公衆衛生学 第三部 病気の予防
衛生動物と媒介感染症
はじめに
14世紀のヨーロッパで人口の多くをうばったペストは、ネズミに寄生するノミによって広がった。現在でも、世界では毎年多くの人が、蚊が運ぶマラリアやデング熱で亡くなっている。日本でも、2014年には東京の公園を中心にデング熱の国内感染が起き、近年はマダニが運ぶ重症熱性血小板減少症候群(SFTS)が各地で報告されている。
人の健康に害を与えるネズミや昆虫などの動物を衛生動物(衛生害虫)という。衛生動物は、病原体を運んで感染症を広げるだけでなく、人を刺したりかんだりして被害を与え、アレルギーの原因となり、食品を食い荒らしたり汚したりする。
食品を扱う場所にとって、ネズミやゴキブリ、ハエは、もっとも身近で、もっとも警戒すべき相手である。菓子は、砂糖、粉、油脂、果物など、衛生動物の好むものが多く、においも強い。一度すみつかれると、追い出すのは容易ではない。
本章では、主な衛生動物の種類と、それが媒介する感染症を学び、その防除の考え方を確認する。試験では、衛生動物と感染症の組み合わせがよく出題される。とくに「蚊=日本脳炎・マラリア・デング熱」「マダニ=SFTS」「ノミ=ペスト」「ネズミ=レプトスピラ症」などの組み合わせを正確に覚えよう。
1. 衛生動物とは
1-1. 衛生動物による被害
衛生動物による被害は、次のように分けられる。
| 被害 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 感染症の媒介 | 病原体を運び、人に感染させる | 蚊(日本脳炎、マラリア)、マダニ(SFTS)、ノミ(ペスト) |
| 刺したりかんだりする被害 | 刺されたり、かまれたり、血を吸われたりして、かゆみや痛み、皮膚の炎症を起こす | 蚊、ノミ、イエダニ、ハチ、ムカデ |
| アレルギー | 死がいやふんが、ぜんそくなどのアレルギーの原因になる | 室内のダニ(チリダニ)、ゴキブリ |
| 食品の被害 | 食品を食べたり、汚したり、異物として混入したりする | ネズミ、ゴキブリ、ハエ、貯穀害虫 |
| 不快感 | 姿を見るだけで不快感を与える | ゴキブリ、ハエ、クモ |
1-2. 感染症を媒介する二つの方法
衛生動物が病原体を運ぶ方法には、二つの型がある。
| 型 | 仕組み | 例 |
|---|---|---|
| 機械的伝播 | 体の表面や足、口に病原体を付着させて運ぶ。衛生動物の体の中で病原体は増えない | ハエ、ゴキブリが、赤痢菌やサルモネラなどを食品に運ぶ |
| 生物学的伝播 | 病原体が衛生動物の体の中で増えたり、成長したりしてから、刺したときなどに人にうつる | 蚊(マラリア、日本脳炎)、マダニ(SFTS)、ノミ(ペスト) |
2. ネズミ
2-1. 家の中にすむネズミ
ネズミは、そ族ともよばれる。人家や建物にすみつく主なネズミは、次の3種類である。
| 種類 | 大きさ | すみかと特徴 |
|---|---|---|
| ドブネズミ | 大型 | 水辺、下水道、建物の地下や1階など、湿った低い場所を好む。泳ぐのが得意。雑食で、肉や魚などの動物性の食べ物を好む |
| クマネズミ | 中型 | 建物の天井裏や高い場所を好む。登るのが得意で、電線やパイプを伝って移動する。警戒心が強く、わなにかかりにくい。都市のビルで大きな問題となっており、殺そ剤が効きにくいものもいる |
| ハツカネズミ | 小型 | 畑や倉庫、建物のすき間など。わずかなすき間からも侵入する |
2-2. ネズミが媒介する感染症
| 感染症 | 感染のしかた |
|---|---|
| ペスト | ネズミに寄生するノミ(ケオプスネズミノミ)が、ペスト菌をもつネズミの血を吸い、人を刺してうつす(一類感染症) |
| レプトスピラ症(ワイル病など) | ネズミの尿にふくまれる病原体が、水や土を通じて、皮膚の傷や口から入る。発熱、黄疸、腎臓の障害を起こす(四類感染症) |
| サルモネラ症 | ネズミのふんで汚染された食品を食べてうつる(食品衛生学の本の細菌性食中毒①感染型の章を参照) |
