公衆衛生学 第二部 環境と健康
水と廃棄物
はじめに
蛇口をひねれば、そのまま飲める安全な水が出てくる。家から出たごみは、決まった日に収集され、きちんと処理される。日本では当たり前のこの暮らしは、公衆衛生の長い努力によって実現したものである。
かつて、日本でも、汚れた水によってコレラや赤痢、腸チフスなどの感染症がくり返し流行した。第1章で学んだスノウが、コレラの原因を井戸水にたどりついたように、安全な水と汚水・廃棄物の適切な処理は、感染症を防ぐ公衆衛生の原点である。現在でも、世界には安全な飲み水を利用できない人が多くいる。
本章では、水と健康、水道のしくみと水質基準、下水道と汚水の処理、廃棄物の処理とリサイクルを学ぶ。
試験では、水道の水質基準(大腸菌、一般細菌、残留塩素)、塩素に強いクリプトスポリジウム、BOD・COD、一般廃棄物と産業廃棄物の処理責任がよく出題される。また、水道行政の担当が2024年4月に変わったことや、2026年4月にPFOS・PFOAが水質基準に加わったことなど、新しい制度の変化にも注意が必要である。
菓子づくりは、水を大量に使い、生地のくずや廃油、包装材などのごみも出る仕事である。製菓とのつながりの節では、菓子店の水とごみの扱い方を確認する。
1. 水と健康
1-1. 体の中の水
人の体の約60%(成人)は水分である。体の水分の割合は年齢によって異なり、新生児では約80%、高齢者では約50%と、年をとるほど少なくなる。
体の水分は、栄養素や酸素を運ぶ、老廃物を尿として出す、汗によって体温を調節するなど、生命の維持に欠かせない働きをしている。体の水分の約10%を失うと健康がおびやかされ、約20%を失うと生命の危険がある。
1-2. 1日に必要な水の量
成人は、1日に約2.5Lの水を体に取り入れ、ほぼ同じ量を体の外に出している。
| 取り入れる水 | 量(目安) | 出ていく水 | 量(目安) |
|---|---|---|---|
| 飲み水 | 約1.2L | 尿 | 約1.5L |
| 食べ物にふくまれる水 | 約1.0L | 皮膚や呼吸から蒸発する水(不感蒸泄) | 約0.9L |
| 体の中でつくられる水(代謝水) | 約0.3L | 便 | 約0.1L |
| 合計 | 約2.5L | 合計 | 約2.5L |
成人が1日に必要とする水の量は、一般に2.5〜3L程度とされる。暑い環境や激しい運動では、汗によって失われる水がふえるため、さらに多くの水が必要になる。
1-3. 水と病気
水が原因となる健康被害には、主に次のようなものがある。
| 区分 | 例 |
|---|---|
| 病原体による感染症 | コレラ、細菌性赤痢、腸チフス、腸管出血性大腸菌感染症、クリプトスポリジウム症、A型肝炎、ノロウイルス感染症など |
| 化学物質による中毒 | ヒ素、鉛、水銀、カドミウムなどの有害な金属。工場排水による公害(第6章参照) |
| 水道水の消毒にともなうもの | トリハロメタンなどの消毒副生成物 |
水を通じて広がる感染症を水系感染症という。水系感染症は、同じ水を飲んだ人の間で、短い期間に、多くの患者が一度に発生することが特徴である。
2. 水道
2-1. 水道の普及
日本の水道は、水道法(1957年制定)にもとづいて整備されている。水道法の目的は、清浄で豊富低廉な水の供給を図り、公衆衛生の向上と生活環境の改善に寄与することである。
日本の水道普及率は約98%で、ほとんどの人が水道を利用している。
水道は、規模や形態によって、次のように分けられる。
| 種類 | 内容 |
|---|---|
| 上水道事業 | 給水人口が5,001人以上の水道事業 |
| 簡易水道事業 | 給水人口が101人以上5,000人以下の水道事業 |
| 専用水道 | 寮、社宅、療養所など、自家用の水道で、101人以上に給水するものなど |
| 貯水槽水道 | ビルやマンションで、水道水をいったん受水槽にためてから給水するもの。受水槽の有効容量が10m³を超えるものを簡易専用水道という |
