栄養学 総まとめ
直前総まとめ
はじめに
本章は、第1章から第12章までの内容を、試験の直前に見直すための一覧にまとめたものである。新しい内容は含まず、各章で学んだ数字・組み合わせ・用語を、問われ方に合わせて整理し直している。
栄養学の問題の多くは、「どの栄養素の欠乏症か」「どの酵素が何を分解するか」「どのホルモンが血糖値を上げるか下げるか」「食事摂取基準の値はいくつか」といった、組み合わせと数字の問題である。表を見て、すぐに答えが浮かぶかどうかを確かめながら読み進めてほしい。
また、本書は「日本人の食事摂取基準(2025年版)」にもとづいている。2020年版を使った古い教材や過去問とは、答えが変わっている箇所がある。本章の「7. 2025年版で変わったところ」は、必ず確認しておきたい。
詳しい説明は、各項目の(第◯章)を参照のこと。
1. 絶対に覚える数字
1-1. 栄養素とエネルギー
| 事柄 | 数字 | 章 |
|---|---|---|
| 五大栄養素 | 炭水化物・脂質・たんぱく質・ビタミン・ミネラル | 第1章 |
| 1gあたりのエネルギー(アトウォーター係数) | 炭水化物4、脂質9、たんぱく質4kcal(アルコール約7) | 第1・8章 |
| 人体の水分 | 成人の体重の約60%(細胞内液約40%・細胞外液約20%) | 第1・6章 |
| 人体の主な元素 | 酸素・炭素・水素・窒素で約96% | 第1章 |
| 必須アミノ酸 | 9種類 | 第2章 |
| たんぱく質の窒素 | 約16%(窒素-たんぱく質換算係数6.25) | 第2章 |
| ビタミン | 13種類(脂溶性4・水溶性9) | 第5章 |
| 食事摂取基準のミネラル | 13種類(多量5・微量8) | 第6章 |
| 食事摂取基準の栄養素 | 34種類 | 第1・12章 |
1-2. 体のしくみ
| 事柄 | 数字 | 章 |
|---|---|---|
| 消化管の全長 | 約9m | 第7章 |
| 胃液のpH | 1〜2(強い酸性) | 第7章 |
| 十二指腸の長さ | 約25cm(指12本分) | 第7章 |
| 空腹時の血糖値(健康な人) | おおむね70〜100mg/dL | 第4・9章 |
| 肝臓のグリコーゲン | 約100g(血糖値の維持に使う) | 第4章 |
| 満腹を感じるまでの時間 | 食べ始めてから15〜20分 | 第9章 |
| 体のカルシウム | 約99%が骨と歯 | 第6章 |
| 体の鉄 | 約3分の2がヘモグロビン | 第6章 |
| 1日の水の出入り | 約2.5L(代謝水約0.3L、不感蒸泄約0.9L) | 第6章 |
| 食塩相当量の換算 | ナトリウム(mg)×2.54÷1,000 | 第6章 |
1-3. エネルギー代謝
| 事柄 | 数字 | 章 |
|---|---|---|
| 総エネルギー消費量の内訳 | 基礎代謝約60%、身体活動約30%、食事誘発性熱産生約10% | 第8章 |
| 食事誘発性熱産生 | たんぱく質約30%、糖質約6%、脂質約4% | 第8章 |
| 基礎代謝基準値が最も高い年齢 | 1〜2歳 | 第8章 |
| 呼吸商 | 糖質1.0、たんぱく質約0.8、脂質約0.7 | 第8章 |
| 身体活動レベル(18〜64歳) | 低い1.50、ふつう1.75、高い2.00 | 第8章 |
| 体脂肪1kgのエネルギー | 約7,000〜7,200kcal | 第8章 |
| 推奨される身体活動(成人) | 1日60分以上(約8,000歩以上) | 第8章 |
1-4. 病気の基準
| 事柄 | 数字 | 章 |
|---|---|---|
| BMIの標準 | 22 | 第10章 |
| 肥満(日本) | BMI25以上(WHOは30以上) | 第10章 |
| 高度肥満 | BMI35以上 | 第10章 |
