公衆衛生学 第一部 公衆衛生のしくみ
公衆衛生学の基礎
はじめに
病気になった人を一人ずつ診て治すのが臨床医学だとすれば、病気にならないように、地域や社会全体の健康を守るのが公衆衛生である。安全な水道、ごみの収集、予防接種、健康診断、食品の監視、職場の安全。私たちがふだん意識せずに受けているこうした仕組みの多くが、公衆衛生の成果である。
製菓衛生師の仕事も、公衆衛生と深くかかわっている。製菓衛生師法の目的は、菓子製造業に従事する者の資質を向上させ、「公衆衛生の向上及び増進に寄与すること」である(衛生法規の製菓衛生師法の章を参照)。菓子をつくる人は、店や工場で働く一人の職業人であると同時に、地域の人々の健康を支える公衆衛生の担い手でもある。
製菓衛生師試験では、公衆衛生学は全60問のうち9問程度(全体の約15%)が出題される。出題の中心は、健康と公衆衛生の定義、衛生統計(人口・死因・寿命)、環境衛生(空気・水・公害)、感染症の分類と予防、生活習慣病、労働衛生である。数値や順位、人物名が問われることが多く、正確に覚えることで得点しやすい科目でもある。
本章では、公衆衛生学を学ぶ土台として、健康とは何か、公衆衛生とは何かを確認し、公衆衛生が世界と日本でどのように発展してきたかをたどる。そして、現代の公衆衛生の考え方であるプライマリヘルスケアとヘルスプロモーションを学ぶ。
本書は、令和7年(2025年)の人口動態統計、令和7年簡易生命表、令和8年10月時点の法令・制度にもとづいて記述する。統計の数値は毎年更新されるため、古い教材と答えが異なる箇所には、試験対策の欄で注意を記す。
1. 健康とは何か
1-1. WHOによる健康の定義
健康の定義として最もよく知られているのは、WHO(世界保健機関)のWHO憲章の前文にある定義である。WHO憲章は、1946年に採択された。
健康とは、肉体的、精神的及び社会的に完全に良好な状態であり、単に疾病又は虚弱の存在しないことではない。
この定義には、次の二つの大切な考え方がふくまれている。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 三つの側面 | 健康は、肉体的(身体的)、精神的、社会的の三つの側面から考える。体が元気でも、心が深く落ち込んでいたり、社会の中で孤立していたりすれば、完全に健康とはいえない |
| 病気がないだけではない | 健康とは、病気やけが、体の弱さが「ない」ことだけではなく、より積極的に「良好な状態(well-being)」であることをいう |
試験では、「社会的」と「虚弱」の部分を空欄にした問題や、「社会的」を「経済的」に置きかえた誤りの選択肢がよく出題される。
WHO憲章では、さらに次のように述べている。
到達しうる最高基準の健康を享受することは、人種、宗教、政治的信念又は経済的もしくは社会的条件の差別なしに、万人の有する基本的権利の一つである。
健康は、一部の人だけが恵まれるものではなく、すべての人の基本的な権利である、という考え方である。
1-2. 日本国憲法第25条
日本では、日本国憲法第25条が、健康を国民の権利として位置づけ、国の責務を定めている。
第1項 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
第2項 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
第1項は生存権とよばれる。第2項は、その権利を実現するための国の責務として、社会福祉・社会保障・公衆衛生の三つを挙げている。日本の公衆衛生行政は、この条文を根拠として行われている。
試験では、「憲法第25条」という条文の番号と、第2項の三つの言葉(社会福祉・社会保障・公衆衛生)がよく問われる。条文の言葉を入れかえた誤りの選択肢(「衛生的」「財産部面」など)にも注意する。
1-3. 健康を左右するもの
人の健康は、生まれもった体質だけでなく、さまざまな要因に左右される。
| 要因 | 例 |
|---|---|
| 個人の要因 | 年齢、性別、遺伝的な体質 |
| 生活習慣 | 食事、運動、休養、喫煙、飲酒 |
| 環境 | 空気、水、住まい、職場の環境、気候 |
| 社会・経済の要因 | 所得、教育、仕事、地域のつながり、医療を受けられるかどうか |
健康のために個人ができることには限りがある。安全な水や空気、安心して働ける職場、医療を受けられる制度など、社会の仕組みを整えることが、人々の健康を大きく左右する。ここに、公衆衛生が必要とされる理由がある。