ビルやマンションの受水槽までの水は水道事業者が管理するが、受水槽から先の水は、建物の設置者が管理する。簡易専用水道の設置者は、年1回以上、受水槽の清掃と検査を受けなければならない。
2-2. 水道行政の移管
⚠️ 水道行政は、長い間、厚生労働省が担当してきたが、2024年(令和6年)4月から、次のように移管された(第2章参照)。
| 担当 | 内容 |
|---|---|
| 国土交通省 | 水道の整備・管理(水道事業の認可、施設の基準、災害対応など) |
| 環境省 | 水道の水質基準の策定など、水質や衛生に関すること |
古い教材では、水道行政を「厚生労働省」の担当としていることがある。
2-3. 浄水の方法
川や湖、地下水などからとった水(原水)は、浄水場で、主に沈殿、ろ過、消毒の順に処理されて、飲める水になる。
| 工程 | 内容 |
|---|---|
| 沈殿 | 原水を静かに置いて、砂や土などの重いにごりを沈める。細かいにごりは、凝集剤(ポリ塩化アルミニウムなど)を加えて大きなかたまり(フロック)にしてから沈める |
| ろ過 | 砂の層などに水を通して、残ったにごりや微生物を取り除く |
| 消毒 | 塩素を加えて、病原微生物を殺す |
ろ過の方法には、緩速ろ過と急速ろ過がある。
| 項目 | 緩速ろ過 | 急速ろ過 |
|---|---|---|
| 速さ | 1日に4〜5m程度とゆっくり | 1日に120〜150m程度と速い |
| 仕組み | 砂の表面にできる微生物の膜(生物ろ過膜)が、にごりや細菌、においのもとを分解・除去する | 凝集剤で固めたにごりを、砂の層で物理的にこし取る |
| 必要な面積 | 広い | 狭い |
| 主な利用 | 水質のよい原水を使う小規模な浄水場 | 現在の日本の多くの浄水場 |
かび臭さの原因物質や、トリハロメタンのもとになる物質を除くため、オゾンや活性炭を使う高度浄水処理を行う浄水場もある。
2-4. 塩素消毒と残留塩素
日本の水道では、塩素消毒が水道法で義務づけられている。消毒には、次亜塩素酸ナトリウムなどが使われる。
塩素消毒のよい点は、水道管を通って家庭の蛇口に届くまで、水の中に塩素が残り(残留塩素)、途中で入りこんだ微生物も殺し続けられることである。そのため、水道法では、蛇口(給水栓)の水に、次の濃度以上の残留塩素が保たれていなければならないと定めている。
| 残留塩素の種類 | 通常 | 病原生物に汚染されるおそれがあるとき |
|---|---|---|
| 遊離残留塩素 | 0.1mg/L以上 | 0.2mg/L以上 |
| 結合残留塩素 | 0.4mg/L以上 | 1.5mg/L以上 |
塩素消毒には、弱点もある。
| 弱点 | 内容 |
|---|---|
| トリハロメタンの生成 | 水の中の有機物と塩素が反応して、トリハロメタン(クロロホルムなど)ができる。発がん性が疑われるため、水質基準で量が定められている |
| クリプトスポリジウム | 原虫のクリプトスポリジウムは、殻(オーシスト)に守られていて、塩素に強い。通常の塩素消毒では死なない |
クリプトスポリジウムは、人や家畜の腸に寄生する原虫で、下痢や腹痛を起こす。日本でも、1996年に埼玉県越生町で、水道水を原因とする約8,800人の集団感染が起きた。対策として、ろ過の管理の徹底や、紫外線処理、膜ろ過が行われている(食品衛生学の本の寄生虫と化学性食中毒の章を参照)。
⚠️ 「日本では塩素消毒をしているので、クリプトスポリジウムによる集団感染は起きていない」は誤り。クリプトスポリジウムは塩素に強く、日本でも集団感染が起きている。
2-5. 水道の水質基準
水道水は、水道法にもとづく「水質基準に関する省令」で定められた水質基準に適合していなければならない。水質基準は、令和8年(2026年)4月から52項目となっている。主な項目は次のとおりである。
