食品衛生学 総まとめ
直前総まとめ
はじめに
本章は、試験の直前に見直すための総まとめである。第1章から第14章までの内容から、試験でよく問われる数値、病因物質の比較、まぎらわしい用語、対応表、そして古い教材と答えが変わったところを整理する。新しい事実は加えていない。くわしい説明は、各行の右にある章で確認してほしい。
食品衛生学は、製菓衛生師試験で60問中11〜15問程度(多くの都道府県で12問)が出題され、製菓理論・実技に次いで出題数の多い科目である。中でも食中毒(原因となる菌やウイルスの性質、潜伏期間、原因食品、予防)は毎年かならず複数問出題される。本章の2の比較表は、とくに時間をかけて確認してほしい。
1. 数値の一覧
1-1. 食中毒の統計(令和7年)
| 項目 | 数値 | 章 |
|---|---|---|
| 全国の食中毒の事件数 | 1,172件 | 3 |
| 全国の食中毒の患者数 | 24,727人 | 3 |
| 事件数の1位 | ノロウイルス(462件) | 3・6 |
| 事件数の2位・3位 | アニサキス(280件)、カンピロバクター(220件) | 3 |
| 患者数の1位 | ノロウイルス(18,566人) | 3・6 |
| 患者数の2位 | ウエルシュ菌(1,260人) | 3・4 |
| 原因施設の1位 | 飲食店(事件数の約56%) | 3 |
| 寄生虫による食中毒 | 305件(うちアニサキス280件) | 8 |
| 自然毒による食中毒 | 47件 | 7 |
1-2. 加熱・冷却の温度と時間
| 項目 | 数値 | 章 |
|---|---|---|
| 一般の細菌を死滅させる加熱 | 中心温度75℃・1分間以上 | 2・12 |
| ノロウイルスを不活化させる加熱 | 中心温度85〜90℃・90秒間以上 | 6・12 |
| 殻付き卵・未殺菌液卵の加熱殺菌 | 70℃・1分間以上 | 4 |
| 芽胞を死滅させる高圧蒸気滅菌 | 121℃・15〜20分 | 2・13 |
| レトルト食品の殺菌 | 中心部120℃・4分間以上 | 5・13 |
| 牛乳の殺菌(乳等命令) | 63℃・30分間、またはこれと同等以上 | 13 |
| 高温短時間殺菌(HTST) | 72℃以上・15秒以上 | 13 |
| 超高温瞬間殺菌(UHT) | 120〜130℃・2〜3秒 | 13 |
| 熱湯消毒 | 80℃以上・5分間以上 | 13 |
| エンテロトキシン(黄色ブドウ球菌) | 100℃・30分でも壊れない | 5 |
| ボツリヌス毒素が失活する条件 | 80℃・20分、または100℃・1〜2分 | 5 |
| アニサキスが死ぬ条件 | 70℃以上(60℃なら1分)、または−20℃・24時間以上の冷凍 | 8 |
| クドアが死ぬ条件 | 中心75℃・5分間以上、または−15〜−20℃・4時間以上の冷凍 | 8 |
| 調理後の冷却(大量調理施設) | 30分以内に20℃付近(または60分以内に10℃付近) | 4・12 |
| 保温・保冷(大量調理施設) | 65℃以上、または10℃以下 | 12 |
| 食中毒菌が増えやすい温度帯 | おおむね10〜60℃(最もよく増えるのは30〜40℃前後) | 2 |
1-3. 保存温度
| 項目 | 数値 | 章 |
|---|---|---|
| 食肉・生食用鮮魚介類などの保存基準(食品衛生法) | 10℃以下 | 12 |
| 殻付き卵 | 10℃以下 | 4・12 |
| 液卵 | 8℃以下 | 4・12 |
| 凍結液卵(食品衛生法) | −15℃以下 | 4・12 |
| 凍結卵(大量調理施設の目安) | −18℃以下 | 12 |
| 冷凍食品(食品衛生法) | −15℃以下 | 12 |
| 生鮮魚介類(大量調理施設の目安) | 5℃以下 | 12 |
| ナッツ・チーズ・バター(大量調理施設の目安) | 15℃以下 | 12 |
| 検食 | 50g程度を−20℃以下で2週間以上 | 3・12 |
1-4. 微生物の性質
