公衆衛生学 第7章:感染症の予防

第7章

公衆衛生学 第三部 病気の予防

感染症の予防

はじめに

人類の歴史は、感染症との闘いの歴史でもある。中世ヨーロッパのペスト、19世紀のコレラ、日本で「国民病」とよばれた結核。かつては、感染症が人々の死因の中心であった。近代の公衆衛生は、上下水道の整備、予防接種、栄養の改善などによって、感染症を大きく減らしてきた(第1章参照)。

しかし、感染症の脅威がなくなったわけではない。2020年からの新型コロナウイルス感染症の世界的な流行は、感染症が社会全体を大きくゆるがすことを改めて示した。毎年冬にはインフルエンザやノロウイルスが流行し、結核や梅毒などの感染症も、決して過去の病気ではない。

第三部では、病気の予防を学ぶ。本章では、まず感染症を取り上げる。感染症が成り立つ三つの条件と感染経路、感染症法による分類と対策、予防接種と免疫、新興感染症・再興感染症を学ぶ。

試験では、感染成立の三条件、空気感染する感染症(結核・麻しん・水痘)、感染症法の類型(とくに結核=二類、三類の5疾病)、予防接種のA類・B類がよく出題される。また、三類感染症にかかった人は、飲食物を扱う業務に就くことが制限されることは、菓子をつくる人にとって必ず知っておくべき内容である。

なお、食中毒としての細菌やウイルスの性質は、食品衛生学の本の細菌性食中毒とウイルス性食中毒の章で詳しく扱う。法律の条文は、衛生法規の本の感染症法の章を参照してほしい。

1. 感染症とは

1-1. 感染と発病

感染症とは、細菌、ウイルス、真菌(かび)、原虫、寄生虫などの病原体が、人の体に入りこんで増え、病気を起こすものである。

用語意味
感染病原体が体に入り、定着して増えること
発病(発症)感染した結果、症状が現れること
潜伏期間感染してから、症状が現れるまでの期間
顕性感染感染して、症状が現れるもの
不顕性感染感染しても、症状が現れないもの

不顕性感染の人は、自分では気づかないまま、病原体を周りに広げることがある。

1-2. 感染源となる人

病原体をもち、ほかの人に感染させるもとになる人や動物、物を感染源という。感染源となる人には、次のような人がいる。

種類内容
患者発病している人
無症状病原体保有者(健康保菌者)症状がないのに、病原体をもっている人
潜伏期保菌者潜伏期間中で、まだ症状が出ていない人
回復期保菌者(病後保菌者)症状が治まったあとも、病原体を出し続けている人

⚠️ 「無症状病原体保有者は、症状がないので他人に感染させるおそれはない」は誤り。症状がなくても、便などに病原体を出しており、他人に感染させるおそれがある。そのため、食品を扱う人の検便が重要になる。

1-3. 感染症が成り立つ三つの条件

感染症が成り立つ(流行する)には、次の三つの条件がすべてそろう必要がある。

条件内容主な対策
感染源病原体をもつ人、動物、汚染された水や食べ物、物患者の早期発見・早期治療、隔離、消毒、保菌者の発見(検便)
感染経路病原体が、感染源から人の体に入るまでの道すじ手洗い、マスク、換気、食品の加熱、上下水道の整備、ネズミや害虫の駆除
感受性宿主病原体に対する抵抗力(免疫)が弱く、感染しやすい人予防接種、栄養・休養・運動で抵抗力を高める