2. 公衆衛生とは何か
2-1. ウインスローの定義
公衆衛生の定義として広く知られているのは、アメリカの公衆衛生学者ウインスロー(C.E.A. Winslow)が示したものである。
公衆衛生とは、環境衛生の改善、伝染病の予防、個人衛生の原則についての教育、疾病の早期診断と予防的治療のための医療と看護サービスの組織化、そして地域社会のすべての人に、健康を保持するために適切な生活水準を保障する社会制度の発展のために、地域社会の組織的な努力を通じて、疾病を予防し、生命を延長し、身体的・精神的健康と能率の増進を図る科学であり技術である。
長い定義であるが、要点は次のようにまとめられる。
| 要点 | 内容 |
|---|---|
| 目的 | 疾病の予防、生命の延長、健康と能率の増進 |
| 方法 | 地域社会の組織的な努力(個人の努力だけでなく、社会全体で取り組む) |
| 活動の内容 | 環境衛生の改善、感染症の予防、衛生教育、医療・看護の組織化、生活水準を保障する社会制度 |
| 性格 | 科学であり技術でもある |
一言でいえば、公衆衛生とは「みんなの健康を、社会の組織的な努力によって守る」ための科学と技術である。
2-2. 公衆衛生の特徴
公衆衛生には、臨床医学と比べて次のような特徴がある。
| 項目 | 臨床医学 | 公衆衛生 |
|---|---|---|
| 主な対象 | 病気の個人(患者) | 地域や職場などの集団(健康な人を含む) |
| 主な目的 | 病気の診断と治療 | 病気の予防と健康の増進 |
| 方法 | 診察、検査、治療 | 調査(統計・疫学)、環境の整備、制度づくり、教育 |
| 担い手 | 医師、看護師など | 行政、保健所、医療従事者、事業者、地域の住民など社会全体 |
ただし、公衆衛生は集団だけを対象にしているわけではない。健康相談、保健指導、予防接種、健康診断のように、一人一人への支援も大切な活動である。「公衆衛生は集団のみを対象とし、個人は対象にしない」という選択肢は誤りである。
また、公衆衛生は、医学や生物学などの自然科学だけでなく、法律、経済、社会学などの社会科学・人文科学も基盤にしている。人々の健康を守るには、社会の仕組みや人の行動を理解することが欠かせないためである。
2-3. 公衆衛生の領域
公衆衛生は、幅広い分野をふくんでいる。本書では、次のように章を分けて学ぶ。
| 分野 | 主な内容 | 本書の章 |
|---|---|---|
| 衛生行政・保健制度 | 保健所、健康づくり対策、社会保障 | 第2章 |
| 衛生統計・疫学 | 人口、死因、寿命、病気の調べ方 | 第3章 |
| 環境衛生 | 空気、光、住居、水、廃棄物、公害 | 第4〜6章 |
| 感染症の予防 | 感染症法、予防接種、衛生動物 | 第7章・第8章 |
| 生活習慣病の予防 | がん、循環器病、糖尿病、特定健診 | 第9章 |
| 母子・学校・高齢者の保健 | 母子保健、学校保健、介護 | 第10章 |
| 産業保健(労働衛生) | 職場の健康と安全 | 第11章 |
ほかの科目とも、多くの内容が重なっている。公衆衛生にかかわる法律の条文は衛生法規の本、生活習慣病と栄養の関係は栄養学の本、食中毒や食品の有害物質は食品衛生学の本で詳しく扱う。
3. 世界の公衆衛生のあゆみ
3-1. 古代から中世
人類は、古くから、集団で暮らすための衛生の工夫をしてきた。
| 時代 | できごと |
|---|---|
| 紀元前2000年ごろ | インダス文明の都市モヘンジョダロでは、上水路と下水路が計画的につくられていた。公衆衛生的な事業の始まりとされる |
| 古代ローマ | 大規模な上水道と下水道、公衆浴場がつくられた。フロンティヌスは水道の管理について著した |
| 14世紀(1347〜1351年ごろ) | ヨーロッパでペスト(黒死病)が大流行し、人口の多くが失われた。イタリアの都市などでは、船を港の外に一定期間とどめる検疫が行われるようになった(期間が40日だったことから、検疫を意味する英語「quarantine」が生まれたとされる) |
3-2. 近代の公衆衛生の誕生
18世紀から19世紀にかけて、産業革命によって都市に人口が集中し、劣悪な住環境や労働環境のもとで、感染症が流行した。このような中で、近代的な公衆衛生が生まれた。
| 年 | 人物・できごと | 業績 |
|---|---|---|
| 1700年 | ラマツィーニ(イタリア) | 『働く人々の病気』を著し、職業と病気の関係を明らかにした。「産業医学の父」とよばれる |