| 腎症候性出血熱 | ネズミのふんや尿のウイルスを吸いこんでうつる(四類感染症) |
| ラッサ熱 | アフリカの野ネズミのふんや尿からうつる(一類感染症) |
| 鼠咬症 | ネズミにかまれてうつる |
2-3. ネズミの被害と「ラットサイン」
ネズミは、食品を食べたり、ふんや尿で汚したりするだけでなく、電気のコードやガス管をかじって火災や停電の原因にもなる。
ネズミは夜行性で、人の目にふれにくい。ネズミがいるかどうかは、次のようなラットサイン(ネズミのいる証拠)で見つける。
| ラットサイン | 内容 |
|---|---|
| ふん・尿 | 通り道や物かげに落ちているふん、尿のしみ |
| かじり跡 | 食品の袋、木材、コードなどのかじられた跡 |
| こすり跡 | 通り道の壁や柱に、体の脂や汚れが黒くついた跡 |
| 足跡 | ほこりの上の足跡 |
| 物音 | 夜間の天井裏などの物音 |
3. 蚊
3-1. 蚊の種類と媒介する感染症
蚊は、雌だけが卵を産むための栄養として人や動物の血を吸う。血を吸うときに、病原体がうつる。
| 蚊の種類 | 主に媒介する感染症 | 特徴 |
|---|---|---|
| コガタアカイエカ | 日本脳炎 | 水田などで発生する。ウイルスはブタの体内で増え、それを吸った蚊が人を刺してうつす |
| ハマダラカ | マラリア | 熱帯・亜熱帯に多い。マラリアは原虫による病気で、世界で毎年多くの死者を出している |
| ヒトスジシマカ(やぶ蚊) | デング熱、ジカウイルス感染症、チクングニア熱 | 日本の広い地域にすむ。昼間に活動する。墓地の花立て、古タイヤ、空き缶などの小さな水たまりで発生する |
| ネッタイシマカ | デング熱、黄熱、ジカウイルス感染症 | 熱帯・亜熱帯に多い。日本には定着していない |
| アカイエカ・チカイエカ | ウエストナイル熱、犬のフィラリア症 | 家の周りやビルの地下などで発生する |
日本では、2014年に、海外に行っていない人の間でデング熱の国内感染が起きた。地球温暖化によって、ヒトスジシマカのすむ地域が北に広がっており、蚊が媒介する感染症への注意が必要になっている(第6章参照)。
3-2. 蚊の対策
蚊の幼虫(ボウフラ)は、水の中で育つ。もっとも効果的な対策は、発生源となる水たまりをなくすことである。
| 対策 | 内容 |
|---|---|
| 発生源の除去 | 植木鉢の受け皿、バケツ、古タイヤ、空き缶などにたまった水を週1回以上捨てる。雨どいや側溝の詰まりを取り除く |
| 侵入防止 | 網戸を使う。すき間をふさぐ |
| 刺されない工夫 | 屋外では長袖・長ズボンを着用し、虫よけ剤を使う |
4. ハエとゴキブリ
4-1. ハエ
ハエは、ふん尿、生ごみ、動物の死がいなどの汚れたものと、人の食べ物の両方に集まる。足や体の毛、口に病原体をつけて食品に運ぶ(機械的伝播)ため、消化器系の感染症や食中毒を広げる原因となる。
| ハエの種類 | 特徴 |
|---|---|
| イエバエ | 家の中や畜舎に多い。赤痢、腸チフス、コレラ、サルモネラ症、腸管出血性大腸菌感染症などの病原体を運ぶ |
| キンバエ・クロバエ・ニクバエ | 生ごみや動物の死がいに集まる |
| ショウジョウバエ | 小型で、熟した果物や、発酵したもの(酒、酢、果汁など)のにおいに集まる |
| チョウバエ | 排水溝や浄化槽など、汚れた水のたまる場所で発生する |
ハエの対策の基本は、生ごみの管理(ふたのある容器に入れ、こまめに処理する)、排水溝の清掃、網戸やエアカーテンによる侵入防止である。
4-2. ゴキブリ
ゴキブリは、暖かく、湿気があり、食べ物と水があって、暗くて狭いすき間のある場所を好む。夜行性で、昼間は物かげにかくれている。
| ゴキブリの種類 | 特徴 |
|---|---|
| チャバネゴキブリ | 小型(約1.5cm)。飲食店、食品工場、ビルなど、暖房のある建物の中で一年中繁殖する。冷蔵庫や機械のモーターまわりなど、暖かい場所に集まる |
| クロゴキブリ | 大型(約3cm)。一般の家屋に多い。屋外からも侵入する |
