい知識や、望ましい食習慣を身につけるための「生きた教材」とされている。家庭で不足しがちなカルシウムなどを補う役割も大きい。

6. 思春期(おおむね12〜17歳)

6-1. 体の特徴

  • 身長・体重が急に増える成長のスパートの時期である。女子は男子より2年ほど早く始まる
  • 骨・筋肉・血液が急速に増え、性ホルモンのはたらきで、体つきが大人に近づく
  • 女子は月経が始まり、鉄を失うようになる

6-2. 特に必要な栄養素

栄養素理由
エネルギー、たんぱく質急速な成長のため。エネルギーの必要量は、男子では15〜17歳で一生の中で最も多くなる
カルシウム骨が急速に成長し、骨量を増やす最も大切な時期。カルシウムの推奨量は、12〜14歳の男子で1,000mg/日と、一生のうちで最も多い(第6章参照)
鉄血液が増え、女子は月経でも鉄を失うため、鉄欠乏性貧血になりやすい

6-3. 思春期の食生活の課題

  • 朝食の欠食、夜食、コンビニや外食の増加、清涼飲料のとりすぎ
  • 特に女子に見られる、やせ願望による無理なダイエット。骨量が増えず、将来の骨粗鬆症の原因になる
  • 摂食障害:極端に食べる量を減らしてやせていく神経性やせ症(拒食症)や、大量に食べては吐くなどをくり返す神経性過食症(過食症)がある。心の問題が深くかかわるため、早めに専門の医療機関に相談することが大切である

7. 成人期(18〜64歳)

7-1. 体の特徴

  • 体の成長は止まり、20歳代を過ぎると、体の機能は少しずつ低下していく
  • 基礎代謝も少しずつ下がる。若いころと同じように食べ、運動量が減ると、太りやすくなる

7-2. 成人期の課題

課題内容
生活習慣病肥満、メタボリックシンドローム、糖尿病、高血圧、脂質異常症などが増え始める(第10章参照)。40歳からは特定健康診査を受ける
仕事中心の生活不規則な食事時間、外食・中食の増加、飲酒、運動不足、睡眠不足、ストレス
更年期(女性)閉経(平均50歳前後)の前後の時期。女性ホルモン(エストロゲン)が急に減り、ほてり・発汗・気分の落ち込みなどの症状のほか、骨粗鬆症や脂質異常症になりやすくなる(第9章参照)

8. 高齢期(65歳以上)

8-1. 体の特徴

変化内容
筋肉・骨筋肉量・骨量が減る
消化・吸収胃液などの消化液が減り、消化・吸収のはたらきが落ちる
かむ・飲み込む歯が減ったり入れ歯になったりしてかむ力が落ちる。飲み込む力(嚥下の機能)も落ちる
感覚味覚・嗅覚が鈍くなり、味の濃いものを好むようになる。のどの渇きを感じにくくなる
体の水分体の水分の割合が約50%に減る
生活一人暮らしの増加、食事づくりの負担、食欲の低下、薬の影響

食事摂取基準では、高齢者を65〜74歳と75歳以上に分けて基準を示している。

8-2. フレイルとサルコペニア

用語意味
フレイル年をとるとともに心身の活力(筋力・認知機能・社会とのつながりなど)が低下し、健康な状態と要介護の状態の中間にある状態。適切な栄養・運動・社会参加によって、健康な状態に戻ることができる
サルコペニア年をとるとともに、筋肉量が減り、筋力や身体機能が低下した状態
ロコモティブシンドローム骨・関節・筋肉などの運動器の障害で、立つ・歩くなどの移動のはたらきが低下した状態

フレイルは、次の5つのうち3つ以上にあてはまる場合とされることが多い(2つまでは「プレフレイル」)。

  1. 体重が減った(意図しない体重の減少)
  2. 疲れやすくなった
  3. 歩く速さが遅くなった
  4. 握力が弱くなった
  5. 体を動かすことが減った

8-3. 低栄養を防ぐ

高齢期の栄養で最も大切なのは、食べすぎよりも、食べなさすぎ(低栄養)を防ぐことである。低栄養になると、筋肉が減り、フレイル・サルコペニアが進み、転倒・骨折・感染症・寝たきりにつながる。

食事摂取基準(2025年版)のポイント

  • たんぱく質の目標量の下限が引き上げられ、65歳以上は15〜20%エネルギー(第2章参照)
  • 目標とするBMIの下限が引き上げられ、65歳以上は21.5〜24.9(第8章参照)

食事のポイント

  • 肉・魚・卵・大豆製品・乳製品など、たんぱく質を毎食とる
  • 主食・主菜・副菜をそろえ、いろいろな食品を食べる
  • 骨を守るため、カルシウム・ビタミンDをとり、日光を浴びる
  • のどが渇いていなくても、こまめに水分をとる(脱水の予防。第6章参照)
  • かむ力や飲み込む力に合わせて、料理の固さや形を工夫する
  • 家族や友人と一緒に食べる(共食)。食べる楽しみが、食欲と生きる力を支える