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| 一般細菌 | 1mLの検水で形成される集落数が100以下 |
| 大腸菌 | 検出されないこと |
| 総トリハロメタン | 0.1mg/L以下 |
| 鉛及びその化合物 | 0.01mg/L以下 |
| ヒ素及びその化合物 | 0.01mg/L以下 |
| PFOS及びPFOA | 合計で0.00005mg/L(50ng/L)以下(2026年4月から) |
| pH値 | 5.8以上8.6以下 |
| 味・臭気 | 異常でないこと |
| 色度 | 5度以下 |
| 濁度 | 2度以下 |
大腸菌は、人や動物の便に多くふくまれるため、ふん便による汚染の指標とされる。大腸菌が検出されることは、水が便で汚れ、ほかの病原体もふくまれている可能性があることを意味する。そのため、大腸菌は「検出されないこと」と厳しく定められている。
PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)とPFOA(ペルフルオロオクタン酸)は、有機フッ素化合物(PFAS)の一種である。水や油をはじき、熱に強いため、泡消火剤や撥水剤、フッ素樹脂の製造などに使われてきた。自然の中でほとんど分解されず、体にたまりやすいことから、現在は製造や使用が原則として禁止されている。水道水では、これまで目標値として管理されていたが、2026年4月から、守らなければならない水質基準に引き上げられた。
⚠️ 古い教材では、水質基準を「51項目」とし、PFOS・PFOAを「水質管理目標設定項目」としている。2026年4月から、PFOS・PFOAは水質基準項目となり、水質基準は52項目になった。
2-6. 井戸水と災害時の水
井戸水は、地下を通ってくる間に自然にろ過されているが、周りの土地の汚れや、浄化槽、農薬、肥料などで汚染されることがある。飲み水に使う井戸水は、定期的に水質検査を受け、必要に応じて消毒することが大切である。
地震などの災害時には、水道が止まることがある。飲み水として、1人1日3Lを目安に、少なくとも3日分(できれば1週間分)を備えておくことがすすめられている。
3. 下水道と汚水の処理
3-1. 生活排水
家庭から出る排水(生活排水)は、次の二つに分けられる。
| 種類 | 内容 |
|---|---|
| し尿 | トイレから出る排水 |
| 生活雑排水 | 台所、風呂、洗濯などから出る排水 |
川や湖、海の汚れの大きな原因は、工場の排水だけでなく、家庭の生活排水である。とくに、台所から流れる油や食べ残し、米のとぎ汁などをふくむ生活雑排水は、汚れの量が多い。
3-2. 下水道
下水道は、家庭や工場の汚水と雨水を集めて流し、下水処理場(水再生センター)できれいにしてから、川や海に流す施設である。下水道は、生活環境の改善、浸水の防止、川や海などの水質の保全に役立つ。
下水の集め方には、汚水と雨水を同じ管で流す合流式と、別々の管で流す分流式がある。合流式は、大雨のときに、処理しきれない汚水が雨水とともに川に流れ出すことがあるため、現在は分流式が主に整備されている。
日本の下水道処理人口普及率は、約8割である。下水道のほか、合併処理浄化槽などをふくめた汚水処理人口普及率は、9割を超えている。
⚠️ 「わが国の下水道処理人口普及率は90%を超えている」は誤り。下水道処理人口普及率は約8割(80%台前半)である。
3-3. 下水の処理
下水処理場では、主に活性汚泥法によって汚水をきれいにする。
| 工程 | 内容 |
|---|---|
| 最初沈殿池 | 汚水を静かに流し、大きな汚れを沈める |
| 反応タンク(活性汚泥法) | 汚水に、微生物の多い泥(活性汚泥)を混ぜ、空気(酸素)を送りこむ。好気性微生物が、汚水の中の有機物を食べて分解する |
| 最終沈殿池 | 微生物のかたまりを沈め、上の澄んだ水を消毒して川や海に流す |