| ワモンゴキブリ | 大型。暖かい地域や、ビルの地下などに多い |
ゴキブリは、雑食性で、汚れたものと食品の間を行き来し、赤痢菌、サルモネラなどの病原体を機械的に運ぶ。また、ゴキブリのふんや死がいは、ぜんそくなどのアレルギーの原因にもなる。
ゴキブリのふんには、仲間を集める物質(集合フェロモン)がふくまれている。ふんで汚れた場所には、さらにゴキブリが集まるため、ふんの清掃も大切な対策である。
5. ダニ・ノミ・シラミ
5-1. ダニ
ダニは、種類によって、人に与える被害が大きく異なる。
| ダニの種類 | すみか | 主な被害・媒介する感染症 |
|---|---|---|
| マダニ | 野山、草むら、やぶ | 人や動物にとりついて、数日間血を吸い続ける。重症熱性血小板減少症候群(SFTS)、日本紅斑熱、ライム病などを媒介する |
| ツツガムシ | 野山、河川敷 | つつが虫病を媒介する |
| イエダニ | ネズミに寄生する | ネズミがいなくなると、人を刺してかゆみを起こす |
| チリダニ(ヒョウヒダニ) | 家の中のほこり、寝具、じゅうたん | 刺さないが、死がいやふんがぜんそく、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎の原因となる |
| コナダニ | 小麦粉、乾物、菓子など、保存食品 | 食品の中で増え、食品の品質を悪くする。増えたダニをふくむ食品を食べて、アレルギーを起こすことがある |
SFTS(重症熱性血小板減少症候群)は、SFTSウイルスをもつマダニにかまれて感染する、四類感染症である。日本では2013年に初めて患者が確認され、主に西日本で報告されてきたが、報告される地域は広がっている。発熱、嘔吐、下痢などの症状があり、重症になると死亡することもある。SFTSに感染した犬や猫から、人に感染した例も報告されている。野山に入るときは、肌の露出を少なくし、帰宅後は体にマダニがついていないかを確認する。マダニにかまれたときは、無理に取らずに、医療機関で取ってもらう。
5-2. ノミ
ノミは、人や動物の血を吸う小さな昆虫で、跳躍力が強い。ケオプスネズミノミは、ネズミに寄生し、ペストを媒介する。家庭では、犬や猫に寄生するネコノミが人を刺し、強いかゆみを起こすことがある。
5-3. シラミ
シラミは、人の血を吸う小さな昆虫である。
| シラミの種類 | 主な被害 |
|---|---|
| コロモジラミ | 衣服に寄生する。発しんチフスなどを媒介する。戦争や災害で、衣服を洗えない生活が続くと流行する |
| アタマジラミ | 頭髪に寄生する。保育所や小学校などで、子どもの間で広がることがある。強いかゆみを起こす |
5-4. 衛生動物と感染症のまとめ
| 衛生動物 | 主に媒介する感染症 |
|---|---|
| ネズミ | レプトスピラ症、サルモネラ症、腎症候性出血熱、ラッサ熱、ペスト(ノミを介して) |
| ノミ | ペスト |
| コガタアカイエカ | 日本脳炎 |
| ハマダラカ | マラリア |
| ヒトスジシマカ・ネッタイシマカ | デング熱、ジカウイルス感染症、チクングニア熱、黄熱(ネッタイシマカ) |
| マダニ | SFTS、日本紅斑熱、ライム病 |
| ツツガムシ | つつが虫病 |
| コロモジラミ | 発しんチフス |
| ハエ・ゴキブリ | 赤痢、腸チフス、コレラ、サルモネラ症などの消化器系の感染症(機械的伝播) |
⚠️ 組み合わせの取り違えに注意する。「ツツガムシ=日本脳炎」「コロモジラミ=マラリア」「蚊=ペスト」「ネズミ=デング熱」は、いずれも誤り。
6. 動物由来感染症
衛生動物のほかにも、ペットや家畜、野生動物から人にうつる感染症がある。これを動物由来感染症(人獣共通感染症)という。
| 感染症 | 主な感染源 | 内容 |
|---|---|---|
| 狂犬病 | 犬など | 発病するとほぼ100%死亡する。日本では、狂犬病予防法により、犬の登録と年1回の予防注射が義務づけられている。国内では1957年以降、動物の発生はないが、海外でかまれて帰国後に発病した例がある(四類感染症) |