感染症の予防の基本は、この三つの条件のどれか一つを断ち切ることである。三つがそろわなければ、感染症は成り立たない。

2. 感染経路

2-1. 主な感染経路

病原体が人の体に入る道すじは、次のように分けられる。

感染経路内容主な感染症
接触感染患者や、病原体のついた手や物に直接・間接にふれることで感染する感染性胃腸炎(ノロウイルスなど)、疥癬、インフルエンザ(手を介して)
経口感染病原体に汚染された食べ物や水を口から取りこんで感染する(接触感染にふくめることもある)食中毒、コレラ、細菌性赤痢、腸チフス、A型肝炎、腸管出血性大腸菌感染症
飛沫感染せきやくしゃみ、会話で飛び散るしぶき(直径5μm以上)を吸いこんで感染する。飛ぶ距離は1〜2m程度インフルエンザ、風しん、百日せき、流行性耳下腺炎、新型コロナウイルス感染症
空気感染(飛沫核感染)しぶきの水分が蒸発してできた小さな粒子(飛沫核、直径5μm未満)が、空気中をただよい、それを吸いこんで感染する結核、麻しん(はしか)、水痘(みずぼうそう)
媒介動物感染蚊、ダニ、ノミなどの衛生動物が病原体を運んで感染する日本脳炎、マラリア、デング熱、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
母子感染(垂直感染)母親から子に、胎盤、産道、母乳を通じて感染する風しん、B型肝炎、HIV、梅毒
性行為感染性行為によって感染する梅毒、淋菌感染症、HIV
経皮感染傷口や皮膚から病原体が入る破傷風

⚠️ 空気感染する代表的な感染症は、結核・麻しん・水痘の三つである。必ず覚えておく。「インフルエンザは空気感染する」は誤りで、インフルエンザの主な感染経路は飛沫感染と接触感染である。

⚠️ 「結核の主な感染経路は経皮感染である」は誤り。結核は空気感染する。また、「新型コロナウイルス感染症の主な感染経路は経口感染である」も誤りで、主な感染経路は飛沫感染や、換気の悪い場所でのエアロゾル感染、接触感染である。

2-2. 水平感染と垂直感染

人から人へ、または物や動物から人へ広がる感染を水平感染という。これに対し、母親から子へ感染するものを垂直感染(母子感染)という。

3. 感染症法

3-1. 感染症法とは

感染症法(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)は、1999年に施行された法律である。それまでの伝染病予防法などにかわり、感染症の予防と、患者の人権に配慮した良質で適切な医療の提供を目的としている。

感染症法では、感染症を、感染力の強さや、かかったときの重さなどから、一類から五類などに分類し、それぞれに応じた対策を定めている。

3-2. 感染症の類型

類型主な感染症主な対策
一類感染症エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、痘そう(天然痘)、南米出血熱、ペスト、マールブルグ病、ラッサ熱原則入院、就業制限、消毒、建物への立入制限、交通の制限
二類感染症急性灰白髄炎(ポリオ)、結核、ジフテリア、重症急性呼吸器症候群(SARS)、中東呼吸器症候群(MERS)、鳥インフルエンザ(H5N1・H7N9)状況に応じて入院、就業制限、消毒
三類感染症コレラ、細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症、腸チフス、パラチフス特定の職業への就業制限(飲食物を扱う業務など)、消毒
四類感染症A型肝炎、E型肝炎、ボツリヌス症、狂犬病、マラリア、デング熱、日本脳炎、レジオネラ症、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)、つつが虫病、エムポックス、黄熱、鳥インフルエンザ(H5N1・H7N9以外)など動物や物の消毒、ネズミ・蚊などの駆除
五類感染症インフルエンザ(鳥インフルエンザ・新型インフルエンザ等を除く)、新型コロナウイルス感染症、麻しん、風しん、水痘、百日咳、感染性胃腸炎、梅毒、後天性免疫不全症候群(エイズ)、ウイルス性肝炎(A型・E型を除く)、クリプトスポリジウム症など発生の状況を調べ、国民や医療関係者に情報を提供する(発生動向調査)
新型インフルエンザ等感染症新型インフルエンザ、再興型インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症、再興型コロナウイルス感染症入院、外出自粛の要請など
指定感染症・新感染症新たに対応が必要となった感染症状況に応じて定める

⚠️ 結核は二類感染症である。「結核は三類感染症」は誤り。また、季節性インフルエンザは五類感染症であり、「二類」は誤り。「新型インフルエンザは四類感染症」も誤りで、「新型インフルエンザ等感染症」という独立した分類に入る。

⚠️ レジオネラ症は四類感染症である。三類感染症は、コレラ・細菌性赤痢・腸管出血性大腸菌感染症・腸チフス・パラチフスの5つだけであり、すべて経口感染する消化器系の感染症である。