| 項目 | 数値 | 章 |
|---|---|---|
| 細菌の大きさ | 約1μm | 2 |
| ノロウイルスの大きさ | 約30〜40nm | 2・6 |
| 増殖に必要な水分活性の下限 | 細菌約0.90、酵母約0.88、黄色ブドウ球菌約0.86、カビ約0.80 | 2 |
| ほとんどの微生物が増えない水分活性 | 0.60未満 | 2 |
| 多くの食中毒菌が増えにくいpH | 4.6以下 | 2 |
| 大腸菌の世代時間 | 約20分(腸炎ビブリオは約10分) | 2・4 |
| 一般生菌数の測り方 | 標準寒天培地・35℃・48時間 | 2 |
| 牛乳の細菌数の規格 | 1mLあたり5万以下 | 2 |
| 生乳の総菌数の規格 | 1mLあたり400万以下 | 2 |
| 腸炎ビブリオが好む食塩濃度 | 3%前後 | 4 |
| カンピロバクターが好む酸素 | 5〜15%程度(微好気性) | 2・4 |
| ノロウイルスの感染に必要な量 | 10〜100個程度 | 6 |
1-5. 消毒と洗浄
| 項目 | 数値 | 章 |
|---|---|---|
| 次亜塩素酸ナトリウム(器具・ドアノブなど) | 0.02%(200ppm) | 6・13 |
| 次亜塩素酸ナトリウム(嘔吐物・便) | 0.1%(1,000ppm) | 6・13 |
| アルコールの最適な濃度 | 70〜80%程度 | 13 |
| 紫外線の殺菌波長 | 260nm付近 | 13 |
| 野菜・果実を洗浄剤に浸す時間 | 5分以上浸さない | 13 |
| すすぎ(流水) | 野菜・果実30秒以上、飲食器5秒以上 | 13 |
| すすぎ(ため水) | 水を替えて2回以上 | 13 |
| 遊離残留塩素(井戸水・貯水槽) | 0.1mg/L以上 | 12 |
| 貯水槽の清掃 | 年1回以上 | 12 |
| 井戸水などの水質検査 | 年1回以上 | 12 |
| 冷蔵庫の収容量 | 70%程度まで | 12 |
1-6. 添加物・有害物質の基準
| 項目 | 数値 | 章 |
|---|---|---|
| 指定添加物 | 476品目(令和7年8月25日現在) | 9 |
| 既存添加物 | 327品目(同) | 9 |
| ADIの安全係数 | 1/100(種差1/10×個人差1/10) | 9 |
| 用途名を併記する添加物 | 8種類 | 9 |
| 一括名で表示できる添加物 | 14種類 | 9 |
| 不使用表示ガイドラインの類型 | 10類型(令和4年3月) | 9 |
| タール色素 | 12種類 | 10 |
| 総アフラトキシン | 10μg/kg | 11 |
| 牛乳のアフラトキシンM1 | 0.5μg/kg | 11 |
| 小麦のデオキシニバレノール | 1.0mg/kg | 11 |
| りんごジュースのパツリン | 0.050ppm | 11 |
| 魚介類の水銀(暫定的規制値) | 総水銀0.4ppm、メチル水銀0.3ppm | 11 |
| 米のカドミウム | 0.4ppm | 11 |
| ダイオキシン類のTDI | 4pg/kg体重/日 | 11 |
| 残留農薬の一律基準 | 0.01ppm | 11 |
| 放射性セシウム | 一般食品100、乳児用食品・牛乳50、飲料水10(Bq/kg) | 11 |
| 油脂で処理した菓子の指導基準 | 酸価3をこえ、かつ過酸化物価30をこえないこと/酸価5または過酸化物価50をこえないこと | 8 |
| シアン化合物を含む製あん用の豆 | シアン化水素500ppm以下で、生あんの原料に限る | 7 |
| リステリア(非加熱食肉製品・ナチュラルチーズ) | 1gあたり100以下 | 4 |
1-7. 年・日付
| 項目 | 年・日付 | 章 |
|---|---|---|
| 食品衛生法の制定 | 昭和22年(1947年) | 1 |
| 食品安全基本法の制定(食品安全委員会の設置) | 平成15年(2003年) | 1 |
| 天然の添加物も指定制度の対象に | 平成7年(1995年) | 9 |
