食品衛生学 第7章:自然毒食中毒

第7章

食品衛生学 第二部 食中毒

自然毒食中毒

はじめに

自然毒とは、動物や植物、きのこなどが、もともと体の中にもっている毒のことである。自然毒による食中毒は、微生物による食中毒とは性質が大きく異なる。

第一に、自然毒の多くは加熱しても壊れない。フグの毒も、毒きのこの毒も、じゃがいもの芽の毒も、煮ても焼いても揚げても消えない。第二に、自然毒は「つけない」「増やさない」で防ぐことができない。その食品が、生まれつき毒をもっているからである。自然毒による食中毒を防ぐ方法は、毒のあるものを食べないこと、毒のある部分を取り除くこと、そして食べられるものと有毒なものを確実に見分けることに尽きる。

自然毒による食中毒は、事件数・患者数は少ない。令和7年(2025年)の全国の自然毒による食中毒は47件で、全体の4%ほどである。しかし、死者の割合が高い。令和7年の食中毒による死者2人のうち1人は、イヌサフランという有毒植物を、食用の植物と間違えて食べたことによるものであった。

本章では、動物性自然毒(フグ、貝、魚など)と植物性自然毒(有毒植物、毒きのこ、じゃがいもなど)を学ぶ。菓子づくりとのかかわりでは、梅・あんず・びわの種や苦扁桃(ビターアーモンド)に含まれる青酸配糖体、製あん用に輸入される一部の豆に含まれるシアン化合物、そして料理や菓子の飾りに使う葉や花に注意が必要である。

1. 自然毒食中毒の特徴

項目内容
発生件数・患者数少ない(令和7年は47件)
死者死者の割合が高い。毎年のように死者が出ている
加熱多くの自然毒は加熱しても壊れない
多い季節春(山菜と間違えた有毒植物)、秋(毒きのこ)
多い原因施設家庭。自分で採った山菜やきのこ、家庭菜園の植物、自分で釣った魚などを食べて起こることが多い
予防の中心確実に食べられると判断できないものは採らない・食べない・売らない・人にあげない

自然毒は、大きく次のように分けられる。

分類主なもの
動物性自然毒フグ毒、貝毒(麻痺性・下痢性)、テトラミン(巻貝)、シガテラ毒、ビタミンAの過剰(イシナギなどの肝臓)、ワックス(バラムツなど)
植物性自然毒毒きのこ、ソラニン類(じゃがいも)、青酸配糖体(青梅など)、アルカロイド(トリカブト、イヌサフラン、スイセンなど)

2. 動物性自然毒

2-1. フグ毒(テトロドトキシン)

フグの毒はテトロドトキシンとよばれる。きわめて強い神経毒で、ごく少量で人を死に至らせる。フグ毒は、フグがもともとつくるのではなく、海の細菌がつくった毒が、食物連鎖を通じてフグの体にたまったものと考えられている。

項目内容
毒の多い部位肝臓と卵巣に特に多い。種類によっては皮や筋肉(身)にも毒がある。毒の量は、フグの種類、季節、個体によって大きく異なる
熱への強さ熱に強く、加熱調理しても壊れない。酸にも安定している
症状食後20分〜3時間ほどで、唇や舌、指先のしびれが始まり、頭痛、嘔吐、運動のまひ、言葉が話せない、呼吸困難へと進む。意識ははっきりしていることが多い
致命率高い。死亡する場合は、多くが食後8時間以内とされる
治療解毒剤はない。人工呼吸などで呼吸を保ち、毒が体から出ていくのを待つ

フグによる食中毒の多くは、素人が自分で釣ったフグを家庭で調理して起こっている。

フグの処理(有毒な部位を取り除くこと)は、都道府県知事などが認めた者(ふぐ処理者)が、認められた施設で行うことになっている。食べられるフグの種類と部位は、国の通知で定められている。

2-2. 貝毒

二枚貝は、海水をこして、その中のプランクトンを食べている。有毒なプランクトンが増えた時期に、二枚貝がそれを食べると、貝の体(とくに中腸腺とよばれる消化器)に毒がたまる。これを貝毒という。毒は貝そのものがつくるのではなく、プランクトン由来である。