8-4. かむこと・飲み込むことへの配慮

飲み込む力が落ちると、食べものや飲みものが、食道ではなく気管に入る誤えんが起こりやすくなる。誤えんは、誤えん性肺炎の原因になる。

食べにくいもの食べやすくする工夫
ぱさぱさしたもの(パン、カステラ、ゆで卵の黄身)水分を含ませる、ソースやあんをかける
水やお茶など、さらさらした液体とろみをつける
硬いもの、繊維の多いものやわらかく煮る、細かく刻む、すりつぶす
ばらばらになりやすいもの(ひき肉、刻み野菜)あんでまとめる、ゼラチンや寒天で固める
口の中にはりつくもの(もち、のり)避ける、小さく切る

飲み込みにくい人のための食品は、えん下困難者用食品として、特別用途食品の一つにも位置づけられている(衛生法規の健康増進法の章を参照)。

9. 製菓とのつながり

9-1. ライフステージごとの菓子づくりの注意

時期菓子づくりで気をつけること
妊娠期洋酒を使った菓子(ラムレーズン、サバラン、洋酒入りのケーキ)に注意。加熱殺菌していないナチュラルチーズを使った菓子にも注意
乳児期はちみつを使った菓子は、加熱したものでも1歳未満には与えない。表示や販売のときに説明できるようにする
幼児期硬いナッツや豆、丸く小さな菓子、硬いあめは、窒息の危険がある。アレルゲンの表示を正確に
学童期・思春期おやつの量と時間。甘い飲みものと菓子の組み合わせによる、砂糖のとりすぎ
成人期生活習慣病を意識した、量や甘さの選択肢
高齢期やわらかく、しっとりしていて、飲み込みやすい菓子が喜ばれる。ムース、プリン、ゼリー、水ようかん、よく蒸した蒸し菓子など。ぱさぱさした焼き菓子は、飲みものと一緒に

9-2. 一生に寄り添う菓子

誕生日のケーキ、子どものおやつ、学生時代に友だちと食べたドーナツ、大切な人への贈りもの、そしてお年寄りの楽しみのお茶菓子。菓子は、人の一生のさまざまな場面に寄り添っている。食べる人のライフステージを思い浮かべて、安全で、その人に合った菓子をつくることは、菓子をつくる人にとって大切な心づかいである。

