栄養学 第一部 栄養素のはなし
ミネラルと水
はじめに
人の体を燃やすと、あとに灰が残る。この灰に含まれる成分がミネラル(無機質)である。量にすると体重のわずか5%ほどだが、骨や歯をつくり、血液に酸素を運ばせ、筋肉や神経を動かし、体液の濃さを一定に保つなど、生きるために欠かせないはたらきをしている。ミネラルは体内でつくることができないため、すべて食事からとらなければならない。
そして、体重の約60%を占めるのが水である。水は栄養素には数えないが、栄養素を運び、体温を保ち、体の中の化学反応の舞台となる、生命の土台である。
本章では、食事摂取基準(2025年版)で扱われている13種類のミネラルのはたらき・欠乏症・過剰症・多い食品を整理し、吸収を助けるもの・妨げるもの、そして体の水の出入りを学ぶ。2025年版で変わった鉄と亜鉛の基準にも注意してほしい。
1. ミネラルとは
1-1. 定義と特徴
ミネラル(無機質)とは、体を構成する元素のうち、有機物の主な成分である酸素・炭素・水素・窒素の4つを除いたものの総称である。体重の約5%を占める。
- 体内でつくることができない。すべて食事からとる必要がある
- ビタミンと違い、加熱してもこわれない。ただし、水に溶け出すものはある
- とりすぎると害になるものも多い。必要な量と害になる量の幅が狭いものもある
1-2. ミネラルのはたらき
| はたらき | 主なミネラル |
|---|---|
| 骨や歯をつくる | カルシウム、リン、マグネシウム |
| 体の成分になる | 鉄(ヘモグロビン)、リン(細胞膜のリン脂質、核酸)、ヨウ素(甲状腺ホルモン) |
| 体液の濃さ(浸透圧)やpHを調節する | ナトリウム、カリウム、塩素、リン |
| 筋肉や神経のはたらきを調節する | カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム |
| 酵素のはたらきを助ける | 亜鉛、銅、マンガン、セレン、モリブデン、マグネシウム |
1-3. 多量ミネラルと微量ミネラル
食事摂取基準(2025年版)では、次の13種類のミネラルについて基準を定めている。1日に必要な量がおおむね100mg以上のものを多量ミネラル、100mg未満のものを微量ミネラルという。
| 分類 | ミネラル |
|---|---|
| 多量ミネラル(5種類) | ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン |
| 微量ミネラル(8種類) | 鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、クロム、モリブデン |
このほかにも、体に必要なミネラルとして、硫黄(含硫アミノ酸の成分)、塩素(胃酸・体液の成分)、コバルト(ビタミンB12の成分)、フッ素(歯の強化)などがあるが、食事摂取基準の対象にはなっていない。
覚え方
多量ミネラルは「ナ・カ・カ・マ・リ(ナトリウム・カリウム・カルシウム・マグネシウム・リン)」と覚えるとよい。
2. 多量ミネラル
2-1. 一覧
| ミネラル | 主なはたらき | 欠乏 | 過剰 | 多く含む食品 |
|---|---|---|---|---|
| カルシウム | 骨・歯の成分、筋肉の収縮、神経の興奮の調節、血液の凝固 | 骨粗鬆症、くる病・骨軟化症、成長障害 | 高カルシウム血症、ミルクアルカリ症候群(サプリメントなど) | 牛乳・乳製品、小魚、大豆製品、緑黄色野菜(小松菜)、ごま |
| リン | 骨・歯の成分、エネルギー物質(ATP)、細胞膜(リン脂質)、核酸の成分 | (ふつうの食事ではまれ) | カルシウムの吸収を妨げる、腎臓の負担 | 加工食品(添加物のリン酸塩)、乳製品、肉、魚、卵黄 |
| マグネシウム | 骨の成分、多くの酵素のはたらきを助ける、筋肉・神経の調節 | 不整脈、筋肉のけいれん、骨の弱化 | 下痢(サプリメント) | ナッツ、種実(ごま)、豆類、海藻、玄米、ココア |
