食品衛生学 第8章:寄生虫と化学性食中毒

第8章

食品衛生学 第二部 食中毒

寄生虫と化学性食中毒

はじめに

食中毒の部の最後に、寄生虫による食中毒と、化学物質による食中毒を学ぶ。

寄生虫による食中毒は、近年大きく増えている。令和7年(2025年)の全国の食中毒のうち、寄生虫によるものは305件で、そのうち280件がアニサキスであった。アニサキスは、令和6年まで事件数の1位が続き、令和7年もノロウイルスに次ぐ2位である(第3章参照)。生の魚を食べる日本の食文化と深くかかわる食中毒である。

化学性食中毒は、件数は少ない(令和7年は14件)が、原因はさまざまである。その多くを占めるのは、鮮度の落ちた赤身の魚で起こるヒスタミンによる食中毒である。ほかに、器具や容器から溶け出す金属、洗剤や消毒薬の誤用、そして変敗した油脂による食中毒がある。

菓子づくりとのかかわりでは、ドーナツ、かりんとう、揚げせんべい、ポテトチップスのような油で揚げた菓子の油脂の変敗が、とくに重要である。食品学の本の成分の変化と食品の変質の章で学んだ油脂の酸化が、どのような基準で管理されているかを、本章で確認する。

1. 寄生虫による食中毒

1-1. 寄生虫とは

寄生虫は、ほかの生物(宿主)の体の中や表面に住み、栄養を得て生きる生物である。食品を通じて人に感染する寄生虫には、目に見える大きさの線虫・吸虫・条虫などと、顕微鏡でしか見えない単細胞の原虫などがある。

寄生虫は、細菌のように食品の中で増えることはない。そのかわり、多くの寄生虫は、魚や肉の中に生きたまま入っており、それを生で、または加熱不足で食べることで感染する。そのため、予防の基本は、加熱する、冷凍する、目で見て取り除くの三つである。

1-2. アニサキス

アニサキスは、サバ、アジ、イワシ、サンマ、サケ、イカなどの海の魚介類に寄生する線虫である。

項目内容
大きさ・見た目幼虫は長さ2〜3cm、幅0.5〜1mmほどで、白い糸のような見た目。肉眼で見える
寄生している場所生きている魚では主に内臓。魚が死んで時間がたつと、内臓から筋肉(身)に移動する
主な原因食品サバ(しめさばを含む)、アジ、イワシ、サンマ、カツオ、サケ、イカなどの刺身や生食
症状急性胃アニサキス症:食後数時間〜十数時間で、みぞおちの激しい痛み、吐き気、嘔吐。急性腸アニサキス症:食後十数時間〜数日で、下腹部の激しい痛み
原因施設家庭(スーパーで買った丸ごとの魚や、釣った魚を自分で刺身にした場合)、飲食店、販売店
1件あたりの患者数ほぼ1人。そのため、事件数は多いが患者数は少ない

アニサキスの幼虫が、胃や腸の壁に刺さりこもうとすることで、激しい痛みが起こる。治療は、内視鏡で虫体を取り除く方法がとられる。また、アニサキスに対するアレルギーを起こす人もいる。

アニサキスの予防

方法内容
冷凍−20℃で24時間以上冷凍する
加熱70℃以上、または60℃なら1分間加熱する
目で見て取り除く調理のときに、身に幼虫がいないかよく見て取り除く
内臓の処理魚は新鮮なうちに内臓を取り除く。取り除いた内臓は生で食べない

効果がないものとして、次の点が試験で繰り返し問われる。

  • 食酢(しめさばの酢じめ)、しょうゆ、わさび、塩漬けでは、アニサキスの幼虫は死なない
  • 家庭用の冷凍庫は、−20℃まで下がらないことや、冷凍に時間がかかることがあり、確実ではない場合がある
  • よく噛めば安全というわけではない

1-3. クドア・セプテンプンクタータ

クドア・セプテンプンクタータは、ヒラメの筋肉に寄生する、顕微鏡でしか見えない小さな寄生虫(粘液胞子虫)である。

項目内容
主な原因食品ヒラメの刺身など
症状食後数時間(多くは1〜数時間)で、一過性の下痢、嘔吐。24時間以内に回復し、後遺症はない
予防−15〜−20℃で4時間以上の冷凍、または中心温度75℃で5分間以上の加熱