| オウム病 | 鳥(インコ、ハトなど) | 乾燥したふんを吸いこんでうつる |
| トキソプラズマ症 | 猫、加熱不十分な肉 | 妊娠中に初めて感染すると、胎児に影響することがある |
| エキノコックス症 | キツネ、犬 | 北海道などで、キツネのふんにふくまれる寄生虫の卵が口から入る。肝臓に障害を起こす |
| 鳥インフルエンザ | 鳥 | 感染した鳥との濃厚な接触でうつる |
動物にふれたあとは手をよく洗うこと、ペットとの過剰なふれあい(口移しでえさを与えるなど)を避けることが、予防の基本である。
7. 衛生動物の防除
7-1. 防除の基本
衛生動物の対策では、殺虫剤や殺そ剤にたよるだけでなく、すみにくい環境をつくることが基本である。
| 対策 | 内容 |
|---|---|
| 発生源対策(環境の整備) | えさとなる食品や生ごみを出しっぱなしにしない。水たまりをなくす。整理整頓と清掃で、すみかとなる物かげやすき間をなくす |
| 侵入防止 | 網戸を付ける。壁や床のすき間、配管の周りをふさぐ。排水溝にふたや網を付ける。ドアを開けっぱなしにしない |
| 駆除 | わな(粘着シート、捕獲器)、殺虫剤、殺そ剤などを、必要な場所に、必要な量だけ使う |
薬剤だけにたよると、薬剤が効かない(抵抗性をもつ)衛生動物がふえたり、食品や人への影響が心配されたりする。
7-2. 総合的有害生物管理(IPM)
現在、衛生動物の防除は、IPM(総合的有害生物管理)という考え方で進められている。IPMは、次のような流れで行う。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 調査(モニタリング) | トラップなどを使い、どこに、どんな衛生動物が、どれだけいるかを定期的に調べる |
| 目標の設定 | どの程度まで減らすかの目標を決める |
| 対策 | 発生源対策と侵入防止を優先し、必要な場合にだけ、人や環境への影響の少ない方法で薬剤を使う |
| 効果の確認と記録 | 対策の効果を調べ、記録して、次の対策に生かす |
多くの人が利用するビル(特定建築物)では、建築物衛生法によって、6か月以内ごとに1回、ネズミや昆虫などの発生状況を定期的に調査し、その結果にもとづいて防除を行うことが定められている。
8. 製菓とのつながり
8-1. 菓子店は衛生動物にねらわれやすい
菓子店には、衛生動物のえさになるものが多い。砂糖、小麦粉、ナッツ、チョコレート、バター、果物、生クリーム。甘いにおいは外にも広がり、オーブンや冷蔵庫のモーターまわりは、一年中暖かい。菓子店は、ネズミやゴキブリにとって、すみやすい場所になりやすい。
ネズミやゴキブリが食品にふれれば、サルモネラなどの病原体による食中毒の原因となり、ふんや虫の体の一部が菓子に混入すれば、異物混入として大きな問題になる。店の信用を一度に失うことにもなりかねない。
食品衛生法の衛生管理の基準でも、施設へのネズミや昆虫の侵入を防ぎ、定期的に発生状況を確認して駆除を行い、その記録を残すことが求められている(食品衛生学の本の施設と食品取扱者の衛生管理の章を参照)。
8-2. 菓子店で注意したい虫
| 虫 | 菓子店での注意点 |
|---|---|
| チャバネゴキブリ | 厨房の機械のすき間、冷蔵庫やオーブンの裏、段ボールのすき間にひそむ。段ボールは虫や卵が入りこみやすいため、厨房に持ちこまず、早めに処分する |
| ショウジョウバエ | 熟した果物、ジャム、洋酒、果汁のしみたスポンジなどに集まる。果物は覆いをして保管し、果物のくずやシロップのこぼれはすぐに片づける |
| チョウバエ | 排水溝やグリーストラップの汚れから発生する。排水まわりを定期的に清掃する |
| 貯穀害虫 | ノシメマダラメイガ(ガの幼虫)は、穀類、ナッツ、ドライフルーツ、チョコレートなどを食べ、袋に穴をあけて侵入する。シバンムシは、小麦粉、乾麺、香辛料、乾燥菓子などを食べる。原材料は密閉容器で保管し、先入れ先出しで使い切る |
| コナダニ | 開封した小麦粉やミックス粉、きな粉、乾物の中で、湿気と暖かさによって増える |