| 残留農薬等のポジティブリスト制度の施行 | 平成18年(2006年)5月 | 11 |
| HACCPに沿った衛生管理の完全施行 | 令和3年(2021年)6月1日 | 14 |
| 自主回収(リコール)の届出の義務化 | 令和3年(2021年)6月 | 14 |
| 規格基準・添加物の指定の消費者庁への移管 | 令和6年(2024年)4月 | 1 |
| 国立健康危機管理研究機構(JIHS)の発足 | 令和7年(2025年)4月 | 1 |
| 器具・容器包装のポジティブリスト制度の完全施行 | 令和7年(2025年)6月1日 | 11 |
| 堺市のO157集団食中毒 | 平成8年(1996年) | 3・4 |
| 森永ヒ素ミルク事件 | 昭和30年(1955年) | 11 |
| カネミ油症事件 | 昭和43年(1968年) | 11 |
2. 食中毒の比較表
2-1. 細菌性食中毒
| 菌 | 型 | 潜伏期間の目安 | 主な原因食品 | 覚えるべき特徴 | 章 |
|---|---|---|---|---|---|
| サルモネラ属菌 | 感染型 | 6〜72時間(多くは12〜24時間) | 鶏卵、食肉 | 高熱。ネズミ・ペット・爬虫類も保菌 | 4 |
| 腸炎ビブリオ | 感染型 | 8〜24時間 | 生の魚介類 | 好塩菌(食塩3%)。真水に弱い。増殖が速い。夏 | 4 |
| カンピロバクター | 感染型 | 2〜7日 | 鶏肉の生食・加熱不足 | 微好気性。少量で感染。ギラン・バレー症候群 | 4 |
| 腸管出血性大腸菌 | 感染型(生体内毒素型) | 2〜9日(多くは3〜5日) | 牛肉、生野菜 | ベロ毒素。少量で感染。HUS。三類感染症 | 4・6 |
| ウエルシュ菌 | 感染型(生体内毒素型) | 6〜18時間 | カレー・煮物の大量調理 | 偏性嫌気性・芽胞。1件あたりの患者数が多い | 4 |
| エルシニア | 感染型 | 半日〜6日 | 豚肉 | 低温でも増える。虫垂炎に似た痛み | 4 |
| リステリア | 感染型 | 1日〜数週間 | ナチュラルチーズ、生ハム | 低温・高塩分でも増える。妊婦・高齢者 | 4 |
| 黄色ブドウ球菌 | 毒素型 | 30分〜6時間 | おにぎり、シュークリーム、和菓子 | エンテロトキシン(耐熱性)。手指の化膿巣。嘔吐。発熱ほぼなし | 5 |
| ボツリヌス菌 | 毒素型 | 8〜36時間 | いずし、からしれんこん、真空包装食品 | 偏性嫌気性・芽胞。神経まひ。致命率が最も高い。毒素は熱に弱い。E型が多い | 5 |
| セレウス菌(嘔吐型) | 毒素型 | 30分〜6時間 | 米飯・麺、餡 | 芽胞。セレウリド(耐熱性)。日本は嘔吐型が多い | 5 |
| セレウス菌(下痢型) | 生体内毒素型 | 6〜15時間 | 食肉、スープ | 下痢毒は熱に弱い | 5 |
2-2. ウイルス・寄生虫・自然毒・化学物質
| 病因物質 | 潜伏期間の目安 | 主な原因 | 覚えるべき特徴 | 章 |
|---|---|---|---|---|
| ノロウイルス | 24〜48時間 | 調理従事者の手指、二枚貝 | 食品中で増えない。冬。アルコールが効きにくい | 6 |
| A型肝炎ウイルス | 2〜6週間 | 二枚貝、水 | 黄疸。四類感染症 | 6 |
| E型肝炎ウイルス | 平均約6週間 | 豚・イノシシ・シカの生食 | 豚の生食用提供は禁止 | 6 |
| アニサキス | 数時間〜十数時間 | サバ・イカなどの生食 | 酢・しょうゆ・わさびで死なない | 8 |
| クドア | 数時間 | ヒラメ | 24時間以内に回復 | 8 |
| サルコシスティス | 数時間 | 馬肉 | 冷凍で予防 | 8 |
| フグ毒 | 20分〜3時間 | フグの肝臓・卵巣 | テトロドトキシン。加熱で壊れない | 7 |
| ヒスタミン | 食後すぐ〜1時間以内 | 赤身魚 | アレルギー様。加熱で壊れない | 8 |