養殖ヒラメの稚魚の検査などの対策が進められている。

1-4. サルコシスティス・フェアリー

サルコシスティス・フェアリーは、馬肉に寄生する原虫である。馬刺しを食べて、数時間で一過性の下痢、嘔吐、腹痛を起こす。冷凍によって予防でき、生食用の馬肉は、冷凍処理(−20℃で48時間以上など)をしてから流通するよう指導されている。

1-5. そのほかの寄生虫

寄生虫主な感染源(原因食品)特徴
旋毛虫(トリヒナ)クマ肉などの野生鳥獣の肉、豚肉筋肉に寄生する。発熱、筋肉痛、顔のむくみ。冷凍に強いものがあるため、十分な加熱が必要
トキソプラズマ(原虫)豚肉、ジビエの生食・加熱不足、猫のふん妊婦が初めて感染すると、胎児に影響することがある
日本海裂頭条虫サケ・マスの生食腸の中で数mにまで成長する「さなだむし」
肝吸虫コイ、フナなどの淡水魚の生食肝臓の胆管に寄生する
横川吸虫アユ、シラウオの生食腸に寄生し、下痢、腹痛
顎口虫ドジョウ、ライギョなどの淡水魚の生食皮膚の下を移動し、はれやかゆみを起こす
肺吸虫サワガニ、モクズガニの生食・加熱不足肺に寄生し、せきや血痰
旋尾線虫ホタルイカの生食皮膚の下を移動したり、腸閉塞を起こしたりする。生食用は冷凍処理(−30℃で4日間以上など)されたものを使う
回虫人のふん尿を肥料にした野菜かつては日本で非常に多かったが、衛生環境の改善と化学肥料の普及で激減した
有鉤条虫・無鉤条虫有鉤条虫は豚肉、無鉤条虫は牛肉の生食腸の中で長く成長する

全体に共通するのは、淡水魚、野生の鳥獣の肉(ジビエ)、豚肉は生で食べないことである。海の魚の多くは冷凍や目視で対策できるが、淡水魚やジビエには、冷凍だけでは防げない寄生虫もいる。

2. 化学性食中毒

2-1. 化学性食中毒とは

化学性食中毒は、有害な化学物質を含む食品を食べることで起こる食中毒である。原因は、次のように分けられる。

種類主な原因
食品の中で生成される物質ヒスタミン(鮮度の落ちた赤身魚)、変敗した油脂
器具・容器から溶け出す物質銅、亜鉛、スズ、鉛などの金属
誤用・誤飲洗剤、消毒薬、殺虫剤、農薬の誤用。添加物の過量使用
環境汚染物質メチル水銀、カドミウムなど(第11章参照)

化学性食中毒の多くは、作業の誤りや管理の不足で起こるため、正しい知識と手順で防ぐことができる。

2-2. ヒスタミン(アレルギー様食中毒)

ヒスタミンによる食中毒は、化学性食中毒の中で最も多い。症状がアレルギーによく似ているため、アレルギー様食中毒ともよばれる。

項目内容
原因となる魚マグロ、カジキ、カツオ、サバ、イワシ、アジ、サンマ、ブリなどの赤身魚とその加工品(干物、みりん干し、つみれなど)
ヒスタミンができるしくみ赤身魚の筋肉には、アミノ酸の一種のヒスチジンが多く含まれる。魚を常温に置くなどして、ヒスタミンをつくる細菌(ヒスタミン産生菌)が増えると、その酵素のはたらきで、ヒスチジンがヒスタミンに変わる
潜伏期間食後すぐ〜1時間以内が多い(教材によっては30分〜数時間)
主な症状顔面の紅潮(顔が赤くなる)、じんましん、かゆみ、頭痛、口のまわりや耳たぶの熱感、発熱など。多くは数時間〜1日で回復する
熱への強さヒスタミンは熱に強く、一度できると、加熱しても分解されない
見分け方ヒスタミンがたまった魚でも、見た目やにおいはほとんど変わらない。口に入れたときに、唇や舌にぴりぴりとした刺激を感じることがある