3-4. 浄化槽
下水道の通っていない地域では、各家庭などに浄化槽を設けて汚水を処理する。
| 種類 | 処理するもの |
|---|---|
| 合併処理浄化槽 | し尿と生活雑排水の両方 |
| 単独処理浄化槽 | し尿のみ(生活雑排水はそのまま流れる) |
単独処理浄化槽は、生活雑排水を処理しないため、川などを汚す原因となる。そのため、2001年からは単独処理浄化槽の新設が原則として禁止され、合併処理浄化槽への転換が進められている。
3-5. 水の汚れを示す指標
川や湖、海の水の汚れは、次のような指標で表される。
| 指標 | 意味 | 数値が高いと |
|---|---|---|
| BOD(生物化学的酸素要求量) | 水の中の有機物が、微生物によって分解されるときに使われる酸素の量 | 汚れている。主に河川の指標 |
| COD(化学的酸素要求量) | 水の中の有機物などを、薬品(酸化剤)で分解するときに使われる酸素の量 | 汚れている。主に湖沼・海域の指標 |
| DO(溶存酸素量) | 水にとけている酸素の量 | きれい(汚れた水では少なくなる) |
| SS(浮遊物質量) | 水に浮いている、にごりのもとになる物質の量 | 汚れている |
⚠️ BODとCODは数値が高いほど汚れているが、DOは数値が高いほどきれいである。逆にしないように注意する。
湖や内湾などの閉鎖的な水域に、生活排水などから窒素やリンが多く流れこむと、植物プランクトンが異常にふえる(富栄養化)。その結果、海では赤潮、湖ではアオコが発生し、魚が死んだり、水道水にかび臭さが出たりする。
4. 廃棄物
4-1. 廃棄物の分類と処理の責任
ごみやし尿などの廃棄物は、廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律、1970年制定)によって、一般廃棄物と産業廃棄物に分けられ、処理の責任が決められている。
| 分類 | 内容 | 処理の責任 |
|---|---|---|
| 一般廃棄物 | 家庭から出るごみ、し尿、事業所から出る産業廃棄物以外のごみ(事業系一般廃棄物) | 市町村 |
| 産業廃棄物 | 事業活動にともなって出る廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類など、法令で定められた20種類 | 事業者(排出者責任) |
産業廃棄物は、それを出した事業者が自らの責任で適正に処理しなければならない。事業者が処理を業者に委託するときは、産業廃棄物管理票(マニフェスト)を交付して、廃棄物が最後まで適正に処理されたかを確認する。
爆発性、毒性、感染性があり、人の健康や生活環境に被害を生じるおそれのある廃棄物は、特別管理一般廃棄物・特別管理産業廃棄物として、より厳しく管理される。病院から出る血液の付いた注射針などの感染性廃棄物がその例である。
⚠️ 「産業廃棄物は、市町村が処理しなければならない」は誤り。産業廃棄物は事業者が処理の責任を負う。市町村が処理するのは一般廃棄物である。
4-2. 循環型社会と3R
大量に生産し、大量に消費し、大量に捨てる社会から、資源をくり返し使う循環型社会へ変わるため、2000年に循環型社会形成推進基本法が制定された。この法律では、廃棄物の処理の優先順位を次のように定めている。
| 順位 | 取り組み | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | 発生抑制(リデュース) | ごみそのものを出さない |
| 2 | 再使用(リユース) | 使えるものはくり返し使う |
| 3 | 再生利用(リサイクル) | 資源として再び利用する |
| 4 | 熱回収 | 燃やして、その熱をエネルギーとして利用する |
| 5 | 適正処分 | どうしても利用できないものを、適正に処分する |