⚠️ 新型コロナウイルス感染症は、2023年5月8日に、新型インフルエンザ等感染症から五類感染症に移行した。また、2025年4月からは、せきやのどの痛みなどの症状がある急性呼吸器感染症(ARI)が五類感染症に加わり、発生の動向が調べられている。

3-3. 医師の届出

医師は、感染症の患者を診断したときは、保健所長を経由して都道府県知事に届け出なければならない。

類型届出
一類〜四類感染症、新型インフルエンザ等感染症全数を直ちに届け出る
五類感染症の一部(麻しん、風しん、侵襲性髄膜炎菌感染症)全数を直ちに届け出る
五類感染症のうち全数を把握するもの(梅毒、エイズなど)全数を7日以内に届け出る
五類感染症のうち定点で把握するもの(インフルエンザ、新型コロナ、感染性胃腸炎など)指定された医療機関(定点)が届け出る

届け出られた情報は、保健所や国で集計・分析され、感染症発生動向調査として公表される(第3章参照)。

3-4. 三類感染症と就業制限

三類感染症の患者と無症状病原体保有者は、病原体が出なくなるまで、飲食物の製造、販売、調製または取扱いの際に飲食物に直接接触する業務に就くことが制限される(就業制限)。

三類感染症の5つは、いずれも少ない菌の量でも感染し、食品や水を通じて集団発生を起こしやすい。そのため、食品を扱う人が病原体をもっていると、多くの人に感染を広げるおそれがある。

菓子をつくる人が三類感染症にかかったり、検便で病原体が見つかったりした場合は、症状がなくても、菓子づくりなどの、食品に直接ふれる業務に就くことはできない(製菓とのつながりの節を参照)。

⚠️ 「検便で腸管出血性大腸菌が検出された場合でも、症状がなければ、注意して食品に接触する業務に就くことができる」は誤り。無症状病原体保有者も就業制限の対象である。

4. 免疫と予防接種

4-1. 免疫

体に入った病原体などの異物を見分けて排除し、病気から体を守る仕組みを免疫という。

種類内容
自然免疫生まれつき備わっている仕組み。皮膚や粘膜のバリア、胃酸、白血球(好中球、マクロファージなど)が、異物を素早く排除する
獲得免疫一度出会った病原体を記憶し、2回目以降に素早く強く反応する仕組み。リンパ球(T細胞、B細胞)がつくる抗体などが働く

獲得免疫は、さらに次のように分けられる。

種類獲得のしかた例特徴
能動免疫自分の体で抗体をつくる自然能動免疫:病気にかかって得る。人工能動免疫:予防接種(ワクチン)で得る効果が出るまで時間がかかるが、長く続く
受動免疫他の人や動物がつくった抗体をもらう自然受動免疫:胎盤や母乳を通じて母親から得る。人工受動免疫:抗血清や免疫グロブリンの注射で得るすぐに効くが、効果は短い

生まれたばかりの赤ちゃんは、胎盤や母乳を通じて母親から抗体をもらっているため、生後数か月は一部の感染症にかかりにくい。この抗体は、成長とともに少なくなっていくため、予防接種が必要になる。

4-2. ワクチンの種類

種類内容主な例
生ワクチン毒性を弱めた生きた病原体を使う。免疫が強く長く続くBCG(結核)、麻しん・風しん(MR)、水痘、ロタウイルス、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)、黄熱
不活化ワクチン病原体を殺して、免疫をつくる成分を取り出したもの。複数回の接種が必要なことが多いインフルエンザ、日本脳炎、ポリオ、B型肝炎、百日せき、肺炎球菌、HPV
トキソイド細菌がつくる毒素の毒性をなくしたものジフテリア、破傷風
mRNAワクチン病原体のたんぱく質の設計図(mRNA)を使う新型コロナウイルス感染症