ヒスタミン食中毒の予防

予防の中心は、ヒスタミンをつくらせないこと、つまり魚の低温管理である。

  1. 赤身魚は、購入後すぐに冷蔵・冷凍し、常温に置かない
  2. 冷凍した魚の解凍は、冷蔵庫の中で行い、解凍と再冷凍をくり返さない
  3. 鮮度が落ちた魚は食べない
  4. 口に入れてぴりぴりした刺激を感じたら、食べるのをやめる

「火を通したから大丈夫」が通用しない点は、黄色ブドウ球菌のエンテロトキシン(第5章参照)とよく似ている。

2-3. 金属による食中毒

器具や容器に使われている金属が、酸性の食品などによって溶け出し、中毒を起こすことがある。

金属主な原因主な症状
銅古くなった銅製の鍋や器具にできる緑青(銅のさび)、酸性の食品を銅の容器に入れたままにする吐き気、嘔吐、腹痛
亜鉛亜鉛めっきの容器(トタンのバケツなど)に、酸性の飲み物(スポーツドリンク、ジュースなど)を入れたままにする吐き気、嘔吐、腹痛
スズ内面を塗装していないスズめっきの缶詰の果汁などを、開けたまま缶の中で保存する吐き気、嘔吐、腹痛
鉛鉛を含むうわぐすりを使った陶磁器やガラス器に、酸性の食品を入れる慢性の中毒

金属による食中毒の多くは、食後すぐ(数分〜1時間ほど)に、吐き気や嘔吐を起こす。予防のために、次の点に注意する。

  • 酸性の食品や飲み物を、金属の容器に長く入れたままにしない
  • 缶詰は、開けたら別の容器に移して保存する
  • 銅の鍋や器具は、緑青がつかないよう手入れし、内側のスズめっきがはげたものは使わない
  • 器具・容器は、食品用として売られているものを、本来の用途で使う

2-4. 洗剤・消毒薬・殺虫剤の誤用

調理場で起こる化学性食中毒には、誤用や取り違えによるものがある。

例原因
漂白剤や洗剤を、水や調味料と間違えて食品に入れたペットボトルなど、食品用の容器に小分けして、表示をしていなかった
食器に洗剤や消毒薬が残っていたすすぎが不十分だった
殺虫剤が食品にかかった調理中に殺虫剤を使った。食品のそばに保管していた
添加物を入れすぎた計量を誤った。使用基準を知らなかった

予防の基本は次のとおりである。

  1. 洗剤、消毒薬、殺虫剤などの化学物質は、食品と別の場所に保管する
  2. 小分けにする場合は、食品用の容器を使わず、必ず品名を表示する
  3. 洗剤や消毒薬を使ったあとは、十分にすすぐ
  4. 調理中や、食品がむき出しの場所で殺虫剤を使わない
  5. 添加物は、使用基準を守り、正確に計量する(第9章・第10章参照)

3. 油脂の変敗による食中毒

3-1. 油脂の変敗と食中毒

油脂は、空気中の酸素、光、熱、金属などの影響で酸化し、品質が悪くなる。これを油脂の変敗(酸敗)という。酸化が進むと、過酸化脂質ができ、さらに分解されてアルデヒドなどのいやなにおいの物質ができる(油脂の酸化のしくみは、食品学の本の成分の変化と食品の変質の章を参照)。

変敗が大きく進んだ油脂を含む食品を食べると、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢などの中毒を起こすことがある。かつては、長く店頭に並べられた即席めんや油で揚げた菓子による中毒が、たびたび起きていた。

3-2. 油脂の変敗を測る指標

油脂の変敗の程度を知るために、主に次の二つの指標が使われる。

指標意味値が高いと
酸価(AV)油脂が分解されてできた遊離脂肪酸の量の目安油脂の分解(劣化)が進んでいる
過酸化物価(POV)油脂の酸化の初期にできる過酸化物の量の目安油脂の酸化が進んでいる

3-3. 油で処理した菓子の指導基準

昭和52年(1977年)、国(当時の厚生省)は「菓子の製造・取扱いに関する衛生上の指導について」という通知を出し、油脂で処理した菓子(油で揚げた菓子、油脂を吹き付けた菓子など)について、製品に含まれる油脂の変敗の基準を示した。