| ナトリウム | 細胞外液の浸透圧を保つ、体液量の調節、神経・筋肉のはたらき | 食欲不振、倦怠感、筋肉のけいれん(大量の発汗時など) | 高血圧、胃がんのリスク、むくみ | 食塩、みそ、しょうゆ、漬物、加工食品 |
| カリウム | 細胞内液の浸透圧を保つ、ナトリウムの排泄を促す、血圧を下げる、神経・筋肉 | 筋力の低下、不整脈 | 高カリウム血症(腎臓の機能が低下している人) | 野菜、果物(バナナ、アボカド)、いも、豆類、海藻 |
2-2. カルシウム
体に最も多いミネラルである。成人の体に約1kg含まれ、その約99%が骨と歯に、残りの約1%が血液や筋肉などに存在する。
骨はカルシウムの貯蔵庫
血液中のカルシウムの濃さは、筋肉や神経が正しくはたらくために、いつも一定に保たれている。食事からのカルシウムが足りないと、骨からカルシウムが溶け出して血液に補われる。そのため、カルシウム不足が続くと、血液の値は正常でも、骨がしだいにもろくなっていく。
骨は一度できたら変わらないものではなく、古い骨がこわされ(骨吸収)、新しい骨がつくられる(骨形成)ことを、生涯くり返している。骨量は20歳代ごろに最大(最大骨量)になり、その後は少しずつ減っていく。女性は閉経後に女性ホルモン(エストロゲン)が減るため、骨量が急に減りやすい。若いうちに十分なカルシウムをとり、最大骨量を高くしておくことが、骨粗鬆症の予防につながる(第10章参照)。
血液中のカルシウムを調節するしくみ(第9章参照)
| 調節するもの | 血液中のカルシウム |
|---|---|
| 副甲状腺ホルモン(パラトルモン) | 上げる(骨から溶かし出す) |
| 活性型ビタミンD | 上げる(腸からの吸収を促す) |
| カルシトニン | 下げる |
カルシウムの吸収
カルシウムは、ほかの栄養素に比べて吸収されにくいミネラルである。
| 吸収を促すもの | 吸収を妨げるもの |
|---|---|
| ビタミンD | シュウ酸(ほうれん草、たけのこ) |
| 乳糖(牛乳) | フィチン酸(穀類・豆類の外皮) |
| CPP(カゼインホスホペプチド:牛乳のたんぱく質からできる) | リンのとりすぎ(加工食品) |
| 適度なたんぱく質、クエン酸 | 食物繊維のとりすぎ、アルコール・カフェインのとりすぎ |
牛乳・乳製品のカルシウムは、乳糖やCPPのはたらきで、小魚や野菜より吸収されやすい。
カルシウムとリンの比率
カルシウムとリンは、1:1〜1:2の比率でとるのが望ましいとされる。加工食品には、添加物としてリン酸塩が使われていることが多く、加工食品にかたよった食事では、リンが多くなりすぎてカルシウムの吸収が妨げられる。
2-3. リン
カルシウムに次いで体に2番目に多いミネラルである。約85%が骨と歯に含まれ、残りは、エネルギーをたくわえて運ぶATP、細胞膜のリン脂質、遺伝子の核酸などの成分になっている。多くの食品に含まれ、加工食品からもとりやすいため、不足よりもとりすぎが問題になる。
2-4. マグネシウム
約50〜60%が骨に含まれ、残りは筋肉などにある。300種類以上の酵素のはたらきを助けている。精製された食品(白米、白い小麦粉、精製糖)には少なく、精製度の低い穀類や、種実・豆類・海藻に多い。
2-5. ナトリウムとカリウム
| ナトリウム | カリウム | |
|---|---|---|
| 主にある場所 | 細胞の外(血液・組織液) | 細胞の中 |
| 主なはたらき | 細胞外液の量と浸透圧を保つ | 細胞内液の浸透圧を保つ。ナトリウムの排泄を促す |
| とりすぎ | 体に水分がたまり、血圧が上がる | 腎機能が正常なら尿に出る |
| 関係 | 互いにバランスをとり合っている。ナトリウムのとりすぎを、カリウムが打ち消すようにはたらく |
食塩相当量
ナトリウムの量は、食品の表示では食塩相当量(ナトリウムをすべて食塩とみなした量)で示される。次の式で換算する。
食塩相当量(g)= ナトリウム(mg)× 2.54 ÷ 1,000