このうち、リデュース、リユース、リサイクルの三つを3Rという。3Rの中で、もっとも優先されるのはリデュース(発生抑制)である。
このほか、容器包装リサイクル法、家電リサイクル法、食品リサイクル法などの個別の法律によって、リサイクルが進められている。
4-3. 食品ロスと食品リサイクル
まだ食べられるのに捨てられてしまう食品を食品ロスという。日本の食品ロスは、2024年度の推計で約461万トン(事業系約237万トン、家庭系約224万トン)である。これは、国民一人あたり、毎日おにぎり約1個分の食品を捨てている計算になる。
食品ロスを減らすため、2019年に食品ロス削減推進法が制定された。また、食品関連事業者(食品の製造業、卸売業、小売業、外食産業)には、食品リサイクル法によって、食品廃棄物の発生抑制とリサイクルが求められている。食品リサイクル法では、まず発生抑制を優先し、次に飼料化や肥料化などの再生利用を進めることとしている(食品衛生学の本を参照)。
5. 製菓とのつながり
5-1. 菓子づくりと水
菓子づくりでは、生地の仕込みやシロップ、あんの煮炊きなど、水は原材料として使われる。また、器具や手の洗浄にも大量の水を使う。食品の製造に使う水は、飲用に適する水でなければならない。
水道水を直接使う店では、水質は水道事業者によって管理されている。しかし、ビルに入っている店で受水槽を通した水を使う場合は、受水槽から先の水の管理は建物の設置者の責任である。受水槽の清掃や検査が適切に行われているかを確認することが大切である。また、井戸水を使う店では、定期的な水質検査と、必要に応じた殺菌・ろ過の設備が必要である(食品衛生学の本の施設と食品取扱者の衛生管理の章を参照)。
5-2. 菓子店の排水と油
菓子づくりでは、バター、生クリーム、油脂を多く使う。器具を洗うときに油や生クリームをそのまま流すと、排水管の中で固まって詰まりの原因になるうえ、下水処理の負担を大きくし、川や海を汚す原因にもなる。
ボウルや天板の油は、洗う前にへらや紙でふき取ること、厨房の排水にはグリーストラップ(阻集器)を設け、たまった油や食べかすを定期的に清掃することが大切である。
5-3. 菓子店のごみの分け方
菓子店から出るごみは、店の形態や種類によって、処理の方法が異なる。
| ごみの種類 | 区分の例 |
|---|---|
| 揚げ物などに使った廃油(使用済みの食用油) | 産業廃棄物 |
| 包装材などの廃プラスチック類 | 産業廃棄物 |
| 生地のくず、売れ残り、果物の皮などの食品くず | 菓子の製造業から出るものは産業廃棄物(動植物性残さ)、販売店や飲食店から出るものは事業系一般廃棄物 |
| 紙くず、段ボール | 事業系一般廃棄物(資源として回収されることも多い) |
※ ごみの区分や出し方は、市町村によって異なる。製造と販売を同じ店で行う場合の区分などは、市町村の担当窓口に確認する。事業所から出るごみは、家庭ごみの集積所に出すことはできず、市町村の許可を受けた業者などに処理を依頼する。
5-4. 菓子店の食品ロス
菓子店では、売れ残りや、形のくずれた菓子、余った材料などが食品ロスになりやすい。売れ行きを記録して製造量を調整する、端材を別の菓子に活用する、消費期限と賞味期限を正しく設定して表示するなどの工夫で、発生抑制(リデュース)を進めることができる。ただし、食品ロスを減らすために、消費期限を過ぎたものや、衛生的に問題のあるものを売ったり配ったりしてはならない。食品ロスの削減は、あくまで安全が前提である。
試験対策:よくある間違いポイント
試験に出る文です。正しい文(○)と間違った文(×)がまざっています。選んでから答えを確かめてください。
Q1ビルの受水槽以降の水質は、水道事業者が管理する
Q2家庭から出るし尿は、産業廃棄物に分類される
Q3BODは主に河川の、CODは主に湖沼や海域の汚れの指標として用いられる
Q4DO(溶存酸素量)の数値が高いほど、水は汚れている
Q5水道水の水質基準で、大腸菌は1mLの検水で100以下とされている