| 低体重(やせ) | BMI18.5未満 | 第10章 |
| メタボの腹囲 | 男性85cm以上、女性90cm以上 | 第10章 |
| メタボの追加項目 | 中性脂肪150以上/HDL40未満、血圧130/85以上、空腹時血糖110以上のうち2つ以上 | 第10章 |
| 特定健康診査の対象 | 40〜74歳(2008年〜) | 第10章 |
| 糖尿病型 | 空腹時血糖126以上、随時血糖200以上、HbA1c6.5%以上など | 第10章 |
| 日本人の糖尿病に占める2型 | 約95% | 第10章 |
| 食品交換表 | 80kcal=1単位 | 第10章 |
| 高血圧の診断基準 | 診察室血圧140/90mmHg以上 | 第10章 |
| 降圧目標(ガイドライン2025) | 年齢にかかわらず130/80mmHg未満 | 第10章 |
| 高血圧の人の食塩 | 1日6g未満 | 第10章 |
| 脂質異常症 | LDL140以上、HDL40未満、中性脂肪150以上 | 第10章 |
| 高尿酸血症 | 尿酸値7.0mg/dL超 | 第10章 |
| 8020運動 | 80歳で自分の歯20本以上 | 第10章 |
1-5. ライフステージ
| 事柄 | 数字 | 章 |
|---|---|---|
| 妊婦のエネルギーの付加量 | 初期+50、中期+250、後期+450kcal | 第8・11章 |
| 授乳婦のエネルギーの付加量 | +350kcal | 第8・11章 |
| 妊婦のたんぱく質の付加量(推奨量) | 中期+5、後期+25g(授乳婦+20g) | 第2・11章 |
| 妊娠を計画している女性の葉酸 | 食事に加えて1日400μg | 第5・11章 |
| 低出生体重児 | 出生時2,500g未満 | 第11章 |
| 乳児の体重 | 3か月で約2倍、1歳で約3倍 | 第11章 |
| 離乳の開始 | 生後5〜6か月頃 | 第11章 |
| 離乳の完了 | 生後12〜18か月頃 | 第11章 |
| はちみつ | 1歳になるまで与えない | 第11章 |
| 牛乳を飲みものとして与える | 1歳を過ぎてから | 第11章 |
| 幼児の間食 | 1日のエネルギーの10〜20% | 第11章 |
| 硬い豆・ナッツ類 | 5歳以下には食べさせない | 第11章 |
| カルシウムの推奨量が最も多い | 12〜14歳男子(1,000mg) | 第6・11章 |
1-6. 食事の指針
| 事柄 | 数字 | 章 |
|---|---|---|
| 食事バランスガイド | 2005年(厚生労働省・農林水産省) | 第12章 |
| 食事バランスガイドの区分と量 | 主食5〜7、副菜5〜6、主菜3〜5、牛乳・乳製品2、果物2(つ) | 第12章 |
| 菓子・嗜好飲料の目安 | 1日200kcal程度 | 第12章 |
| 食生活指針 | 2000年策定、2016年一部改正、10項目 | 第12章 |
| 四群点数法 | 80kcal=1点 | 第12章 |
| 緑黄色野菜 | カロテン600μg以上(可食部100gあたり) | 第12章 |
| 健康日本21(第三次)の目標 | 食塩7g、野菜350g、果物200g | 第12章 |
| 令和6年の実際の値 | 食塩9.6g、野菜258.7g | 第12章 |
2. 欠乏症・過剰症の早見表
2-1. ビタミン
| ビタミン | 欠乏症 | 過剰症 | 主なはたらき | 章 |
|---|---|---|---|---|
| A | 夜盲症、角膜乾燥症 | 頭痛、肝障害、妊娠初期の胎児の奇形 | 目、皮膚・粘膜 | 第5章 |
| D | くる病(子ども)、骨軟化症(大人) | 高カルシウム血症 | カルシウムの吸収 | 第5章 |
| E | 溶血性貧血(まれ) | (まれ) | 抗酸化 | 第5章 |