たとえば、ナトリウム400mgは、食塩相当量で約1.0gにあたる。
日本人の食塩摂取量は、少しずつ減っているものの、令和6年の国民健康・栄養調査では平均9.6gと、国の目標(7g)や食事摂取基準の目標量を上回っている(第12章参照)。
カリウムは調理で失われやすい
カリウムは水に溶けやすいため、野菜をゆでたり、水にさらしたりすると、ゆで汁に溶け出す。腎臓の病気でカリウムを制限している人は、この性質を利用して、野菜をゆでこぼしてから食べる。
3. 微量ミネラル
3-1. 一覧
| ミネラル | 主なはたらき | 欠乏 | 多く含む食品 |
|---|---|---|---|
| 鉄 | ヘモグロビンの成分として酸素を運ぶ、筋肉のミオグロビン、酵素の成分 | 鉄欠乏性貧血 | レバー、赤身の肉、かつお、あさり(ヘム鉄)/小松菜、ほうれん草、大豆、ひじき(非ヘム鉄) |
| 亜鉛 | 300種類以上の酵素の成分、たんぱく質の合成、味覚、皮膚、免疫、成長 | 味覚障害、皮膚炎、脱毛、成長障害、免疫力の低下 | かき(牡蠣)、牛肉、レバー、うなぎ |
| 銅 | 鉄の利用を助ける(ヘモグロビンの合成)、酵素の成分 | 貧血、骨の異常 | レバー、えび・かになどの甲殻類、ナッツ、ココア |
| マンガン | 酵素の成分、骨の形成 | (ふつうの食事ではまれ) | 茶葉、穀類、豆類、ナッツ |
| ヨウ素 | 甲状腺ホルモンの成分 | 甲状腺腫、子どもの成長・発達の障害(クレチン症) | 昆布、わかめ、のり |
| セレン | 抗酸化にかかわる酵素の成分 | 心筋の障害(克山病) | 魚介類、卵、肉 |
| クロム | 糖・脂質の代謝 | (ふつうの食事ではまれ) | 魚介類、肉、海藻 |
| モリブデン | 酵素の成分(尿酸をつくる反応など) | (ふつうの食事ではまれ) | 豆類、穀類、レバー |
3-2. 鉄
成人の体には鉄が約3〜4g含まれ、その約3分の2が赤血球のヘモグロビンの成分として、肺から全身に酸素を運んでいる。残りは、筋肉のミオグロビン、酵素の成分、そして肝臓などにたくわえられた貯蔵鉄(フェリチン)である。
ヘム鉄と非ヘム鉄
| ヘム鉄 | 非ヘム鉄 | |
|---|---|---|
| 含まれる食品 | 動物性食品(レバー、赤身の肉、魚の血合い、あさり) | 植物性食品(小松菜、ほうれん草、大豆、ひじき)、卵、乳製品 |
| 吸収 | 吸収されやすい | 吸収されにくい |
| 吸収を高めるもの | ― | ビタミンC、動物性たんぱく質(肉・魚)と一緒にとる |
| 吸収を妨げるもの | ― | お茶・コーヒー・紅茶のタンニン、フィチン酸、食物繊維のとりすぎ |
食事摂取基準では、食事に含まれる鉄全体の吸収率を、月経のある女性で18%、それ以外で16%として計算している。
鉄欠乏性貧血
鉄が不足すると、ヘモグロビンが十分につくれず、全身に酸素が届きにくくなる。疲れやすい、息切れ、動悸、めまい、顔色が悪い、爪がそり返る(スプーン状爪)などの症状が現れる。月経のある女性、妊婦、成長期の子ども、過度なダイエットをしている人に多い。
ひじきの鉄の話
かつて、ひじきは鉄を多く含む食品の代表とされていた。しかし、2015年の食品成分表の改訂で、ひじきの鉄の量が大幅に少なく改められた。以前のひじきは鉄の釜でゆでられており、釜の鉄が溶け出していたためで、現在主流のステンレスの釜でゆでたものは鉄が少ないことがわかった。調理器具も、食品の栄養価を変えることがある例である。
3-3. 亜鉛
舌で味を感じる細胞(味蕾)は、入れ替わりが速く、その生まれ変わりに亜鉛が必要である。そのため、亜鉛が不足すると、味がわからなくなる味覚障害が起こりやすい。加工食品やインスタント食品にかたよった食事、高齢者、過度なダイエットで不足しやすい。
3-4. 銅
鉄がヘモグロビンをつくるのを助ける。そのため、銅が不足すると、鉄が足りていても貧血になることがある。銅が体にたまってしまう遺伝性の病気をウィルソン病という。