試験対策:よくある間違いポイント

試験に出る文です。正しい文(○)と間違った文(×)がまざっています。選んでから答えを確かめてください。

Q1牛乳は、生後6か月から飲みものとして与えるのがよい

正しくは:牛乳を飲みものとして与えるのは1歳を過ぎてからである

Q2食物アレルギーを防ぐため、卵は1歳を過ぎてから与え始める

正しくは:卵は離乳初期から、固ゆでの卵黄を少量ずつ与え始めることができる。遅らせても予防の根拠はない

Q3妊娠初期には、ビタミンAを多くとるほど胎児の発育によい

正しくは:妊娠初期のビタミンAのとりすぎは、胎児の奇形の原因になるおそれがある

Q4妊娠後期のたんぱく質の付加量(推奨量)は、+25g/日である

この文のとおりです。

Q5妊娠中は、すべての魚を食べてはいけない

正しくは:水銀に注意が必要なのは一部の魚(キンメダイ、メカジキなど)である。ツナ缶など一般的な魚はふつうに食べてよい

Q6水やお茶などのさらさらした液体は、高齢者にとって最も飲み込みやすい

正しくは:さらさらした液体は誤えんしやすい。とろみをつけると飲み込みやすくなる

Q7学校給食は、食に関する指導の生きた教材とされている

この文のとおりです。

Q8妊娠中期のエネルギーの付加量は、+450kcal/日である

正しくは:妊娠中期は+250kcal/日。+450kcalは後期

Q9離乳の開始は、生後3か月頃が目安である

正しくは:離乳の開始は、生後5〜6か月頃が目安である

Q10フレイルとは、要介護の状態のことであり、元に戻ることはない

正しくは:フレイルは健康と要介護の中間の状態で、栄養・運動などで健康な状態に戻ることができる

Q11思春期の女子は、鉄が不足することはない

正しくは:思春期の女子は、成長と月経のため、鉄欠乏性貧血になりやすい

Q12乳児の体重は、1歳で生まれたときの約2倍になる

正しくは:乳児の体重は、生後3か月で約2倍、1歳で約3倍になる

Q13閉経後の女性は、骨粗鬆症や脂質異常症になりやすい

この文のとおりです。

Q14ピーナッツは、3歳を過ぎれば安全に食べさせてよい

正しくは:硬い豆やナッツ類は、5歳以下の子どもには食べさせない

Q15高齢者は、のどの渇きを感じやすいため、脱水になりにくい

正しくは:高齢者は、のどの渇きを感じにくく、脱水になりやすい

Q16サルコペニアとは、骨量が減って骨折しやすくなった状態である

正しくは:サルコペニアは、筋肉量が減り、筋力・身体機能が低下した状態である。骨量の減少は骨粗鬆症

Q17母乳で育てている場合、生後6か月頃から鉄が不足しやすい

この文のとおりです。

Q18はちみつは、加熱すれば1歳未満の乳児に与えてもよい

正しくは:ボツリヌス菌の芽胞はふつうの加熱では死なないため、はちみつを使った焼き菓子なども1歳未満には与えない

Q19高齢者のフレイルの予防には、十分なたんぱく質と運動が大切である

この文のとおりです。

Q20葉酸のサプリメントは、妊娠がわかってから飲み始めればよい

正しくは:神経管は妊娠のごく初期につくられるため、妊娠を計画した時点からとることが望まれる

Q21ミニトマトやぶどうは、幼児に与えるときは小さく切る

この文のとおりです。

Q22離乳の完了は、生後9か月頃である

正しくは:離乳の完了は、生後12〜18か月頃である

Q23食事摂取基準(2025年版)では、65歳以上の目標とするBMIは21.5〜24.9である

この文のとおりです。

Q241歳未満の乳児にはちみつを与えると、乳児ボツリヌス症になるおそれがある

この文のとおりです。

Q25幼児の体重1kgあたりのエネルギーの必要量は、大人より多い

この文のとおりです。

Q26妊婦は、加熱殺菌していないナチュラルチーズや生ハムによるリステリア菌の感染に注意する

この文のとおりです。

Q27乳児には、離乳開始前から果汁を与える必要がある

正しくは:果汁の栄養学的な意味は認められていないとされ、早く与える必要はない

Q28幼児の間食は、1日のエネルギーの40%程度が目安である

正しくは:1日のエネルギーの10〜20%程度が目安である

Q29高齢者の栄養では、食べすぎを防ぐことが最も大切である

正しくは:高齢者では、低栄養を防ぐことが特に大切である

Q30初乳は、成乳に比べて免疫物質が少ない

正しくは:初乳は、分泌型IgAやラクトフェリンなどの免疫物質を多く含む

Q31幼児の間食は、栄養的な意味はなく、楽しみのためだけのものである

正しくは:幼児の間食は、3回の食事で足りないエネルギーや栄養素を補う役割がある

Q32授乳婦のエネルギーの付加量は、+50kcal/日である

正しくは:授乳婦は+350kcal/日。+50kcalは妊娠初期

Q33カルシウムの推奨量が一生で最も多いのは、高齢期である

正しくは:カルシウムの推奨量が最も多いのは、12〜14歳の男子(1,000mg/日)である

Q34妊娠中の体重の増加が少なすぎると、低出生体重児が生まれるリスクが高まる

この文のとおりです。
結果:

まとめ

  • 妊娠期(初期〜13週6日/中期〜27週6日/後期28週〜):付加量はエネルギー初期+50・中期+250・後期+450kcal、たんぱく質中期+5・後期+25g、葉酸中・後期+240μg。妊娠を計画した時点から葉酸400μg(サプリなど)。初期のビタミンAのとりすぎ、アルコール、一部の魚の水銀、リステリア菌(非加熱のナチュラルチーズ・生ハム)に注意。体重が増えなさすぎると低出生体重児のリスク
  • 授乳期:エネルギー+350kcal、たんぱく質+20g。初乳は免疫物質(分泌型IgA・ラクトフェリン)が多い
  • 乳児期:一生で最も成長が速い(体重は3か月で2倍、1歳で3倍)。離乳の開始は5〜6か月、完了は12〜18か月。卵は離乳初期から、牛乳を飲みものにするのは1歳から、果汁は不要。はちみつは1歳まで与えない(乳児ボツリヌス症。加熱した菓子も不可)。母乳育児では6か月頃から鉄に注意
  • 幼児期:体重あたりの必要量は大人より多いが胃が小さい。間食は食事の一部で、1日のエネルギーの10〜20%、時間を決めて。硬い豆・ナッツは5歳以下に与えない、ミニトマト・ぶどうは小さく切る
  • 学童期:朝食の欠食、孤食・個食、肥満とやせ。家族で食べる共食、学校給食は生きた教材
  • 思春期:成長のスパート(女子が早い)。カルシウム(推奨量は12〜14歳男子の1,000mgが最大)と鉄(女子の月経)。無理なダイエットと摂食障害に注意
  • 成人期:生活習慣病の予防。女性は更年期以降、骨粗鬆症・脂質異常症になりやすい
  • 高齢期:フレイル(健康と要介護の中間、戻れる)、サルコペニア(筋肉量の減少)。低栄養の予防が最重要。たんぱく質15〜20%エネルギー、目標BMI21.5〜24.9。脱水、誤えん(さらさらの液体にはとろみ)に注意。共食が食欲を支える

※ 本書は「日本人の食事摂取基準(2025年版)」「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」と令和8年(2026年)9月時点の情報にもとづいています。

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