基準内容
基準①製品中の油脂の酸価が3をこえ、かつ、過酸化物価が30をこえるものであってはならない
基準②製品中の油脂の酸価が5をこえるもの、または過酸化物価が50をこえるものであってはならない

この二つの基準は、組み合わせになっている点に注意する。

  • 基準①は「かつ」である。酸価が3をこえ、しかも過酸化物価が30をこえる場合に不適合となる
  • 基準②は「または」である。酸価が5をこえるか、過酸化物価が50をこえるか、どちらか一方でも不適合となる

あわせて、この通知では、次のような取り扱いが求められている。

項目内容
包装長期間流通する菓子は、光を通しにくく、気体(酸素)を通しにくい容器包装で密封する
表示と保存期限を表示し、直射日光や高温多湿を避けて保存・陳列する
製造者定期的に製品の検査を行い、記録を保存する
販売者先入れ先出しを徹底し、長期間店頭に置かない

なお、即席めんのうち油脂で処理したものには、食品衛生法の成分規格として、含まれる油脂の酸価が3以下、過酸化物価が30以下であることが定められている。菓子の基準は「指導基準」であり、法律で定めた成分規格とは位置づけが異なる。

3-4. 油脂の変敗を防ぐ

対策内容
酸素を断つ窒素などのガスを入れた包装、脱酸素剤、真空包装
光を断つ光を通さない包装(アルミ蒸着フィルムなど)、直射日光の当たらない陳列
低温で保存する高温を避け、涼しい場所で保存する
金属との接触を防ぐ鉄や銅は酸化を早める。揚げ油に金属のかすを混ぜない
酸化防止剤ビタミンE(トコフェロール)などを使う(第10章参照)

4. 製菓とのつながり

4-1. 揚げ菓子と揚げ油の管理

ドーナツ、かりんとう、揚げまんじゅう、揚げせんべい、チュロス、ポテトチップスなど、油で揚げた菓子は、菓子店にとって身近な製品である。揚げ菓子の品質と安全は、揚げ油の管理と製品の保存の両方で決まる。

揚げ油は、使うたびに熱・空気・食材の水分によって劣化する。

劣化のサイン内容
色茶色く濃くなる
泡細かい泡が消えにくくなる(持続性の泡)
煙低い温度で煙が出るようになる
におい・粘りいやなにおいがする。粘りが出る

劣化した油で揚げた製品は、最初から酸価が高く、日がたつと酸化がさらに進む。揚げ油は、劣化のサインや、市販の酸価測定用の試験紙などで状態を確かめ、早めに交換する。使ったあとの油は、こしてかすを取り除き、ふたをして光の当たらない涼しい場所に置く。

4-2. 焼き菓子とナッツの酸化

揚げ菓子だけでなく、バターを多く使った焼き菓子や、ナッツ、チョコレート、ナッツペーストも、油脂の酸化によって品質が落ちる。とくにナッツ類は不飽和脂肪酸を多く含み、酸化しやすい。

  • ナッツは、使う分だけをこまめに仕入れ、冷暗所(または冷蔵)で、密封して保存する
  • 長く日もちさせる焼き菓子は、脱酸素剤と、光や酸素を通しにくい包装を組み合わせる
  • 店頭では、直射日光の当たらない場所に陳列し、先入れ先出しを守る

4-3. 銅鍋と金属の器具

菓子づくりでは、銅鍋がジャムやキャラメル、フォンダンなどに使われる。銅は熱の伝わりがよく、製菓に欠かせない道具であるが、緑青(銅のさび)がついたまま使ったり、酸性の食品(果物のピュレ、レモン果汁など)を銅鍋に入れたまま長く置いたりすると、銅が溶け出すおそれがある。

  • 銅鍋は、使用後すぐに洗い、水気をふき取って乾燥させる。緑青が出たら落としてから使う
  • ジャムを煮たら、銅鍋に入れたまま保存せず、ほかの容器に移す
  • 内側がスズめっきの銅鍋は、めっきがはげたら再めっきするか、使用をやめる