種類主な原因の貝主な症状特徴
麻痺性貝毒ホタテガイ、カキ、アサリ、ムラサキイガイなど食後30分ほどで、口のまわりのしびれから、手足のまひ、呼吸困難に進む。死亡することがある(フグ毒に似る)主な毒はサキシトキシンなど
下痢性貝毒ムラサキイガイ、ホタテガイなど食後数時間以内に、下痢、吐き気、嘔吐、腹痛。発熱はなく、数日で回復する。死亡例はない主な毒はオカダ酸など

貝毒は、加熱しても壊れない。そのため、国と都道府県は、出荷する海域の貝の毒の量を定期的に検査し、規制値をこえた貝は出荷を自主的に止めるしくみをとっている(麻痺性貝毒は1gあたり4マウスユニット、など)。日本で獲れる貝にも、麻痺性貝毒は含まれることがある。潮干狩りなどで自分で採る場合は、自治体が出す貝毒の情報を確認する。

2-3. テトラミン(巻貝)

エゾボラの仲間(いわゆるツブ貝)の唾液腺には、テトラミンという毒がある。食後30分から1時間ほどで、頭痛、めまい、視覚の異常(ものが見えにくい)、酒に酔ったような症状が出るが、多くは数時間で回復する。テトラミンは加熱しても壊れないため、調理の前に唾液腺を取り除く。

2-4. シガテラ毒

シガテラは、熱帯や亜熱帯のサンゴ礁のまわりに住む魚(オニカマス、バラフエダイ、イッテンフエダイなど)を食べて起こる食中毒である。原因は、海藻などについている有毒なプランクトンの毒(シガトキシンなど)が、食物連鎖を通じて大きな魚にたまったものである。

症状の特徴は、冷たいものに触れたときに、ドライアイスに触れたような電気が走るような痛みを感じる温度感覚の異常(ドライアイスセンセーション)である。ほかに、吐き気、下痢、関節の痛み、かゆみなどがあり、神経の症状が数か月続くこともある。日本では、沖縄など南の地域で発生が多い。毒は加熱しても壊れない。

2-5. ビタミンAの過剰(イシナギなどの肝臓)

イシナギなどの大型の魚の肝臓には、ビタミンAがきわめて多く含まれている。これを食べると、ビタミンAのとりすぎにより、激しい頭痛、吐き気、発熱、そして数日後に顔や体の皮膚がはがれる症状が起こる。イシナギの肝臓は、昭和35年(1960年)から食用が禁止されている。

自然毒といっても、ビタミンAそのものは人に必要な栄養素である。量が多すぎれば毒になるという、「量の問題」の典型的な例である(第1章参照)。

2-6. ワックス(バラムツ・アブラソコムツ)

バラムツやアブラソコムツという深海魚の身には、人が消化できないワックス(油の一種)が大量に含まれている。これを食べると、ワックスが消化されないまま、油のような下痢として出てくる。食品衛生法により、これらの魚は販売が禁止されている。

3. 植物性自然毒

3-1. 毒きのこ

毒きのこによる食中毒は、植物性自然毒の中で最も件数が多く、秋に集中する。日本で発生の多い毒きのこは、次の3種で、きのこによる食中毒の多くを占める。

毒きのこ間違えやすい食用きのこ主な症状
ツキヨタケヒラタケ、ムキタケ、シイタケ食後30分〜1時間で、嘔吐、下痢、腹痛。暗いところでかさのひだが光る
クサウラベニタケウラベニホテイシメジ、ホンシメジ嘔吐、下痢、腹痛
カキシメジチャナメツムタケ、シイタケ嘔吐、下痢、腹痛

これらは主に胃腸の症状を起こすが、ドクツルタケやタマゴテングタケなどの猛毒のきのこは、肝臓や腎臓を壊し、死亡することがある。令和6年(2024年)にも、長野県で野生のきのこ(ドクツルタケなどと推定)を食べた人が死亡している。