3-5. ヨウ素
のどにある甲状腺でつくられる甲状腺ホルモンの成分である(第9章参照)。不足すると甲状腺が腫れる甲状腺腫になる。
日本人は昆布や昆布だしを日常的にとるため、世界的にみてヨウ素の摂取量が多く、不足することはまれである。むしろ、とりすぎると甲状腺のはたらきに異常が出ることがあるため、耐容上限量が設けられている。海外には、ヨウ素が不足する地域が多く、食塩にヨウ素を加えて不足を防いでいる国もある。
3-6. セレン
抗酸化にかかわる酵素の成分である。中国の土壌のセレンが少ない地域では、セレン不足による心臓の病気(克山病)が見られた。とりすぎると、脱毛や爪の変形などが起こる。
4. 食事摂取基準(2025年版)
4-1. 18〜64歳の基準
| ミネラル | 指標 | 男性 | 女性 | 単位 |
|---|---|---|---|---|
| ナトリウム(食塩相当量) | 目標量 | 7.5未満 | 6.5未満 | g/日 |
| カリウム | 目標量 | 3,000以上 | 2,600以上 | mg/日 |
| カルシウム | 推奨量 | 750〜800 | 650 | mg/日 |
| カルシウム | 耐容上限量 | 2,500 | 2,500 | mg/日 |
| マグネシウム | 推奨量 | 340〜380 | 280〜290 | mg/日 |
| リン | 目安量 | 1,000 | 800 | mg/日 |
| リン | 耐容上限量 | 3,000 | 3,000 | mg/日 |
| 鉄 | 推奨量 | 7.0〜7.5 | 月経なし 6.0/月経あり 10.0〜10.5 | mg/日 |
| 亜鉛 | 推奨量 | 9.0〜9.5 | 7.5〜8.0 | mg/日 |
| 銅 | 推奨量 | 0.8〜0.9 | 0.7 | mg/日 |
| マンガン | 目安量 | 3.5 | 3.0 | mg/日 |
| ヨウ素 | 推奨量 | 140 | 140 | μg/日 |
| ヨウ素 | 耐容上限量 | 3,000 | 3,000 | μg/日 |
| セレン | 推奨量 | 30〜35 | 25 | μg/日 |
| クロム | 目安量 | 10 | 10 | μg/日 |
| モリブデン | 推奨量 | 30 | 25 | μg/日 |
- 高血圧や慢性腎臓病の重症化を防ぐための食塩相当量は、男女とも6.0g/日未満である
- 鉄の推奨量は、月経のある女性で多くなっている。月経で失われる鉄を補うためである
- カルシウムの推奨量が一生で最も多いのは、骨が急速に成長する12〜14歳の男子で、1,000mg/日である
4-2. 2025年版で変わったところ
| ミネラル | 変更点 |
|---|---|
| 鉄 | 耐容上限量を設定しないことになった。ただし、貧血の治療など以外で、推奨量を大きく超えてとることは控えるべきとされている |
| 亜鉛 | 推奨量などの値が、0.5mg刻みで示されるようになった |
5. 水
5-1. 体の水分
水は、成人の体重の約60%を占める(第1章参照)。体の水分は、次のように分けられる。
| 区分 | 体重に占める割合(目安) | 内容 |
|---|---|---|
| 細胞内液 | 約40% | 細胞の中の水分。カリウムが多い |
| 細胞外液 | 約20% | 血液の液体成分(血しょう)、細胞のまわりの組織液など。ナトリウムが多い |
5-2. 水のはたらき
| はたらき | 内容 |
|---|---|
| 物質を溶かして運ぶ | 栄養素や酸素を全身に運び、老廃物を尿として外に出す |
| 体温を調節する | 汗をかき、その水分が蒸発するときに熱を奪って体を冷やす |
| 化学反応の場 | 体の中の化学反応(消化・代謝)は水の中で進む |
| 体液の濃さやpHを保つ | ミネラルとともに、浸透圧やpHを一定に保つ |
| 体を守る | 関節の動きをなめらかにし、脳や胎児を衝撃から守る |
5-3. 1日の水の出入り