| 1796年 | ジェンナー(イギリス) | 牛痘を接種して天然痘を予防する方法(種痘)を開発した。予防接種の始まり |
| 1842年 | チャドウィック(イギリス) | 『労働者の衛生状態に関する報告』で、貧困と不衛生な環境が病気を生むことを示した。「近代公衆衛生の父」とよばれる |
| 1848年 | イギリス | 世界で最初の公衆衛生法が制定された |
| 1854年ごろ | スノウ(イギリス) | ロンドンのコレラの流行で、患者の発生した場所を地図に記し、特定の井戸水が原因であることを突き止めた。コレラ菌が発見される前のことであり、「疫学の父」とよばれる |
| 1850年代 | ナイチンゲール(イギリス) | クリミア戦争で、統計を使って病院の衛生状態の改善が死亡を減らすことを示した。近代看護の基礎を築いた |
| 19世紀後半 | ペッテンコーフェル(ドイツ) | ミュンヘン大学に衛生学講座を開き、実験にもとづく衛生学を確立した |
| 19世紀後半 | パスツール(フランス) | 微生物が発酵や腐敗の原因であることを示し、低温殺菌法(パスツリゼーション)を考案した |
| 19世紀後半 | コッホ(ドイツ) | 結核菌やコレラ菌を発見し、細菌学の基礎を築いた |
試験では、人物と業績の組み合わせが繰り返し問われる。とくに次の取り違えに注意する。
| 人物 | よばれ方 | 取り違えやすい人物 |
|---|---|---|
| チャドウィック | 近代公衆衛生の父 | パスツール(微生物学) |
| スノウ | 疫学の父(コレラの原因を疫学的に突き止めた) | コッホ(コレラ菌を発見した) |
| ラマツィーニ | 産業医学の父 | — |
| ジェンナー | 種痘(天然痘の予防接種) | — |
3-3. 20世紀以降の国際保健
| 年 | できごと | 内容 |
|---|---|---|
| 1946年 | WHO憲章の採択(WHOは1948年に発足) | 健康の定義を示した |
| 1978年 | アルマ・アタ宣言 | プライマリヘルスケアを提唱した。「西暦2000年までにすべての人に健康を」 |
| 1980年 | WHOが天然痘の根絶を宣言 | 人類が根絶した初めての感染症 |
| 1986年 | オタワ憲章 | ヘルスプロモーションを提唱した |
| 2015年 | 国連の持続可能な開発目標(SDGs) | 目標3「すべての人に健康と福祉を」 |
4. 日本の公衆衛生のあゆみ
| 年 | できごと |
|---|---|
| 1874年(明治7年) | 医制が発布された。日本で初めての近代的な医事衛生の制度で、近代的な衛生行政の始まりとされる |
| 明治時代 | コレラなどの伝染病がくり返し流行し、伝染病予防法(1897年)がつくられた |
| 1884年(明治17年) | 海軍軍医高木兼寛が、食事を改めることで、海軍の脚気を大きく減らした |
| 1910年(明治43年) | 鈴木梅太郎が、米ぬかから脚気を防ぐ成分(オリザニン、のちのビタミンB1)を発見した |
| 1937年(昭和12年) | 保健所法が制定された |
| 1947年(昭和22年) | 日本国憲法が施行され(第25条)、保健所法が全面的に改正された。食品衛生法もこの年に制定された |
| 戦後 | 結核などの感染症が減り、死因の中心が生活習慣病へと移った |
| 1961年(昭和36年) | 国民皆保険・国民皆年金が実現した |
| 1994年(平成6年) | 保健所法が地域保健法に改められた。市町村保健センターが法律に位置づけられた |
| 2000年(平成12年) | 介護保険制度が始まった。健康日本21が始まった |
| 2003年(平成15年) | 健康増進法が施行された。食品安全基本法が制定された |
| 2024年(令和6年) | 健康日本21(第三次)が始まった。市町村にこども家庭センターの設置が努力義務とされた |
日本の公衆衛生は、明治時代の感染症との闘いから始まり、戦後の結核対策、栄養改善、国民皆保険を経て、現在は生活習慣病の予防と高齢社会への対応が中心の課題となっている。
5. プライマリヘルスケアとヘルスプロモーション
5-1. プライマリヘルスケア
プライマリヘルスケアは、1978年に旧ソビエト連邦(現在のカザフスタン)のアルマ・アタで開かれたWHOとユニセフの国際会議で採択されたアルマ・アタ宣言で提唱された考え方である。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 目標 | 「西暦2000年までにすべての人に健康を(Health for All by the year 2000)」 |