Q6わが国の下水道処理人口普及率は90%を超えている
Q7PFOS・PFOAは、水道水の水質基準項目には定められていない
Q8日本では塩素消毒をしているので、クリプトスポリジウムによる集団感染は発生していない
Q9湖沼に窒素やリンが多く流れこむと、富栄養化によってアオコが発生することがある
Q10成人の体の水分は、体重の約30%である
Q11水道法では、給水栓の水の遊離残留塩素は0.01mg/L以上に保つこととされている
Q12事業者は、事業活動にともなって生じた廃棄物を、自らの責任において適正に処理しなければならない
Q13水道水は、水質基準に関する省令で定める水質基準に適合しなければならない
Q14水道水の塩素消毒によって、トリハロメタンが生成されることがある
Q15成人が1日に必要な水の量は、一般に0.5〜1Lといわれている
Q16産業廃棄物の処理を委託するときは、マニフェスト(産業廃棄物管理票)を交付する
Q17水道の整備・管理は、現在も厚生労働省が担当している
Q18産業廃棄物とは、事業活動にともなって生じる廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃プラスチック類など20種類をいう
Q19活性汚泥法は、嫌気性微生物によって汚水を処理する方法である
Q20BODの数値が高いほど、水はきれいである
Q21生活排水には、し尿をふくむ排水と、台所や風呂などから出る生活雑排水がある
Q22水道法では、次亜塩素酸ナトリウムなどによる塩素消毒が規定されている
Q23産業廃棄物は、市町村が処理しなければならない
Q24水道水の水質基準において、大腸菌は検出されないこととされている
Q25単独処理浄化槽は、し尿と生活雑排水の両方を処理する
Q263Rの中で最も優先されるのは、リサイクルである
まとめ
成人の体の約60%は水分で、体の水分の約10%を失うと健康がおびやかされ、約20%を失うと生命の危険がある。成人が1日に必要な水は約2.5〜3Lである。汚れた水は、コレラ、赤痢、腸チフス、クリプトスポリジウム症などの水系感染症の原因となる。
水道は水道法にもとづき整備され、普及率は約98%である。2024年4月から、水道の整備・管理は国土交通省、水質基準は環境省の担当となった。浄水場では沈殿・ろ過・消毒の順に処理し、ろ過には緩速ろ過(生物ろ過膜)と急速ろ過(凝集剤+砂)がある。塩素消毒が義務づけられ、蛇口の遊離残留塩素は0.1mg/L以上に保たれる。塩素消毒ではトリハロメタンが生じることがあり、クリプトスポリジウムは塩素に強い。水質基準(2026年4月から52項目)では、一般細菌は1mLで集落数100以下、大腸菌は検出されないこと、PFOS及びPFOAは合計50ng/L以下である。受水槽から先の水は建物の設置者が管理する。
生活排水はし尿と生活雑排水に分けられ、下水処理場では活性汚泥法(好気性微生物)で処理する。下水道処理人口普及率は約8割である。下水道のない地域では合併処理浄化槽でし尿と生活雑排水を処理する。水の汚れは、BOD(河川)・COD(湖沼・海域)が高いほど汚れ、DOは高いほどきれいである。窒素やリンによる富栄養化は、赤潮やアオコの原因となる。
廃棄物は、廃棄物処理法によって、一般廃棄物(家庭ごみ・し尿・事業系一般廃棄物。市町村が処理)と、産業廃棄物(廃油・廃プラスチック類など20種類。事業者が処理し、委託時はマニフェストを交付)に分けられる。循環型社会では、リデュース(発生抑制)を最優先に、3Rを進める。食品ロスは2024年度推計で約461万トンである。
菓子店では、使う水の管理、油を流さない工夫、ごみの正しい分別、安全を前提とした食品ロスの削減が求められる。次章では、環境の汚染が人々の健康を大きく損なった公害と、地球規模の環境問題について学ぶ。
※ 本書は、令和7年の人口動態統計、令和7年簡易生命表、令和8年10月時点の法令・制度にもとづいています。