8-3. 開封した粉とダニ
開封した小麦粉やホットケーキミックス、お好み焼き粉などを常温で長く置いておくと、袋の中でダニが大量に増えることがある。ダニが増えた粉で調理したものを食べると、ダニのたんぱく質によって、まれにアナフィラキシーなどの重いアレルギー症状を起こすことがある。ダニは加熱しても、アレルギーの原因となる成分は残る。
開封した粉は、口をしっかり閉じて密閉容器に入れ、湿気の少ない涼しい場所(家庭では冷蔵庫など)で保管し、早めに使い切ることが大切である。これは、菓子店だけでなく、家庭で菓子をつくるお客様にも伝えたい知識である。
試験対策:よくある間違いポイント
試験に出る文です。正しい文(○)と間違った文(×)がまざっています。選んでから答えを確かめてください。
Q1チャバネゴキブリは大型で、主に屋外にすむ
Q2コガタアカイエカは、日本脳炎を媒介する
Q3衛生動物の対策は、殺虫剤や殺そ剤による駆除が最も重要である
Q4ヒトスジシマカは、夜間にのみ活動する
Q5ネズミが媒介する感染症には、ペスト、ラッサ熱、腎症候性出血熱などがある
Q6狂犬病予防法では、犬の予防注射は生涯に1回受ければよい
Q7蚊の発生を防ぐには、幼虫(ボウフラ)が育つ水たまりをなくすことが効果的である
Q8ツツガムシは、つつが虫病を媒介する
Q9ドブネズミは、高い場所を好み、天井裏にすむことが多い
Q10チャバネゴキブリは、飲食店などの暖かい場所で一年中繁殖する
Q11ヒトスジシマカは、デング熱を媒介する
Q12日本脳炎ウイルスは、主にニワトリの体内で増え、蚊によって人にうつる
Q13ハエは、体の中で病原体を増やしてから人にうつす(生物学的伝播)
Q14ツツガムシは、日本脳炎を媒介する
Q15イエバエは、赤痢菌や腸チフス菌などを食品に運ぶことがある
Q16レプトスピラ症は、蚊に刺されることで感染する
Q17コロモジラミは、発しんチフスを媒介する
Q18重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は、蚊が媒介する
Q19コロモジラミは、マラリアを媒介する
Q20ネズミ(そ族)が媒介する感染症には、デング熱がある
Q21蚊が媒介する感染症には、ペストがある
Q22室内のチリダニは、人を刺して血を吸う
Q23マダニは、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)を媒介する
Q24ハマダラカは、マラリアを媒介する
まとめ
人の健康に害を与えるネズミや昆虫などを衛生動物という。衛生動物は、感染症の媒介、刺したりかんだりする被害、アレルギー、食品の被害などを起こす。病原体の運び方には、体の表面につけて運ぶ機械的伝播(ハエ、ゴキブリ)と、体の中で病原体が増える生物学的伝播(蚊、マダニ、ノミ)がある。
ネズミ(ドブネズミ=水辺・地下、クマネズミ=高所・ビル、ハツカネズミ)は、レプトスピラ症(尿)、サルモネラ症、腎症候性出血熱、ラッサ熱、ノミを介したペストを媒介する。蚊は、コガタアカイエカが日本脳炎(ブタで増える)、ハマダラカがマラリア、ヒトスジシマカ(昼間に活動)がデング熱などを媒介する。マダニはSFTSや日本紅斑熱、ツツガムシはつつが虫病、ノミはペスト、コロモジラミは発しんチフスを媒介する。室内のチリダニはアレルギー、コナダニは保存食品で増える。
犬からうつる狂犬病は、狂犬病予防法で犬の登録と年1回の予防注射が義務づけられている。
衛生動物の防除の基本は、えさやすみか、水たまりをなくす発生源対策と侵入防止であり、薬剤は必要な場合に必要な量だけ使う(IPM)。
菓子店は、甘いにおいと暖かい機械まわりのため、ネズミやゴキブリ、ショウジョウバエ、貯穀害虫にねらわれやすい。段ボールを厨房に持ちこまない、原材料を密閉して保管する、開封した粉を早めに使い切るなど、日々の管理が大切である。次章では、現代の日本人の健康にもっとも大きくかかわる生活習慣病の予防について学ぶ。
※ 本書は、令和7年の人口動態統計、令和7年簡易生命表、令和8年10月時点の法令・制度にもとづいています。