| 考え方 | すべての人が、身近な地域で、基本的な保健医療サービスを受けられるようにする。住民自身が主体的に参加し、地域の資源を活用する |
| 主な活動 | 健康教育、食料の供給と栄養の改善、安全な水と基本的な衛生設備、母子保健と家族計画、予防接種、感染症の予防と対策、一般的な病気やけがの適切な治療、必須医薬品の供給 |
プライマリヘルスケアは、とくに開発途上国の健康問題(感染症、栄養不足、安全な水の不足など)を念頭においた考え方である。
5-2. ヘルスプロモーション
ヘルスプロモーションは、1986年にカナダのオタワで開かれたWHOの国際会議で採択されたオタワ憲章で提唱された考え方である。
ヘルスプロモーションとは、人々が自らの健康とその決定要因をコントロールし、改善することができるようにするプロセスである。
ヘルスプロモーションは、先進国の生活習慣病などの健康問題を念頭においた考え方で、次のような特徴がある。
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 個人の力を高める | 人々が健康についての知識と技術を身につけ、自分で健康を管理できるようにする |
| 環境を整える | 個人の努力だけに頼らず、健康を支える環境を社会全体でつくる |
オタワ憲章では、ヘルスプロモーションのための活動として、健康的な公共政策づくり、健康を支援する環境づくり、地域活動の強化、個人の技術の開発、保健医療サービスの方向転換の五つが示されている。
ヘルスプロモーションは、坂道で重い荷物(健康を損なう要因)を押し上げる人のたとえで説明されることがある。荷物を押し上げる人の力を高める(個人の知識と技術)だけでなく、坂道の傾きをゆるやかにする(健康を支援する環境づくり)ことで、誰もが健康という目標にたどりつきやすくなる。たばこの自動販売機の規制、飲食店の受動喫煙対策、栄養成分表示の義務化、歩きやすいまちづくりなどは、環境づくりの例である。
日本の健康日本21などの健康づくり対策は、このヘルスプロモーションの考え方にもとづいている(第2章参照)。
| 項目 | プライマリヘルスケア | ヘルスプロモーション |
|---|---|---|
| 提唱 | アルマ・アタ宣言(1978年) | オタワ憲章(1986年) |
| 主な対象 | 開発途上国の健康問題 | 先進国の生活習慣病など |
| 中心となる考え | 基本的な保健医療をすべての人に | 人々が自ら健康をコントロールし、それを環境が支える |
6. 製菓とのつながり
6-1. 菓子をつくる人は公衆衛生の担い手
製菓衛生師法は、製菓衛生師の資格を定めることによって、菓子製造業に従事する者の資質を向上させ、公衆衛生の向上と増進に寄与することを目的としている。製菓衛生師は、試験に合格して知識を身につけるだけでなく、日々の仕事を通じて、地域の人々の健康を守る役割を担っている。
菓子店は、多くの人が口にする食品をつくり、届ける場所である。一つの店で衛生管理に失敗すれば、多くの人の健康に影響する。食中毒を防ぐこと、アレルギーの情報を正しく伝えること、働く仲間の健康を守ること。これらはすべて、公衆衛生の実践である。
6-2. 「社会的に良好」と菓子
WHOの健康の定義は、身体的・精神的だけでなく、社会的にも良好であることを求めている。菓子は、栄養をとるための食品というより、人と人をつなぐ食品である。誕生日のケーキ、季節の和菓子、手みやげの焼き菓子。菓子は、家族や友人との時間、地域の行事や季節の楽しみと深く結びついている。
菓子が人の心をなごませ、人とのつながりをつくることは、精神的・社会的な健康を支えることにもつながる。一方で、菓子は糖質や脂質が多く、食べ方によっては生活習慣病の原因にもなる(第9章、栄養学の本を参照)。菓子をつくる人には、おいしさとともに、健康への配慮も求められている。
6-3. スノウの井戸と「原因をたどる力」
スノウは、患者の住所を地図に記して、病気の原因が特定の井戸であることを突き止めた。原因となる菌がまだわかっていなくても、どこで、誰に、いつ起きたかを整理することで、対策を打つことができたのである。
この考え方は、現在の食中毒の調査にも生きている。保健所は、患者が何を、いつ、どこで食べたかを調べ、共通する食品をしぼりこむ(食品衛生学の本の食中毒の概要と予防の章を参照)。菓子店が毎日の記録(仕入れ、温度、製造日、従業員の体調)を残しておくことは、万一のときに原因をたどる手がかりになる。公衆衛生の原点である「事実を集めて原因をたどる」姿勢は、菓子店の衛生管理にもそのまま通じている。