2-3. 「熱に強いもの」と「熱に弱いもの」
| 熱に強い(加熱しても壊れない・死なない) | 熱に弱い |
|---|---|
| 黄色ブドウ球菌のエンテロトキシン | 黄色ブドウ球菌の菌 |
| ボツリヌス菌の芽胞 | ボツリヌス菌の毒素 |
| セレウス菌の芽胞とセレウリド | セレウス菌の下痢毒 |
| ウエルシュ菌の芽胞 | サルモネラ、腸炎ビブリオ、カンピロバクター、病原大腸菌の菌 |
| フグ毒、貝毒、毒きのこの毒、ソラニン類 | ノロウイルス(85〜90℃・90秒で不活化) |
| ヒスタミン、アフラトキシン | アニサキス(70℃以上で死ぬ) |
3. まぎらわしい用語の整理
3-1. 行政のしくみ
| 用語 | 違い | 章 |
|---|---|---|
| リスク評価 | 食品安全委員会(内閣府)。科学的に評価する | 1 |
| リスク管理 | 消費者庁・厚生労働省・農林水産省など。規制や基準を決めて実施する | 1 |
| リスクコミュニケーション | すべての関係者の双方向の情報・意見交換 | 1 |
| 規格基準の策定・添加物の指定 | 消費者庁(内閣総理大臣)、食品衛生基準審議会(令和6年4月から) | 1・9 |
| 監視指導・HACCPなど衛生管理の基準 | 厚生労働省(変わらない) | 1 |
| 食品衛生法の目的 | 飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止 | 1 |
| 食品安全基本法の目的 | 施策を総合的に推進 | 1 |
3-2. 微生物
| 用語 | 違い | 章 |
|---|---|---|
| 好気性菌 | 酸素が必要(カビ) | 2 |
| 偏性嫌気性菌 | 酸素があると増えない(ボツリヌス菌、ウエルシュ菌) | 2 |
| 通性嫌気性菌 | 酸素があってもなくても増える(大腸菌、サルモネラ、黄色ブドウ球菌) | 2 |
| 微好気性菌 | 少ない酸素で増える(カンピロバクター) | 2 |
| 芽胞をつくる菌 | ボツリヌス菌、ウエルシュ菌、セレウス菌 | 2 |
| 一次汚染 | 原材料がもともともっている汚染 | 2 |
| 二次汚染 | 製造・調理の途中でつく汚染 | 2 |
| 一般生菌数 | 生きた菌の数 | 2 |
| 総菌数 | 死んだ菌も含めた数 | 2 |
| 自由水 | 微生物が利用できる水 | 2 |
| 結合水 | 微生物が利用できない水 | 2 |
3-3. 食中毒の型
| 用語 | 違い | 章 |
|---|---|---|
| 感染型 | 生きた菌が体内で増えて起こる。潜伏期間が長い。加熱で予防できる | 3・4 |
| 毒素型 | 食品中でできた毒素で起こる。潜伏期間が短い。毒素が熱に強いと加熱で予防できない | 3・5 |
| 生体内毒素型 | 腸の中で菌が毒素をつくる(腸管出血性大腸菌、ウエルシュ菌など)。感染型に含める教材もある | 3 |
| 細菌の予防三原則 | つけない・増やさない・やっつける | 3 |
| ノロウイルスの予防四原則 | 持ち込まない・ひろげない・つけない・やっつける | 3・6 |
3-4. 添加物
| 用語 | 違い | 章 |
|---|---|---|
| 保存料 | 増殖を抑える(静菌)。殺菌作用はない | 10 |
| 殺菌料 | 菌を殺す(次亜塩素酸ナトリウムなど) | 10 |
| 着色料 | 色をつける | 10 |
| 発色剤 | それ自体は無色。色を安定させる(亜硝酸ナトリウム) | 10 |
| 酸化防止剤 | 自らが酸素と結びつくことで酸化を防ぐ | 10 |
| 漂白剤 | 色を抜く(亜硫酸ナトリウム) | 10 |
| 防かび剤 | 輸入のかんきつ類・バナナのかびを防ぐ(OPP、TBZ、イマザリル) | 10 |
| 指定添加物 | 内閣総理大臣が指定。合成品も天然物も | 9 |
| 既存添加物 | 長い使用実績のある天然の添加物。消除で減っている | 9 |
| 加工助剤 | 最終の食品にほとんど残らない。表示を省略できる | 9 |