4-4. 洗剤・消毒薬の保管

菓子店の厨房には、次亜塩素酸ナトリウムやアルコール、洗剤など、多くの化学物質がある。これらが、シロップや水と取り違えられる事故を防ぐため、薬剤は専用の容器に入れ、品名と濃度を表示して、食品の棚とは別の場所に置く。とくに、透明な液体を、計量カップやペットボトル、シロップ用のボトルに小分けすることは避ける。

4-5. 魚を使わない店でも

菓子店で生の魚を扱うことは少ないが、ヒスタミンやアニサキスの知識は、総菜系の製品(キッシュ、サンドイッチ、パイ包み)を作る店や、カフェを併設する店では必要になる。また、従業員の家庭での食事を含め、体調不良の原因を正しく理解することは、食品を扱う人としての基本の知識である。

試験対策:よくある間違いポイント

試験に出る文です。正しい文(○)と間違った文(×)がまざっています。選んでから答えを確かめてください。

Q1ヒスタミンが多く生成された魚は、必ず強い腐敗臭がするので見分けられる

正しくは:ヒスタミンがたまった魚でも見た目やにおいはほとんど変わらない

Q2サルコシスティス・フェアリーは、生の鶏肉に寄生する

正しくは:サルコシスティス・フェアリーは馬肉に寄生する

Q3油脂の変敗を防ぐには、酸素や光を断つ包装、低温での保存、金属との接触を避けることが有効である

この文のとおりです。

Q4洗剤や消毒薬は、使いやすいよう、空のペットボトルに小分けして食品のそばに置くのがよい

正しくは:化学物質は食品と別の場所に保管し、食品用の容器に小分けせず、必ず品名を表示する

Q5淡水魚や野生鳥獣の肉は、寄生虫の危険があるため生で食べない

この文のとおりです。(肝吸虫、横川吸虫、顎口虫、旋毛虫など)

Q6ヒスタミンは熱に弱いため、魚を中心まで十分に加熱すれば食中毒は防げる

正しくは:ヒスタミンは熱に強く、加熱しても分解されない。魚の低温管理が予防の中心

Q7クドア・セプテンプンクタータは、主にサバの刺身で食中毒を起こす

正しくは:クドア・セプテンプンクタータはヒラメに寄生する

Q8油脂の変敗は、低温・暗所で保存すれば起こらないため、包装は関係がない

正しくは:油脂の変敗は酸素・光・熱・金属で進む。光や酸素を通しにくい包装も重要な対策

Q9酸性のジュースは、亜鉛めっきの容器に入れて保存しても問題はない

正しくは:酸性の飲み物を亜鉛めっきの容器に入れると亜鉛が溶け出して中毒を起こすことがある

Q10化学性食中毒を防ぐため、洗剤や殺虫剤などは食品と別の場所に保管し、容器に品名を表示する

この文のとおりです。

Q11ヒスタミン食中毒は、主にタイやヒラメなどの白身魚で起こる

正しくは:ヒスタミン食中毒はマグロ・サバ・イワシなどの赤身魚で起こる

Q12ヒスタミン食中毒の予防には、魚を常温に置かず、低温で管理することが重要である

この文のとおりです。(一度できたヒスタミンは加熱しても分解されないため)

Q13旋毛虫(トリヒナ)は、冷凍すれば必ず死滅するため、クマ肉は冷凍すれば生で食べてよい

正しくは:旋毛虫には冷凍に強いものがあり、クマ肉などは十分な加熱が必要

Q14アニサキスは、70℃以上、または60℃で1分間の加熱で死滅する

この文のとおりです。

Q15クドア・セプテンプンクタータによる食中毒は、一過性の下痢や嘔吐で、24時間以内に回復し後遺症はない

この文のとおりです。

Q16油脂で処理した菓子は、製品中の油脂の酸価が5をこえる、または過酸化物価が50をこえるものであってはならない

この文のとおりです。(昭和52年の国の通知による指導基準)