| K | 血液凝固障害、新生児の頭蓋内出血 | (まれ) | 血液凝固 | 第5章 |
| B1 | 脚気、ウェルニッケ脳症 | ― | 糖質の代謝 | 第5章 |
| B2 | 口角炎、口内炎、舌炎 | ― | 脂質の代謝、成長 | 第5章 |
| ナイアシン | ペラグラ | ― | エネルギーの代謝 | 第5章 |
| B6 | 皮膚炎、口内炎 | ― | アミノ酸の代謝 | 第5章 |
| B12 | 悪性貧血 | ― | 赤血球の形成(コバルトを含む) | 第5章 |
| 葉酸 | 巨赤芽球性貧血、胎児の神経管閉鎖障害 | ― | DNAの合成 | 第5章 |
| C | 壊血病 | ― | コラーゲンの合成、鉄の吸収 | 第5章 |
2-2. ミネラル
| ミネラル | 欠乏 | 過剰 | 主なはたらき | 章 |
|---|---|---|---|---|
| カルシウム | 骨粗鬆症、くる病・骨軟化症 | 高カルシウム血症 | 骨・歯、血液凝固、筋肉 | 第6章 |
| リン | (まれ) | カルシウムの吸収を妨げる | 骨・歯、ATP、核酸 | 第6章 |
| ナトリウム | 食欲不振、倦怠感 | 高血圧 | 細胞外液の浸透圧 | 第6章 |
| カリウム | 筋力低下、不整脈 | 高カリウム血症(腎臓病) | 細胞内液の浸透圧、ナトリウムの排泄 | 第6章 |
| 鉄 | 鉄欠乏性貧血 | ― | ヘモグロビン(酸素の運搬) | 第6章 |
| 亜鉛 | 味覚障害、皮膚炎 | ― | 酵素、味覚 | 第6章 |
| 銅 | 貧血 | (蓄積でウィルソン病) | 鉄の利用 | 第6章 |
| ヨウ素 | 甲状腺腫 | 甲状腺の異常 | 甲状腺ホルモン | 第6章 |
| セレン | 克山病 | 脱毛、爪の変形 | 抗酸化 | 第6章 |
2-3. たんぱく質とエネルギー
3. 消化酵素の早見表
| 酵素 | 出るところ | 分解するもの | できるもの | 章 |
|---|---|---|---|---|
| 唾液アミラーゼ | 唾液 | でんぷん | デキストリン、麦芽糖 | 第7章 |
| ペプシン | 胃液 | たんぱく質 | ペプトン | 第7章 |
| 膵アミラーゼ | 膵液 | でんぷん、デキストリン | 麦芽糖 | 第7章 |
| トリプシン、キモトリプシン | 膵液 | たんぱく質、ペプトン | ペプチド | 第7章 |
| 膵リパーゼ | 膵液 | 中性脂肪 | 脂肪酸、モノアシルグリセロール | 第7章 |
| マルターゼ | 小腸粘膜 | 麦芽糖 | ブドウ糖+ブドウ糖 | 第7章 |
| スクラーゼ | 小腸粘膜 | ショ糖 | ブドウ糖+果糖 | 第7章 |
| ラクターゼ | 小腸粘膜 | 乳糖 | ブドウ糖+ガラクトース | 第7章 |
| ペプチダーゼ | 膵液、小腸粘膜 | ペプチド | アミノ酸 | 第7章 |
消化液のポイント
- 胆汁は肝臓でつくられ、胆のうにためられる。消化酵素を含まず、脂肪を乳化する
- 膵液は弱アルカリ性で、三大栄養素のすべてを分解する
- 胃にとどまる時間は、糖質<たんぱく質<脂質
4. ホルモンの早見表
4-1. 血糖値
| 作用 | ホルモン | 出るところ |
|---|---|---|
| 下げる(唯一) | インスリン | 膵臓ランゲルハンス島B(β)細胞 |
| 上げる | グルカゴン | 膵臓ランゲルハンス島A(α)細胞 |
| 上げる | アドレナリン | 副腎髄質 |
| 上げる | コルチゾール | 副腎皮質 |
| 上げる | 成長ホルモン | 下垂体前葉 |
| 上げる | 甲状腺ホルモン | 甲状腺 |
4-2. 食欲・カルシウム・水分
| ホルモン | 出るところ | はたらき | 章 |
|---|---|---|---|