毒きのこについて大切なのは、次のことである。

  • 毒きのこの毒は、加熱しても、塩漬けにしても、なくならない
  • 「縦にさけるきのこは食べられる」「色が地味なきのこは食べられる」「虫が食べているきのこは安全」などの言い伝えは、すべて迷信である
  • 確実に食用と判断できないきのこは、採らない・食べない・売らない・人にあげない
  • 平成16年(2004年)には、それまで食用とされていたスギヒラタケを食べた人に、急性脳症が多く報告された。現在は食べないよう呼びかけられている

3-2. じゃがいも(ソラニン類)

じゃがいもの芽と、日光に当たって緑色になった皮の部分には、ソラニンやチャコニンという毒(ソラニン類、グリコアルカロイド)が多く含まれる。

項目内容
症状食後30分〜半日ほどで、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、頭痛、めまい
熱への強さふつうの加熱調理では壊れない
よく起こる場面学校や家庭の菜園で育てた、小さく未熟ないもを、皮ごと調理して食べた例が多い
予防芽と、その根元をしっかり取り除く。緑色の部分は皮を厚くむく。小さく未熟ないもは避ける。保存は光の当たらない涼しい場所で

3-3. 青酸配糖体(梅・あんず・びわの種、一部の豆)

青酸配糖体とは、糖と青酸(シアン化水素)が結びついた物質である。青酸配糖体そのものは毒性が弱いが、植物の中の酵素や、腸の中の細菌のはたらきで分解されると、青酸(シアン化水素)が出て、中毒を起こす。

青酸配糖体主に含まれるもの
アミグダリン未熟な青梅の種と果肉、あんず・びわ・桃などの種(仁)、苦扁桃(ビターアーモンド)
リナマリン(ファゼオルナチン)キャッサバ、一部の輸入豆(ライマ豆など)

大量に食べると、頭痛、めまい、吐き気、呼吸困難などを起こす。

  • 青梅:未熟な青梅を生で大量に食べると中毒のおそれがある。梅干し、梅酒、梅シロップのように、塩漬け・酒漬け・砂糖漬け・加熱などの加工をしたものは、時間とともにアミグダリンが分解されて減るため、通常は問題にならない
  • びわの種:びわの種を粉末にした「健康食品」から、高い濃度のシアン化合物が見つかったことがあり、国は食べないよう注意を呼びかけている

製あん用の輸入豆とシアン化合物

あん(餡)の原料として輸入される豆の中には、シアン化合物を含むものがある。教材では「五色豆」の名で出てくることがある。

食品衛生法では、次のように定められている。

決まり内容
豆類原則として、シアン化合物が検出されてはならない
例外として認められる豆サルタニ豆、サルタピア豆、バター豆、ペギア豆、ホワイト豆、ライマ豆は、シアン化水素として500ppm以下であれば輸入できる
使用の制限これらの豆は、生あんの原料に限って使用できる
生あんの成分規格生あんからシアン化合物が検出されてはならない

これらの豆を使って生あんをつくる場合は、製造基準にしたがって、豆を十分に加熱し、水にさらす工程を経て、シアン化合物を取り除く。シアン化合物は水に溶けやすいため、水さらしが重要な工程となる。令和6年(2024年)には、バター豆を原料にした生あんからシアン化合物が検出された事例があり、シアン化合物の多い豆では、製造工程によっては生あんに残ることがあると指摘されている。

3-4. 有毒植物と、間違えやすい食用植物

有毒植物による食中毒の多くは、食べられる山菜や野菜と見た目が似ているために、間違えて食べることで起こる。春の山菜採りの季節に多い。

有毒植物主な毒成分間違えやすい食用植物主な症状
トリカブトアコニチンニリンソウ、モミジガサ(山菜)口や手足のしびれ、嘔吐、不整脈、呼吸困難。死亡することがある
イヌサフランコルヒチンギョウジャニンニク、ギボウシ、球根をじゃがいもやたまねぎと間違える嘔吐、下痢、皮膚の感覚の低下、呼吸困難。死亡例が多い
スイセンリコリン など葉をニラやノビルと、球根をたまねぎと間違える吐き気、嘔吐、下痢、頭痛。食後30分ほどで発症
バイケイソウアルカロイド類オオバギボウシ(ウルイ)、ギョウジャニンニク吐き気、嘔吐、手足のしびれ、血圧低下
チョウセンアサガオアトロピン など根をごぼうと、つぼみをオクラと、種子をごまと間違える口の渇き、瞳孔が開く、幻覚、けいれん