4-3. 予防接種法

予防接種法にもとづき、国が接種を定めている予防接種を定期接種という。費用の多くは公費で負担される。定期接種の対象となる病気は、A類疾病とB類疾病に分けられる。

区分目的努力義務主な対象の病気
A類疾病人から人への感染による流行を防ぐ(集団予防)こと、かかると重い病気を防ぐことあり(受けるよう努めなければならない)ジフテリア、百日せき、破傷風、急性灰白髄炎(ポリオ)、麻しん、風しん、日本脳炎、結核(BCG)、Hib感染症、小児の肺炎球菌感染症、B型肝炎、水痘、ロタウイルス感染症、HPV感染症(子宮頸がんの予防)、RSウイルス感染症(妊婦。2026年4月から)
B類疾病個人の発病や重症化を防ぐ(個人予防)ことなしインフルエンザ(高齢者)、高齢者の肺炎球菌感染症、新型コロナウイルス感染症(高齢者。2024年10月から)、帯状疱疹(2025年4月から)

子どもの予防接種は、ジフテリア・百日せき・破傷風・ポリオ・Hibをまとめた5種混合ワクチン(2024年4月から)や、麻しん・風しんのMRワクチンなど、複数の病気をまとめて予防できるものが使われている。

国が定めた定期接種以外に、本人の希望で受ける予防接種を任意接種という。流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)や、高齢者以外のインフルエンザがその例である。

予防接種によって、ごくまれに重い健康被害が起こることがある。定期接種などで健康被害が生じた場合には、国の予防接種健康被害救済制度によって救済が行われる。

4-4. 集団免疫

多くの人が予防接種を受けて免疫をもつと、感染症が広がりにくくなり、病気や体質のために予防接種を受けられない人や、まだ接種の年齢に達していない赤ちゃんも守られる。これを集団免疫という。予防接種は、自分を守るだけでなく、社会全体を守る取り組みでもある。

5. 新興感染症と再興感染症

5-1. 新興感染症と再興感染症

区分意味例
新興感染症最近(おおむね1970年以降)、新たに知られるようになった感染症で、地域的・国際的に公衆衛生上の問題となるものエボラ出血熱、エイズ(HIV)、腸管出血性大腸菌感染症(O157)、SARS、MERS、新型コロナウイルス感染症、SFTS
再興感染症一時は減少して克服されたと思われていたが、再び増加した感染症結核、マラリア、デング熱、狂犬病、ジフテリア

新興感染症の多くは、動物から人に感染する動物由来感染症(人獣共通感染症)である。森林の開発による野生動物との接触、航空機による人の移動の増加、地球温暖化による媒介する蚊の分布の拡大などが、新興・再興感染症が広がる背景にある。

5-2. 日本の主な感染症の状況

感染症状況
結核かつては死因の第1位であった(第3章参照)。現在も毎年1万人前後の新しい患者が出ているが、2021年に罹患率が人口10万対10を下回り、「低まん延国」となった。患者の多くは高齢者である。BCGの接種と、早期の発見・治療(服薬の確認)が重要である
麻しん感染力が非常に強い。日本は2015年に、WHOから国内に土着のウイルスがない「排除状態」と認定された。海外から持ちこまれた感染による流行が起きている
風しん妊娠初期の女性がかかると、生まれる子が先天性風しん症候群(心臓の病気、白内障、難聴など)になることがある。予防接種を受ける機会のなかった世代の男性に対策が行われてきた
梅毒近年、患者が大きく増加している
感染性胃腸炎ノロウイルスなどによる。冬に流行しやすい。食中毒の原因としても重要である

5-3. 検疫

検疫は、海外から感染症が国内に入るのを防ぐため、空港や港で行われる。検疫法にもとづき、検疫所(厚生労働省)が、入国する人や船、航空機について、検疫感染症の検査などを行う。検疫感染症には、一類感染症、新型インフルエンザ等感染症のほか、デング熱、マラリア、鳥インフルエンザ(H5N1・H7N9)、MERSなどがある。

6. 製菓とのつながり

6-1. 三類感染症と菓子をつくる人

菓子をつくる人にとって、もっとも大切な感染症の知識は、三類感染症の就業制限である。コレラ、細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症、腸チフス、パラチフスにかかった人や、検便で病原体が見つかった無症状病原体保有者は、病原体が出なくなるまで、菓子を直接扱う業務に就くことができない。