| レプチン | 脂肪組織 | 食欲を抑える | 第9章 |
| グレリン | 胃 | 食欲を高める | 第9章 |
| 副甲状腺ホルモン | 副甲状腺 | 血中カルシウムを上げる | 第9章 |
| カルシトニン | 甲状腺 | 血中カルシウムを下げる | 第9章 |
| 活性型ビタミンD | 腎臓で活性化 | 腸でのカルシウムの吸収を促す | 第5・9章 |
| 抗利尿ホルモン | 下垂体後葉 | 水を再吸収し、尿を減らす | 第9章 |
| アルドステロン | 副腎皮質 | ナトリウムを再吸収、血圧を上げる | 第9章 |
| 甲状腺ホルモン | 甲状腺 | 代謝を高める(ヨウ素を含む) | 第9章 |
4-3. 消化管ホルモン
4-4. 食欲の中枢
| 中枢 | 場所 | 刺激されるとき |
|---|---|---|
| 摂食中枢 | 視床下部の外側野 | 血糖値の低下、遊離脂肪酸の増加、グレリン |
| 満腹中枢 | 視床下部の腹内側核 | 血糖値の上昇、インスリン、胃の膨らみ |
5. 「どこで」「何で」の対応表
5-1. 吸収される場所と運ばれる経路
| 事柄 | 答え | 章 |
|---|---|---|
| 栄養素の大部分が吸収される場所 | 小腸(空腸) | 第7章 |
| 鉄・カルシウムが主に吸収される場所 | 十二指腸 | 第7章 |
| ビタミンB12が吸収される場所 | 回腸(胃の内因子が必要) | 第5・7章 |
| 大腸で吸収されるもの | 水分と電解質 | 第7章 |
| 単糖・アミノ酸・水溶性ビタミン・中鎖脂肪酸の経路 | 門脈 → 肝臓 | 第7章 |
| 長鎖脂肪酸(キロミクロン)・脂溶性ビタミンの経路 | リンパ管 → 胸管 → 静脈 | 第7章 |
5-2. 吸収を助けるもの・妨げるもの
| 栄養素 | 吸収を助けるもの | 吸収を妨げるもの | 章 |
|---|---|---|---|
| カルシウム | ビタミンD、乳糖、CPP | シュウ酸、フィチン酸、リンのとりすぎ | 第6章 |
| 鉄(非ヘム鉄) | ビタミンC、動物性たんぱく質 | タンニン(お茶・コーヒー)、フィチン酸 | 第6章 |
| ビタミンB1 | にんにくのアリシン | 生の貝などのアノイリナーゼ | 第5章 |
| ビオチン | ― | 生の卵白のアビジン | 第5章 |
| 脂溶性ビタミン | 油と一緒にとる | ― | 第5章 |
5-3. 多く含む食品
| 栄養素 | 多く含む食品 | 章 |
|---|---|---|
| ビタミンB1 | 豚肉、玄米、うなぎ | 第5章 |
| ビタミンB12 | 貝(しじみ・あさり)、レバー(動物性食品のみ) | 第5章 |
| ビタミンC | 果物、野菜、じゃがいも | 第5章 |
| ビタミンD | 魚、きのこ(日光で皮膚でも合成) | 第5章 |
| ビタミンK | 納豆、緑黄色野菜 | 第5章 |
| ビタミンE | 植物油、アーモンド | 第5章 |
| カルシウム | 牛乳・乳製品、小魚 | 第6章 |
| 亜鉛 | かき(牡蠣) | 第6章 |
| ヨウ素 | 昆布、わかめ | 第6章 |
| EPA・DHA | 青魚 | 第3章 |
| α-リノレン酸 | えごま油、あまに油 | 第3章 |
| オレイン酸 | オリーブ油 | 第3章 |
5-4. 糖の組み合わせ
| 二糖類 | 構成 | 分解酵素 | 章 |
|---|---|---|---|
| ショ糖(砂糖) | ブドウ糖+果糖 | スクラーゼ | 第4・7章 |
| 麦芽糖 | ブドウ糖+ブドウ糖 | マルターゼ | 第4・7章 |
| 乳糖 | ブドウ糖+ガラクトース | ラクターゼ | 第4・7章 |
6. 食事摂取基準(2025年版)の主な値
6-1. 基本事項