イヌサフランは、球根を玉ねぎと間違えて庭のプランターから掘って食べた例や、葉をギョウジャニンニクと間違えた例があり、近年の植物性自然毒の死亡例の多くを占めている。

3-5. そのほかの植物性自然毒

原因毒成分内容
ぎんなんギンコトキシン(4′-O-メチルピリドキシン)ビタミンB6の働きを妨げ、けいれんなどを起こす。5歳未満の子どもに多く、大人でも一度に大量に食べると起こる。加熱しても壊れない
モロヘイヤの種子強心配糖体葉は食用だが、種子やさやには毒がある。葉を摘むときに種子が混ざらないよう注意する
アジサイの葉詳しい成分は不明な点がある料理の飾りとして出されたアジサイの葉を食べて、嘔吐やめまいを起こした例がある

4. 自然毒食中毒の予防

自然毒による食中毒の予防は、次の原則にまとめられる。

  1. 確実に食用と判断できないものは、採らない・食べない・売らない・人にあげない
  2. 毒のある部位(フグの肝臓・卵巣、巻貝の唾液腺、じゃがいもの芽と緑色の部分)を確実に取り除く。フグは資格のある者が処理する
  3. 「加熱すれば大丈夫」と考えない。自然毒の多くは加熱しても壊れない
  4. 家庭菜園や庭で、食用の植物と観賞用の植物を一緒に植えない
  5. 貝毒については、自治体の検査情報を確認し、出荷規制のある海域の貝を採らない
  6. 体に異常を感じたら、すぐに医療機関を受診する。食べた残りがあれば持参する

5. 製菓とのつながり

5-1. 種(仁)を使う菓子と青酸配糖体

菓子の材料には、果実の種(仁)を使うものがある。

材料内容と注意点
杏仁(あんずの種の中身)杏仁豆腐の香りのもと。甜杏仁(甘い品種)と苦杏仁(苦い品種)があり、苦杏仁にはアミグダリンが多い。製菓には、食品として流通している杏仁霜(杏仁の粉)や香料を使う
アーモンドふつうの製菓用アーモンドはスイートアーモンドで、アミグダリンはほとんど含まれない。ビターアーモンド(苦扁桃)にはアミグダリンが多く、食品として生のまま使うことはない。アマレットやアーモンドエッセンスの独特の香りは、この苦扁桃や杏仁の香りの成分(ベンズアルデヒド)に由来する
梅・あんず・桃・びわ・さくらんぼの種果実を煮てジャムやコンポートにするときに、種を割って中身を大量に入れるような使い方は避ける。種ごと煮ても、種を割らなければ問題になることはほとんどない
青梅梅シロップや梅ジャム、梅の甘露煮に使う。砂糖漬けや加熱などの加工によってアミグダリンは減るため、通常の加工品は問題にならない。生の青梅をそのまま食べるような扱いはしない

5-2. 製あんと豆の取り扱い

和菓子の餡のうち、白あんの原料には、白いんげん豆(手亡など)のほかに、輸入のバター豆やライマ豆などの白い豆が使われることがある。これらの豆はシアン化合物を含むことがあるため、生あんの原料に限って使用が認められ、加熱と水さらしによってシアン化合物を除くことが製造の基準になっている。

製あん業者から生あんを仕入れる菓子店は、信頼できる業者から購入することが大切である。自店で豆から餡を炊く場合は、使う豆の種類を確認し、輸入の白い豆を使うときは、製造基準にしたがった十分な加熱と水さらしを守る。

5-3. 飾りに使う葉や花

菓子の飾りとして、花や葉を使うことがある。食用として栽培された花(エディブルフラワー)やハーブであれば問題ないが、観賞用の花や葉を飾りに使うと、思わぬ中毒の原因になることがある。料理の飾りに使われたアジサイの葉を食べて中毒を起こした例は、その代表である。