| キャリーオーバー | 原材料に含まれ、最終の食品で効果を示さない。表示を省略できる | 9 |
3-5. 洗浄・殺菌・消毒
| 用語 | 違い | 章 |
|---|---|---|
| 消毒 | 病原微生物を殺す。芽胞は残ることがある | 13 |
| 滅菌 | 芽胞を含むすべての微生物を殺す | 13 |
| 静菌 | 殺さずに増殖を抑える(低温保存、保存料) | 13 |
| 中性洗剤 | 洗浄効果はあるが消毒効果はない | 13 |
| 逆性石けん | 殺菌力は強いが洗浄力はない。普通の石けんと混ぜると効果がなくなる。食品には使えない | 13 |
| アルコール | ぬれていると効かない。ノロウイルスに効きにくい | 13 |
| 次亜塩素酸ナトリウム | ノロウイルスに有効。金属を腐食。汚れで効果が落ちる | 13 |
3-6. HACCP
| 用語 | 違い | 章 |
|---|---|---|
| HA | 危害要因分析 | 14 |
| CCP | 重要管理点 | 14 |
| モニタリング | CCPの管理基準が守られているかをその場で確認する | 14 |
| 検証 | 計画全体が機能しているかを後から定期的に確かめる | 14 |
| 原則1 | 危害要因分析(手順1の「HACCPチームの編成」と取り違えない) | 14 |
| HACCPに基づく衛生管理 | 大規模な事業者。7原則にもとづく | 14 |
| HACCPの考え方を取り入れた衛生管理 | 小規模な事業者(菓子店など)。手引書を参考にする | 14 |
3-7. 公害と事故
| 用語 | 原因物質 | 区分 | 章 |
|---|---|---|---|
| 水俣病 | メチル水銀 | 公害(魚介類の生物濃縮) | 11 |
| イタイイタイ病 | カドミウム | 公害(米などの農作物) | 11 |
| 森永ヒ素ミルク事件 | ヒ素 | 製造中の事故(乳児用粉ミルク) | 11 |
| カネミ油症事件 | PCB | 製造中の事故(米ぬか油) | 11 |
4. 対応表
4-1. 自然毒と原因
| 毒 | 原因 | 間違えやすいもの・注意 | 章 |
|---|---|---|---|
| テトロドトキシン | フグ(肝臓・卵巣) | 加熱で壊れない | 7 |
| サキシトキシンなど | 麻痺性貝毒(ホタテガイなど) | プランクトン由来。死亡することがある | 7 |
| オカダ酸など | 下痢性貝毒 | 数日で回復 | 7 |
| テトラミン | ツブ貝(エゾボラ)の唾液腺 | 唾液腺を取り除く | 7 |
| シガトキシンなど | シガテラ(サンゴ礁の魚) | ドライアイスセンセーション | 7 |
| ビタミンA | イシナギの肝臓 | 皮膚がはがれる | 7 |
| ワックス | バラムツ・アブラソコムツ | 販売禁止 | 7 |
| ソラニン類 | じゃがいもの芽・緑色の部分 | 加熱で壊れない | 7 |
| アミグダリン | 青梅、あんず・びわの種 | 青酸配糖体 | 7 |
| アコニチン | トリカブト | ニリンソウと間違える | 7 |
| コルヒチン | イヌサフラン | ギョウジャニンニク、玉ねぎと間違える | 7 |
| リコリンなど | スイセン | ニラ、玉ねぎと間違える | 7 |
| ギンコトキシン | ぎんなん | 子どもに多い。けいれん | 7 |
| 毒きのこ | ツキヨタケ・クサウラベニタケ・カキシメジ | 加熱・塩漬けでも毒は消えない | 7 |
4-2. カビ毒と食品
| カビ毒 | カビ | 食品 | 章 |
|---|---|---|---|
| アフラトキシン | アスペルギルス属 | ナッツ類、とうもろこし、香辛料、カカオ豆 | 11 |
| デオキシニバレノール | フザリウム属(アカカビ) | 小麦 | 11 |
| パツリン | ペニシリウム属など | りんごジュース | 11 |
| シトリニン | ペニシリウム属 | 黄変米 | 11 |
4-3. 添加物と用途