健康な成人では、1日に約2.5Lの水が出入りし、入る量と出る量がつり合っている。
| 入る水 | 量(目安) | 出る水 | 量(目安) |
|---|---|---|---|
| 飲み水 | 約1.2L | 尿 | 約1.5L |
| 食物に含まれる水 | 約1.0L | 不感蒸泄 | 約0.9L |
| 代謝水 | 約0.3L | 便 | 約0.1L |
| 合計 | 約2.5L | 合計 | 約2.5L |
- 代謝水:糖質・脂質・たんぱく質が体内でエネルギーに変わるときにできる水
- 不感蒸泄:呼吸の息や皮膚から、自分では気づかないうちに失われる水。汗は含まない
- 体の老廃物を溶かして排泄するために、最低限必要な尿の量(不可避尿)は、1日約0.4〜0.5Lとされる
5-4. 脱水
体の水分が失われ、補給が追いつかない状態を脱水という。
| 失われる水の量(体重に対して) | 主な症状 |
|---|---|
| 約2% | のどの渇き |
| 約3〜5% | 強い渇き、食欲不振、だるさ、尿の量が減る |
| 約10% | 意識の障害、けいれん。重い脱水 |
| 約20% | 生命の危険 |
脱水になりやすい人
- 乳幼児:体重あたりの水分の出入りが多く、自分で渇きを伝えにくい
- 高齢者:体の水分の割合がもともと少なく、のどの渇きを感じにくい。トイレを気にして水分を控えることもある
- 暑い環境で作業する人、激しい運動をする人、下痢や嘔吐が続いている人、発熱している人
汗をたくさんかいたときは、水だけでなく、ナトリウム(塩分)も一緒に補給することが大切である。水だけを大量に飲むと、血液中のナトリウムが薄まり、かえって体調をくずすことがある。
6. 酸性食品とアルカリ性食品
食品を燃やした後に残る灰(ミネラル)を水に溶かしたとき、酸性を示すかアルカリ性を示すかで、食品を分ける考え方がある。
| 分類 | 多く含むミネラル | 主な食品 |
|---|---|---|
| 酸性食品 | リン、硫黄、塩素 | 肉、魚、卵、穀類 |
| アルカリ性食品 | カルシウム、カリウム、マグネシウム、ナトリウム | 野菜、果物、海藻、牛乳 |
ただし、血液のpHは、肺や腎臓のはたらきによって弱アルカリ性(約7.4)に厳密に保たれている。どちらかの食品を食べたからといって、血液が酸性やアルカリ性に傾くわけではない。この分類は、食品のミネラルの特徴を知る手がかりの一つと考えるとよい。
7. 製菓とのつながり
| 材料 | 多いミネラル | 菓子づくりで知っておきたいこと |
|---|---|---|
| 食塩 | ナトリウム | 少量で甘さを引き立て、生地を引き締める。有塩バターにも食塩が含まれる |
| 重曹(炭酸水素ナトリウム) | ナトリウム | 膨張剤として使うと、ナトリウムの供給源にもなる |
| ベーキングパウダー | ナトリウム、リン(リン酸塩)など | 酸性剤としてリン酸塩が使われているものがある |
| 黒糖、きび砂糖 | カリウム、カルシウム、鉄 | 精製した白砂糖より多くのミネラルが残っている |
| ココア、チョコレート | マグネシウム、銅、鉄、亜鉛 | カカオはミネラルが豊富な食品 |
| ナッツ(アーモンドなど)、ごま | マグネシウム、亜鉛、銅、カルシウム | 黒ごまのお菓子、ナッツのフロランタン |
| 牛乳、チーズ、ヨーグルト | カルシウム、リン | 吸収されやすいカルシウムの供給源 |
| 卵黄 | 鉄、リン、亜鉛 | ― |
| 抹茶、きな粉 | 鉄、カルシウム、マグネシウム | 和菓子の材料はミネラルの宝庫 |
| 寒天、昆布 | ヨウ素、カルシウム | 海藻のミネラル |
菓子と飲み物の組み合わせ
植物性食品の鉄(非ヘム鉄)は、お茶やコーヒー・紅茶のタンニンで吸収が妨げられる。鉄不足が気になる人は、食事の直後に濃いお茶をたくさん飲むのは控えるとよい。一方、果物のビタミンCは鉄の吸収を助ける。
試験対策:よくある間違いポイント