注意したいもの理由
アジサイの葉や花料理の飾りに使われ、食べて中毒を起こした例がある
スズラン、スイセン、キョウチクトウなどの観賞用の花毒を含む。花を生けた水を誤って飲んで中毒を起こした例もある
観賞用に栽培された花毒がなくても、食用を前提としない農薬が使われていることがある

菓子に飾る花や葉は、食用として栽培・販売されているものを使い、客が食べてしまう可能性があるものは、食べられないことがはっきりわかるようにするか、使わないことが望ましい。桜餅の葉(オオシマザクラの塩漬けの葉)や、柏餅の柏の葉のように、伝統的に使われる葉も、食品として加工・流通しているものを使う。

5-4. ぎんなん・くりなど木の実を使う和菓子

ぎんなんは、茶碗蒸しだけでなく、和菓子や季節の飾りにも使われる。ぎんなんによる中毒は、とくに小さな子どもで起こりやすい。子ども向けの菓子に使う場合は量に注意し、販売時にも配慮したい。

試験対策:よくある間違いポイント

試験に出る文です。正しい文(○)と間違った文(×)がまざっています。選んでから答えを確かめてください。

Q1貝毒は貝そのものがつくる毒で、加熱すれば壊れる

正しくは:貝毒は有毒なプランクトンに由来し、加熱しても壊れない

Q2シガテラ中毒では、冷たいものに触れると痛みを感じるドライアイスセンセーションという温度感覚の異常が起こる

この文のとおりです。

Q3イシナギの肝臓による食中毒は、アミグダリンが原因である

正しくは:イシナギの肝臓による中毒はビタミンAの過剰。アミグダリンは青梅などの青酸配糖体

Q4自然毒による食中毒は、春は山菜と間違えた有毒植物、秋は毒きのこによるものが多い

この文のとおりです。

Q5毒きのこの毒は、加熱したり塩漬けにしたりすれば分解される

正しくは:毒きのこの毒は加熱しても塩漬けにしてもなくならない

Q6ぎんなんによる中毒は、とくに小さな子どもに多く、けいれんを起こすことがある

この文のとおりです。(ギンコトキシンがビタミンB6の働きを妨げる)

Q7フグ毒による食中毒は、致命率がきわめて高い

この文のとおりです。(死亡する場合は多くが食後8時間以内)

Q8自然毒による食中毒は、事件数・患者数が多いが、死者は少ない

正しくは:自然毒は事件数・患者数は少ないが、死者の割合が高い

Q9じゃがいもの芽に含まれる毒はアフラトキシンとよばれ、発がん性が強い

正しくは:じゃがいもの芽の毒はソラニン類(ソラニン・チャコニン)。アフラトキシンはカビ毒

Q10麻痺性貝毒は、日本で獲れた貝には含まれない

正しくは:麻痺性貝毒は日本で獲れた貝にも含まれることがある

Q11ジャガイモの芽や緑色部分に多く含まれるソラニン類は、吐き気や下痢などの症状を引き起こす

この文のとおりです。

Q12日本で毒きのこによる食中毒の原因として多いのは、マツタケ、シイタケ、エノキタケである

正しくは:多いのはツキヨタケ、クサウラベニタケ、カキシメジ

Q13フグ毒(テトロドトキシン)は、十分に加熱すれば無毒化できる

正しくは:テトロドトキシンは熱に強く、加熱調理しても壊れない

Q14スイセンの毒は加熱すれば分解されるため、十分に加熱すれば食べられる

正しくは:スイセンの毒は加熱しても分解されない。スイセンは食べない

Q15縦にさけるきのこや、地味な色のきのこは食べられる

正しくは:これらは迷信。確実に食用と判断できないきのこは食べない

Q16モロヘイヤの種子には強心配糖体が含まれる

この文のとおりです。(葉は食用、種子やさやは有毒)