症状がない人でも、便に病原体を出していることがある。そのため、菓子店では、定期的な検便によって、保菌者を早く見つけることが大切である。また、海外旅行から帰ったあとに下痢などの症状がある場合は、必ず申し出て、医療機関を受診する。

6-2. ノロウイルスと感染性胃腸炎

ノロウイルスによる感染性胃腸炎は、感染症法では五類感染症であり、法律による就業制限はない。しかし、ノロウイルスは、ごく少量で感染し、患者の便や吐物には大量のウイルスがふくまれている。食品を扱う人が感染していると、食中毒を起こすおそれがある(食品衛生学の本のウイルス性食中毒と経口感染症の章を参照)。

下痢、嘔吐、発熱などの症状がある人は、食品を直接扱う作業に従事させてはならない。症状がおさまったあとも、しばらくは便にウイルスが出続けるため、復帰の時期や作業の内容に注意が必要である。毎日の作業前に、従業員の体調を確認し、記録することは、食品衛生法の衛生管理の基準でも求められている。

6-3. 菓子店でできる感染経路の遮断

感染症の三つの条件のうち、菓子店で毎日できるのは、感染経路を断つことである。

対策内容
手洗い作業の前、トイレのあと、生の卵や原材料にふれたあと、ごみにふれたあとに、石けんで正しく手を洗う
健康状態の確認下痢、嘔吐、発熱、手の傷などがないかを毎日確認する
トイレの衛生専用の履物、手洗い設備の整備、こまめな清掃と消毒
吐物の処理使い捨ての手袋・マスク・エプロンを使い、次亜塩素酸ナトリウムで消毒する(ノロウイルスにはアルコールが効きにくい)
加熱中心部まで十分に加熱する
換気厨房と売り場の換気を保つ

予防接種も、菓子店で働く人を守る手段の一つである。とくに、A型肝炎は食品を通じて感染することがあり、海外の流行地に行く人にはワクチンがすすめられている。

試験対策:よくある間違いポイント

試験に出る文です。正しい文(○)と間違った文(×)がまざっています。選んでから答えを確かめてください。

Q1季節性インフルエンザは、感染症法の二類感染症である

正しくは:季節性インフルエンザは五類感染症

Q2空気感染する代表的な感染症には、結核、麻しん、水痘がある

この文のとおりです。

Q3インフルエンザは、主に空気感染によって広がる

正しくは:インフルエンザの主な感染経路は飛沫感染と接触感染。空気感染するのは結核・麻しん・水痘

Q4予防接種法のB類疾病には、努力義務が課されている

正しくは:努力義務があるのはA類疾病。B類疾病(個人予防)には努力義務はない

Q5検便で腸管出血性大腸菌が検出されても、症状がなければ注意して食品に接触する業務に就くことができる

正しくは:三類感染症の無症状病原体保有者も、食品に直接接触する業務への就業が制限される

Q6風しんは、母子感染することがある

この文のとおりです。(先天性風しん症候群)

Q7予防接種による免疫は、人工能動免疫である

この文のとおりです。

Q8結核の主な感染経路は、経皮感染である

正しくは:結核の主な感染経路は空気感染(飛沫核感染)

Q9感染症の予防には、感染源・感染経路・感受性宿主のいずれかを断ち切ることが重要である

この文のとおりです。

Q10新型インフルエンザは、感染症法の四類感染症である

正しくは:新型インフルエンザは新型インフルエンザ等感染症という独立した分類

Q11感染症の成立には、感染源と感染経路の2つの条件がそろえばよい

正しくは:感染源・感染経路・感受性宿主の3つの条件がそろう必要がある

Q12BCGやMRワクチンは、不活化ワクチンである

正しくは:BCGやMRワクチンは生ワクチン

Q13新型コロナウイルス感染症は、現在も新型インフルエンザ等感染症に分類されている

正しくは:2023年5月8日に五類感染症に移行した

Q14インフルエンザは、経口感染する感染症である

正しくは:インフルエンザは飛沫感染が主な感染経路

Q15エボラ出血熱は一類感染症、結核は二類感染症、腸管出血性大腸菌感染症は三類感染症である

この文のとおりです。

Q16母親から胎盤や母乳を通じて抗体を得ることを、能動免疫という

正しくは:他から抗体をもらうのは受動免疫(自然受動免疫)