試験に出る文です。正しい文(○)と間違った文(×)がまざっています。選んでから答えを確かめてください。
Q1体内に最も多いミネラルは鉄である
Q2代謝水とは、栄養素が体内でエネルギーに変わるときにできる水のことである
Q3カルシウムの吸収は、ビタミンCによって促進される
Q4銅は、鉄がヘモグロビンをつくるのを助ける
Q5ナトリウムは主に細胞の中に、カリウムは主に細胞の外に多い
Q6日本人はヨウ素が不足しやすい
Q7食事摂取基準(2025年版)では、ミネラル13種類の基準が定められている
Q8牛乳・乳製品のカルシウムは、乳糖やCPPのはたらきで吸収されやすい
Q9食塩相当量の目標量は、成人男性で9.0g/日未満である
Q10植物性食品に含まれる非ヘム鉄は、ヘム鉄より吸収されやすい
Q11成人の体の水分のうち、細胞外液は細胞内液より多い
Q12体内の鉄の大部分は、肝臓にたくわえられている
Q13亜鉛は、かき(牡蠣)に多く含まれる
Q14ヨウ素は、ヘモグロビンの成分である
Q15カルシウムが不足すると、骨からカルシウムが溶け出し、骨粗鬆症の原因になる
Q16大量に汗をかいたときは、水分とともにナトリウムも補給する必要がある
Q17お茶のタンニンは、鉄の吸収を促進する
Q18鉄は多量ミネラルに分類される
Q19体内のカルシウムの約50%は、骨と歯に含まれる
Q20カリウムは、ナトリウムの排泄を妨げ、血圧を上げる
Q21セレンが欠乏すると、ウィルソン病になる
Q22非ヘム鉄は、ビタミンCと一緒にとると吸収がよくなる
Q23鉄の推奨量は、月経のある女性で多く設定されている
Q24不感蒸泄には、運動でかく汗が含まれる
Q25ナトリウム1,000mgは、食塩相当量1.0gにあたる
Q26食事摂取基準(2025年版)で、成人の鉄の耐容上限量は50mg/日である
Q27ほうれん草のシュウ酸は、カルシウムの吸収を促進する
Q28ミネラルは有機化合物であり、体内で合成できる
Q29亜鉛が欠乏すると、甲状腺腫になる
Q30リンを多くとるほど、カルシウムの吸収はよくなる
Q31ミネラルは、加熱すると大部分がこわれる
Q32高齢者はのどの渇きを感じやすいため、脱水になりにくい
まとめ
- ミネラル(無機質)は、酸素・炭素・水素・窒素以外の元素。体重の約5%。体内で合成できず、加熱でこわれない
- 食事摂取基準は13種類。多量5種類(ナトリウム・カリウム・カルシウム・マグネシウム・リン=「ナ・カ・カ・マ・リ」)、微量8種類(鉄・亜鉛・銅・マンガン・ヨウ素・セレン・クロム・モリブデン)
- カルシウム:体に最も多いミネラル(約99%が骨と歯)。不足で骨粗鬆症。吸収を促す=ビタミンD・乳糖・CPP、妨げる=シュウ酸・フィチン酸・リンのとりすぎ。カルシウム:リン=1:1〜1:2
- リン:2番目に多い。ATP・リン脂質・核酸の成分。加工食品でとりすぎに注意
- ナトリウムは細胞外、カリウムは細胞内。ナトリウムのとりすぎは高血圧、カリウムはナトリウムの排泄を促す。食塩相当量=ナトリウム(mg)×2.54÷1,000
- 鉄:約3分の2がヘモグロビンで酸素を運ぶ。ヘム鉄(動物性)は吸収されやすく、非ヘム鉄(植物性)はビタミンCで吸収が高まり、タンニンで妨げられる。不足で鉄欠乏性貧血
- 欠乏症:亜鉛=味覚障害、ヨウ素=甲状腺腫、セレン=克山病、銅=貧血(銅の蓄積はウィルソン病)
- 食事摂取基準2025年版:食塩相当量 男7.5g未満・女6.5g未満(高血圧などの重症化予防は6.0g未満)、カリウム 男3,000mg以上・女2,600mg以上、鉄は月経ありの女性10.0〜10.5mg。鉄の耐容上限量は設定しない、亜鉛は0.5mg刻みに
- 水は体重の約60%(細胞内液約40%・細胞外液約20%)。1日約2.5Lが出入りし、入る水には代謝水、出る水には不感蒸泄がある
- 高齢者・乳幼児は脱水になりやすい。大量の発汗時はナトリウムも補給する
※ 本書は「日本人の食事摂取基準(2025年版)」と令和8年(2026年)9月時点の情報にもとづいています。