Q17じゃがいものソラニン類は、加熱すれば分解されるため、芽を取り除く必要はない

正しくは:ソラニン類はふつうの加熱では壊れない。芽と緑色の部分を取り除く

Q18生あんには、シアン化合物が一定量まで含まれていてもよい

正しくは:生あんはシアン化合物が検出されてはならない

Q19イヌサフランの毒はアコニチンである

正しくは:イヌサフランの毒はコルヒチン。アコニチンはトリカブトの毒

Q20ツブ貝(エゾボラ)による食中毒の原因は、貝の肝臓に含まれるビタミンAである

正しくは:ツブ貝の毒は唾液腺に含まれるテトラミン

Q21フグ毒はマイトトキシンという物質で、手指のしびれを引き起こす

正しくは:フグ毒はテトロドトキシン

Q22トリカブトは、ギョウジャニンニクと間違えて食べられることが多い

正しくは:トリカブトと間違えやすいのはニリンソウ。ギョウジャニンニクと間違えやすいのはイヌサフランやバイケイソウ

Q23シガテラは、冷水の深海魚を食べて起こる食中毒である

正しくは:シガテラは熱帯・亜熱帯のサンゴ礁のまわりの魚で起こる

Q24製あん材料として輸入される豆の中には、青酸化合物を含んでいるものがある

この文のとおりです。(バター豆、ライマ豆など。生あんの原料に限って使用できる)

Q25フグの処理は、都道府県知事などが認めた者が行う

この文のとおりです。

Q26貝毒には麻痺性と下痢性があり、いずれも有毒なプランクトンに由来する

この文のとおりです。

Q27バラムツは、テトロドトキシンを含むため販売が禁止されている

正しくは:バラムツは消化できないワックスを多く含むため販売が禁止されている

Q28下痢性貝毒は、呼吸困難を起こして死亡することが多い

正しくは:下痢性貝毒は下痢などの胃腸の症状で、数日で回復し、死亡例はない。呼吸困難を起こし死亡することがあるのは麻痺性貝毒

Q29シアン化合物を含むバター豆やライマ豆は、生あん以外のどのような食品にも原料として使用できる

正しくは:これらの豆は生あんの原料に限って使用が認められている

Q30ウメの未熟な果実には青酸配糖体が含まれ、多量に摂取すると呼吸困難などを起こすことがある

この文のとおりです。(青酸配糖体のアミグダリン)

Q31バラムツは多量のワックスを含み、多量に食べると腹痛や下痢などが現れる

この文のとおりです。

Q32フグの毒は、主に筋肉(身)と骨に多く含まれる

正しくは:フグの毒は肝臓と卵巣に特に多い
結果:

まとめ

自然毒は、動物や植物、きのこがもともと体にもっている毒である。自然毒による食中毒は、事件数・患者数は少ないが死者の割合が高く、多くの自然毒は加熱しても壊れない。予防の中心は、確実に食用と判断できないものを採らない・食べない・売らない・人にあげないこと、そして毒のある部位を確実に取り除くことである。

動物性自然毒では、フグ毒(テトロドトキシン)が最も重要である。肝臓と卵巣に多く、加熱しても壊れず、しびれから呼吸困難に進み、致命率が高い。貝毒は有毒なプランクトンに由来し、麻痺性(死亡することがある)と下痢性(数日で回復)がある。ツブ貝の唾液腺のテトラミン、サンゴ礁の魚のシガテラ(ドライアイスセンセーション)、イシナギの肝臓のビタミンAの過剰、バラムツのワックスも覚えておく。

植物性自然毒では、毒きのこ(ツキヨタケ・クサウラベニタケ・カキシメジが多い)、じゃがいもの芽と緑色の部分のソラニン類、青梅や果実の種のアミグダリン(青酸配糖体)、トリカブト(アコニチン、ニリンソウと間違える)、イヌサフラン(コルヒチン、ギョウジャニンニクや玉ねぎと間違える)、スイセン(ニラと間違える)などがある。製あん用に輸入されるバター豆・ライマ豆などはシアン化合物を含むことがあり、生あんの原料に限って使用でき、生あんからシアン化合物が検出されてはならない。

菓子づくりでは、杏仁や苦扁桃などの種(仁)、白あんの原料豆、飾りに使う葉や花に注意が必要である。次章では、寄生虫による食中毒と、ヒスタミンや有害金属などの化学物質による食中毒を学ぶ。食品学の本で「食品衛生学で扱う」とした、油菓子の変敗の基準もここで扱う。

※ 本書は、令和8年10月時点の法令・制度、令和7年の食中毒統計にもとづいています。

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