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 根拠 | 健康増進法第16条の2 |
| 定める者 | 厚生労働大臣 |
| 改定 | 5年ごと |
| 使用期間 | 令和7年度〜令和11年度 |
| 対象 | 健康な個人と集団 |
| エネルギーの指標 | BMI |
| 不足の回避 | 推定平均必要量(50%)、推奨量(97〜98%)、目安量 |
| 過剰の回避 | 耐容上限量 |
| 生活習慣病の予防 | 目標量 |
6-2. エネルギー産生栄養素バランスと主な目標量
| 項目 | 基準(18歳以上) |
|---|---|
| たんぱく質 | 13〜20%エネルギー(50〜64歳14〜20%、65歳以上15〜20%) |
| 脂質 | 20〜30%エネルギー |
| 飽和脂肪酸 | 7%エネルギー以下 |
| 炭水化物 | 50〜65%エネルギー |
| 食物繊維 | 男性20〜22g以上、女性18g以上(75歳以上は男性20g・女性17g以上) |
| 食塩相当量 | 男性7.5g未満、女性6.5g未満(高血圧などの重症化予防は6.0g未満) |
| カリウム | 男性3,000mg以上、女性2,600mg以上 |
| コレステロール | 目標量なし(脂質異常症の重症化予防は200mg未満が望ましい) |
| トランス脂肪酸 | 1%エネルギー未満が望ましい |
| 目標とするBMI | 18〜49歳18.5〜24.9、50〜64歳20.0〜24.9、65歳以上21.5〜24.9 |
6-3. 主な推奨量など(18〜64歳)
| 栄養素 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| たんぱく質(推奨量) | 65g(65歳以上60g) | 50g |
| カルシウム(推奨量) | 750〜800mg | 650mg |
| 鉄(推奨量) | 7.0〜7.5mg | 月経なし6.0mg、月経あり10.0〜10.5mg |
| ビタミンC(推奨量) | 100mg | 100mg |
| 葉酸(推奨量) | 240μg | 240μg |
| ビタミンB12(目安量) | 4.0μg | 4.0μg |
| ビタミンD(目安量) | 9.0μg | 9.0μg |
6-4. 推定エネルギー必要量(身体活動レベル「ふつう」)
| 年齢 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 18〜29歳 | 2,600kcal | 1,950kcal |
| 30〜49歳 | 2,750kcal | 2,050kcal |
| 50〜64歳 | 2,650kcal | 1,950kcal |
推定エネルギー必要量=基礎代謝量×身体活動レベル
7. 2025年版で変わったところ(古い教材との違い)
古い教材や過去問で勉強する場合は、次の点に特に注意すること。
| 項目 | 古い教材(2020年版など) | 現在 | 章 |
|---|---|---|---|
| 食事摂取基準の版と使用期間 | 2020年版(令和2〜6年度) | 2025年版(令和7〜11年度) | 第12章 |
| 身体活動レベルの呼び方 | Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ | 低い・ふつう・高い | 第8章 |
| アルコールの扱い | 炭水化物の項 | エネルギー産生栄養素バランスの項。「栄養素ではない」と明記 | 第4・12章 |
| 食物繊維の目標量 | 18〜64歳 男性21g以上・女性18g以上 | 男性20〜22g以上(年齢による)・女性18g以上 | 第4章 |
| ビタミンB12 | 推奨量 2.4μg | 目安量 4.0μg | 第5章 |