Q17発症はしていないが病原体を保有している人を、無症状病原体保有者という

この文のとおりです。

Q18蚊が媒介する感染症には、ペストがある

正しくは:ペストはノミが媒介する(ネズミが感染源)。蚊が媒介するのは日本脳炎、マラリア、デング熱など

Q19新興感染症には、SARS、MERS、新型コロナウイルス感染症などがある

この文のとおりです。

Q20結核やマラリアは、新興感染症の代表である

正しくは:結核やマラリアは、再び増加した再興感染症

Q21結核は、感染症法の三類感染症である

正しくは:結核は二類感染症

Q22三類感染症の患者は、飲食物に直接接触する業務への就業が制限される

この文のとおりです。(無症状病原体保有者もふくむ)

Q23レジオネラ症は、感染症法の三類感染症である

正しくは:レジオネラ症は四類感染症。三類はコレラ・細菌性赤痢・腸管出血性大腸菌感染症・腸チフス・パラチフスの5つ

Q24新型コロナウイルス感染症の主な感染経路は、経口感染である

正しくは:主な感染経路は飛沫感染やエアロゾル感染、接触感染

Q25適切な手洗いは、感染症の病原体の伝播を予防する重要な手段である

この文のとおりです。

Q26破傷風やジフテリアの予防には、トキソイドが用いられる

この文のとおりです。(毒素の毒性をなくしたもの)

Q27無症状病原体保有者は、症状がないので他人に感染させるおそれはない

正しくは:無症状病原体保有者も病原体を出しており、他人に感染させるおそれがある
結果:

まとめ

感染症は、病原体が体に入って増え、病気を起こすものである。感染しても症状が出ない不顕性感染や、症状のない無症状病原体保有者も、感染を広げるおそれがある。感染症は、感染源・感染経路・感受性宿主の三つの条件がそろうと成り立ち、予防の基本はそのどれかを断ち切ることである。

感染経路には、接触感染、経口感染(コレラ、赤痢、腸チフスなど)、飛沫感染(5μm以上。インフルエンザ、風しん、百日せき)、空気感染(飛沫核、5μm未満。結核・麻しん・水痘)、媒介動物感染(日本脳炎、マラリア)、母子感染(風しん、B型肝炎、HIV)などがある。

感染症法(1999年施行)では、感染症を、一類(エボラ出血熱、ペストなど)、二類(結核、ポリオ、ジフテリア、SARS、MERSなど)、三類(コレラ・細菌性赤痢・腸管出血性大腸菌感染症・腸チフス・パラチフス)、四類(A型・E型肝炎、狂犬病、マラリア、レジオネラ症など)、五類(季節性インフルエンザ、新型コロナ〔2023年5月8日から〕、麻しん、風しん、感染性胃腸炎など)、新型インフルエンザ等感染症に分類する。三類感染症の患者と無症状病原体保有者は、飲食物に直接接触する業務への就業が制限される。

免疫には、自然免疫と獲得免疫があり、獲得免疫は、自分で抗体をつくる能動免疫(予防接種は人工能動免疫)と、抗体をもらう受動免疫(胎盤・母乳は自然受動免疫)に分けられる。ワクチンには、生ワクチン(BCG、MR、水痘)、不活化ワクチン、トキソイド(ジフテリア、破傷風)などがある。予防接種法のA類疾病は集団予防が目的で努力義務があり、B類疾病(高齢者のインフルエンザ、新型コロナ、帯状疱疹など)は個人予防が目的で努力義務はない。

新興感染症(エボラ出血熱、エイズ、SARS、MERS、新型コロナなど)と再興感染症(結核、マラリア、デング熱など)にも注意が必要である。菓子をつくる人は、三類感染症の就業制限、検便、毎日の体調確認、手洗いによって、食品を通じた感染を防ぐ責任がある。次章では、感染症を運ぶネズミや蚊、ダニなどの衛生動物について学ぶ。

※ 本書は、令和7年の人口動態統計、令和7年簡易生命表、令和8年10月時点の法令・制度にもとづいています。

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