Q17アニサキスは、食酢やわさびで死滅するため、しめさばにすれば安全である

正しくは:アニサキスは食酢・しょうゆ・わさび・塩漬けでは死なない。冷凍か加熱が必要

Q18ヒスタミン食中毒の潜伏期間は、食後12〜24時間である

正しくは:ヒスタミン食中毒の潜伏期間は食後すぐ〜1時間以内が多く、短い

Q19ヒスタミンは、赤身魚に多いヒスチジンが、細菌の酵素によって変化してできる

この文のとおりです。

Q20アニサキスによる食中毒では、みぞおちの激しい痛み、吐き気、嘔吐が起こる

この文のとおりです。(急性胃アニサキス症)

Q21アニサキスによる食中毒は、1件あたりの患者数が多いため、患者数の順位が高い

正しくは:アニサキスは1件あたりの患者数がほぼ1人で、事件数は多いが患者数は少ない

Q22アニサキスは、主に淡水魚に寄生する

正しくは:アニサキスはサバ・アジ・イカなどの海の魚介類に寄生する

Q23アニサキスは、魚が死んだあとも内臓にとどまり、筋肉に移動することはない

正しくは:魚が死んで時間がたつと、アニサキスは内臓から筋肉(身)に移動する

Q24ヒスタミン食中毒の主な症状は、顔面の紅潮、じんましん、頭痛など、アレルギーに似た症状である

この文のとおりです。(アレルギー様食中毒)

Q25アニサキスの予防には、−5℃で1時間冷凍すればよい

正しくは:アニサキスの予防には−20℃で24時間以上の冷凍が必要

Q26ヒスタミン食中毒の主な原因食品は、焼き飯や仕出し弁当である

正しくは:ヒスタミン食中毒の主な原因食品は赤身魚とその加工品。焼き飯はセレウス菌

Q27缶詰は、開けたあとも缶に入れたまま冷蔵庫で保存するのがよい

正しくは:開けた缶詰は、スズなどが溶け出すおそれがあるため別の容器に移して保存する

Q28油脂で処理した菓子の指導基準では、酸価が3をこえれば、過酸化物価にかかわらず不適合となる

正しくは:基準①は酸価が3をこえ、かつ、過酸化物価が30をこえるものが不適合。酸価だけでは決まらない(酸価が5をこえれば、基準②により不適合)
結果:

まとめ

寄生虫による食中毒は近年増えており、令和7年は305件、そのうちアニサキスが280件であった。アニサキスはサバ・アジ・イワシ・カツオ・イカなどの海の魚介類に寄生し、生食によってみぞおちの激しい痛みを起こす。魚が死ぬと内臓から筋肉に移動する。食酢・しょうゆ・わさび・塩漬けでは死なず、予防には−20℃で24時間以上の冷凍か、70℃以上(60℃なら1分)の加熱、目で見て取り除くことが必要である。クドアはヒラメ、サルコシスティスは馬肉に寄生し、一過性の下痢を起こす。淡水魚、ジビエ、豚肉は生で食べない。

化学性食中毒で最も多いのはヒスタミンによるアレルギー様食中毒である。赤身魚のヒスチジンが、常温に置かれて増えた細菌の酵素によってヒスタミンに変わる。潜伏期間は食後すぐ〜1時間以内と短く、顔面紅潮、じんましん、頭痛が起こる。ヒスタミンは加熱しても分解されないため、魚の低温管理が予防の中心である。ほかに、酸性の食品による銅・亜鉛・スズなどの金属の溶出や、洗剤・消毒薬の誤用による食中毒がある。

油脂の変敗による食中毒を防ぐため、油脂で処理した菓子には、昭和52年の国の通知で、製品中の油脂の酸価が3をこえ、かつ、過酸化物価が30をこえるもの、および酸価が5をこえる、または過酸化物価が50をこえるものであってはならない、という指導基準が示されている。光と酸素を通しにくい包装、直射日光と高温を避けた保存、先入れ先出しが求められる。

菓子づくりでは、揚げ油の管理、ナッツや焼き菓子の酸化防止、銅鍋の手入れ、洗剤や消毒薬の保管に注意が必要である。これで食中毒の部を終える。次章からは、食品に意図して加える食品添加物と、意図せずに含まれる有害物質を学ぶ。まず、食品添加物の制度と安全性のしくみである。

※ 本書は、令和8年10月時点の法令・制度、令和7年の食中毒統計にもとづいています。

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