試験対策:よくある間違いポイント
試験に出る文です。正しい文(○)と間違った文(×)がまざっています。選んでから答えを確かめてください。
Q11961年に、日本で国民皆保険が実現した
Q2ウインスローは、公衆衛生を、地域社会の組織的な努力によって疾病を予防し、生命を延長し、健康と能率の増進を図る科学と技術であると定義した
Q3『働く人々の病気』を著し産業医学の父とよばれるのは、ジェンナーである
Q4ロンドンのコレラ流行で、疫学的手法により井戸水が原因であることを突き止めたのはコッホである
Q5脚気の原因を解明するビタミンB1(オリザニン)を発見したのは、高木兼寛である
Q6日本国憲法第25条第2項では、国は社会福祉、社会保障及び財産の向上及び増進に努めなければならないとされている
Q7WHO憲章では、健康とは肉体的、精神的及び社会的に完全に良好な状態であり、単に疾病又は虚弱の存在しないことではないとしている
Q8アルマ・アタ宣言では、『西暦2000年までにすべての人に健康を』という目標のもと、プライマリヘルスケアが提唱された
Q9国の公衆衛生の向上及び増進に努める責務は、日本国憲法第9条に規定されている
Q10保健所法は、1994年に健康増進法に改められた
Q11近代公衆衛生の父とよばれるのは、パスツールである
Q12スノウは、ロンドンのコレラ流行の原因を疫学的な方法で調べ、疫学の父とよばれる
Q13日本国憲法第25条では、すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有すると定めている
Q14WHOの健康の定義では、健康とは身体的・精神的に完全に良好な状態をいう
Q15世界で最初の公衆衛生法は、フランスで制定された
Q16オタワ憲章では、ヘルスプロモーションを、人々が自らの健康とその決定要因をコントロールし、改善することができるようにするプロセスとしている
Q17ジェンナーは、牛痘を接種して天然痘を予防する種痘を開発した
Q18プライマリヘルスケアは、1986年のオタワ憲章で提唱された
Q19日本で近代的な衛生行政が始まったのは、1937年の保健所法の制定である
Q20公衆衛生は集団のみを対象とし、個人は対象としない
Q21ヘルスプロモーションは、個人の努力のみによって健康を実現しようとする考え方である
Q22WHO憲章では、到達しうる最高基準の健康を享受することは、すべての人の基本的権利の一つであるとしている
Q23WHO憲章の健康の定義では、肉体的・精神的及び経済的に完全に良好な状態とされている
Q24公衆衛生学は、自然科学のみを基盤とする学問である
Q25WHOの健康の定義では、健康とは疾病がないことである
Q26公衆衛生の対象には、病気の人だけでなく、健康な人もふくまれる
まとめ
WHO憲章(1946年)は、健康を「肉体的、精神的及び社会的に完全に良好な状態であり、単に疾病又は虚弱の存在しないことではない」と定義し、健康をすべての人の基本的権利とした。日本では、日本国憲法第25条が国民の生存権を定め、国に社会福祉・社会保障・公衆衛生の向上と増進に努める責務を課している。
公衆衛生とは、ウインスローの定義によれば、地域社会の組織的な努力によって、疾病を予防し、生命を延長し、健康と能率の増進を図る科学と技術である。主な対象は集団であるが、個人への支援も行い、自然科学とともに社会科学・人文科学を基盤とする。
世界の公衆衛生は、ラマツィーニ(産業医学の父)、ジェンナー(種痘)、チャドウィック(近代公衆衛生の父)、1848年のイギリスの公衆衛生法、スノウ(疫学の父・コレラと井戸)、ナイチンゲール、ペッテンコーフェル、パスツール、コッホらによって発展した。日本では、1874年の医制に始まり、1937年の保健所法、1961年の国民皆保険、1994年の地域保健法を経て現在に至る。
現代の公衆衛生の考え方として、1978年のアルマ・アタ宣言がプライマリヘルスケアを、1986年のオタワ憲章がヘルスプロモーション(人々が自らの健康をコントロールし改善できるようにするプロセス。個人の力と環境づくりの両方を重視)を提唱した。
製菓衛生師は、菓子を通じて地域の人々の健康を守る公衆衛生の担い手である。次章では、公衆衛生を実際に進める仕組みとして、衛生行政と、保健・医療・福祉の制度を学ぶ。
※ 本書は、令和7年の人口動態統計、令和7年簡易生命表、令和8年10月時点の法令・制度にもとづいています。