| ビタミンD | 目安量 8.5μg | 目安量 9.0μg | 第5章 |
| 鉄の耐容上限量 | 設定あり | 設定しない | 第6章 |
| 亜鉛の値 | 整数 | 0.5mg刻み | 第6章 |
| 取り上げる生活習慣病 | 高血圧・脂質異常症・糖尿病・慢性腎臓病 | 4つに骨粗鬆症を追加 | 第10章 |
| 高血圧の降圧目標 | 75歳以上は140/90mmHg未満など | 年齢にかかわらず130/80mmHg未満(ガイドライン2025) | 第10章 |
| 離乳と卵 | アレルギーを心配して遅らせる | 離乳初期から固ゆでの卵黄を少量ずつ(授乳・離乳の支援ガイド2019年改定版) | 第11章 |
| 乳児の果汁 | 早くから与える | 栄養学的な意味は認められない | 第11章 |
| 特定原材料 | 8品目 | 9品目(カシューナッツ追加、令和8年4月〜) | 第10章 |
| 食品成分表のエネルギー計算 | アトウォーター係数(七訂まで) | 成分ごとの係数(八訂)。試験は4・9・4で答える | 第8章 |
8. まぎらわしい用語の比較
| 比べるもの | 違い | 章 |
|---|---|---|
| 栄養と栄養素 | 栄養ははたらき(現象)、栄養素は物質 | 第1章 |
| 異化と同化 | 異化は分解、同化は合成 | 第1章 |
| 必須アミノ酸と非必須アミノ酸 | 必須は体内でつくれない(9種類)。非必須は体内でつくれる(不要ではない) | 第2章 |
| 飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸 | 飽和は二重結合なし・融点が高く固まりやすい。不飽和は二重結合あり・酸化しやすい | 第3章 |
| LDLとHDL | LDLは肝臓から全身へ(悪玉)、HDLは全身から肝臓へ(善玉) | 第3章 |
| でんぷんとグリコーゲン | でんぷんは植物のたくわえ、グリコーゲンは動物のたくわえ(肝臓と筋肉) | 第4章 |
| 肝臓と筋肉のグリコーゲン | 肝臓は血糖値の維持、筋肉は筋肉自身のエネルギー | 第4章 |
| 水溶性と不溶性の食物繊維 | 水溶性(ペクチン、グルコマンナン)は血糖・コレステロール、不溶性(セルロース)は便通 | 第4章 |
| 乳糖不耐症と牛乳アレルギー | 乳糖不耐症はラクターゼの不足、アレルギーは免疫の反応 | 第4章 |
| 脂溶性と水溶性のビタミン | 脂溶性(A・D・E・K)はたまりやすく過剰症に注意。水溶性は調理で失われやすい | 第5章 |
| ヘム鉄と非ヘム鉄 | ヘム鉄(動物性)は吸収されやすい、非ヘム鉄(植物性)は吸収されにくい | 第6章 |
| ナトリウムとカリウム | ナトリウムは細胞外、カリウムは細胞内 | 第6章 |
| 門脈とリンパ管 | 門脈は水溶性(肝臓へ)、リンパ管は脂溶性 | 第7章 |
| 内分泌と外分泌 | 内分泌は血液へ(ホルモン)、外分泌は管を通す(消化液)。膵臓は両方 | 第9章 |
| 副腎皮質と副腎髄質 | 皮質はコルチゾール・アルドステロン、髄質はアドレナリン | 第9章 |
| 摂食中枢と満腹中枢 | 摂食中枢は外側野、満腹中枢は腹内側核 | 第9章 |
| レプチンとグレリン | レプチン(脂肪組織)は食欲を抑える、グレリン(胃)は食欲を高める | 第9章 |
| 内臓脂肪型と皮下脂肪型 | 内臓脂肪型(りんご型)は生活習慣病になりやすい | 第10章 |
| 1型糖尿病と2型糖尿病 | 1型はインスリンが出ない、2型は出が悪い・効きが悪い(約95%) | 第10章 |
| フレイルとサルコペニア | フレイルは心身の活力の低下(戻れる)、サルコペニアは筋肉量の低下 | 第11章 |
| 推定平均必要量と推奨量 | 推定平均必要量は50%、推奨量は97〜98%の人が満たす量 | 第12章 |
| 食事バランスガイドと四群点数法 | バランスガイドの単位はつ(SV)、四群点数法は80kcal=1点 | 第12章 |
| 食事摂取基準と食品成分表 | 食事摂取基準は厚生労働省、食品成分表は文部科学省 | 第12章 |
9. 覚え方のまとめ
| 覚えること | 覚え方 | 章 |
|---|---|---|
| 必須アミノ酸9種類 | ふろばいすひとりめ(フェニルアラニン・ロイシン・バリン・イソロイシン・スレオニン・ヒスチジン・トリプトファン・リシン・メチオニン) | 第2章 |
| アミノ酸価 | 桶の理論(いちばん短い板=第一制限アミノ酸) | 第2章 |
| 脂溶性ビタミン | D・A・K・E(だけ) | 第5章 |
| ペラグラの症状 | 3つのD(皮膚炎・下痢・認知症) | 第5章 |
| 多量ミネラル | ナ・カ・カ・マ・リ(ナトリウム・カリウム・カルシウム・マグネシウム・リン) | 第6章 |
| 二糖類の分解酵素 | 糖の名前+アーゼ(マルトース→マルターゼ) | 第7章 |
| 副甲状腺ホルモン | カルシウムをふく(副)やす(増やす) | 第9章 |
| カルシトニン | カルシウムをとにかく下げる | 第9章 |
試験対策:間違えやすいポイントBEST20
試験で特に間違えやすい文です。正しいか間違いか、選んでから答えを確かめてください。
Q1三大栄養素は、炭水化物・たんぱく質・ビタミンである
Q2脂質は1gあたり約4kcalのエネルギーを生み出す
Q3成人の必須アミノ酸は8種類である
Q4ゼラチンはたんぱく質を多く含むため、アミノ酸価が高い
Q5オレイン酸は必須脂肪酸である
Q6ショ糖は、ブドウ糖とガラクトースが結合したものである
Q7筋肉のグリコーゲンは、血糖値の維持に使われる
Q8ビタミンAが欠乏するとくる病になり、ビタミンDが欠乏すると夜盲症になる
Q9ビタミンB1の欠乏症は壊血病である
Q10食事摂取基準(2025年版)のビタミンB12の推奨量は2.4μgである
Q11鉄の吸収は、お茶のタンニンによって促進される
Q12胆汁には、脂肪を分解する消化酵素が含まれている
Q13ブドウ糖やアミノ酸は、リンパ管を通って運ばれる
Q14グルカゴンは、血糖値を下げるホルモンである
Q15レプチンは胃から分泌され、食欲を高める
Q16食事誘発性熱産生は、脂質が最も大きい
Q17メタボリックシンドロームの腹囲の基準は、男性90cm以上、女性85cm以上である
Q18はちみつは、加熱した菓子に使えば1歳未満の乳児に与えてもよい
Q19食事摂取基準(2025年版)の使用期間は、令和7年度から令和12年度までである
Q20食事バランスガイドのコマの軸は、菓子・嗜好飲料を表している
まとめ
栄養学の学習で大切なのは、次の4つの問いに、すぐに答えられるようにしておくことである。
- 何が足りないと、何が起こるか(欠乏症の組み合わせ)
- どこで、何が、何に分解され、どこへ運ばれるか(消化と吸収)
- 何が上げて、何が下げるか(ホルモンの調節)
- 基準はいくつか(食事摂取基準と病気の診断基準)
そして、食事摂取基準が2025年版に改定され、古い教材と答えが変わっている箇所があることを忘れないこと。
栄養学で学んだことは、試験のためだけの知識ではない。砂糖も、バターも、卵も、小麦粉も、食べた人の体の中で、エネルギーになり、筋肉になり、体の調子を整えるはたらきをしている。食べる人の体の中で起きていることを知っている菓子職人は、おいしさと同じくらい、食べる人の健やかさを大切にできる。
食事バランスガイドの中で、菓子はコマを回す「ひも」である。人の暮らしを、楽しく、勢いよく回していく。その菓子を、正しい知識をもってつくることが、栄養学を学んだ菓子職人の誇りである。
※ 本書は「日本人の食事摂取基準(2025年版)」と令和8年(2026年)9月時点の情報にもとづいています。