| 物質名 | 用途 | 章 |
|---|---|---|
| ソルビン酸・ソルビン酸カリウム、安息香酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、プロピオン酸 | 保存料 | 10 |
| 次亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素 | 殺菌料 | 10 |
| ビタミンC、ビタミンE、BHA、BHT | 酸化防止剤 | 10 |
| 亜硝酸ナトリウム | 発色剤 | 10 |
| タール色素、β-カロテン、銅クロロフィル、クチナシ色素 | 着色料 | 10 |
| 亜硫酸ナトリウム | 漂白剤 | 10 |
| OPP、TBZ、イマザリル | 防かび剤 | 10 |
| サッカリンナトリウム、アスパルテーム、ステビア | 甘味料 | 10 |
| L-グルタミン酸ナトリウム | 調味料(アミノ酸) | 10 |
| ペクチン、カラギナン | 増粘剤・ゲル化剤 | 10 |
| グリセリン脂肪酸エステル、レシチン | 乳化剤 | 10 |
| 炭酸水素ナトリウム(重曹) | 膨脹剤 | 10 |
| 塩化マグネシウム(にがり) | 豆腐用凝固剤 | 10 |
| 流動パラフィン | 離型剤(パン) | 10 |
| 酢酸ビニル樹脂 | 被膜剤 | 10 |
4-4. 異物の分類
| 分類 | 例 | 章 |
|---|---|---|
| 動物性 | 毛髪、ダニ、昆虫、ネズミの毛 | 11 |
| 植物性 | 種子、木片、紙片、糸くず | 11 |
| 鉱物性 | 小石、砂、ガラス片、金属片、陶磁器片 | 11 |
5. 古い教材と答えが変わったところ
古い教材や過去問を解くときは、次の点に注意する。試験では、受験する年の教材がどの時点の制度にもとづいているかを確認してほしい。
| 内容 | 古い教材 | 現在(本書) | 章 |
|---|---|---|---|
| 規格基準の策定・添加物の指定 | 厚生労働大臣、薬事・食品衛生審議会 | 内閣総理大臣(消費者庁)、食品衛生基準審議会(令和6年4月から) | 1・9 |
| 国の感染症の研究機関 | 国立感染症研究所 | 国立健康危機管理研究機構(JIHS)(令和7年4月から) | 1 |
| 食中毒の事件数の1位 | カンピロバクター、またはアニサキス | ノロウイルス(令和7年) | 3 |
| 指定添加物・既存添加物の品目数 | 475品目・357品目など | 476品目・327品目(令和7年8月25日現在) | 9 |
| 小麦のデオキシニバレノール | 暫定基準値1.1ppm | 規格基準1.0mg/kg(令和3年) | 11 |
| 器具・容器包装 | 制度の記載なし | 合成樹脂のポジティブリスト制度(令和7年6月1日完全施行) | 11 |
| HACCP | 総合衛生管理製造過程の承認制度 | 制度は廃止。令和3年6月から原則すべての事業者にHACCPに沿った衛生管理 | 14 |
| 水分活性・pH | 0.50以下で増えない、pH4.5以下 | 0.60未満、pH4.6以下(食品学の本とそろえた値) | 2 |
| 低温保持殺菌 | 65℃30分など | 63℃30分(乳等命令) | 13 |
| ボツリヌス毒素の失活 | 80℃30分 | 80℃20分(100℃なら1〜2分) | 5 |
6. 製菓とのつながり(振り返り)
本書の各章の「製菓とのつながり」から、菓子をつくる人として必ず覚えておきたいことを振り返る。
| テーマ | 要点 | 章 |
|---|---|---|
| 菓子の特徴 | 加熱したあとに人の手が入る工程が多い。「やっつける」だけでなく「つけない・増やさない」が中心 | 1・3 |
| 水分活性と菓子 | 生菓子は細菌、半生菓子はカビ・酵母、焼き菓子は湿気に注意 | 2 |
| 卵とサルモネラ | 生や加熱の弱い使い方には殺菌液卵。割り置きをしない。卵を割ったら手を洗う | 4 |
| クリームと黄色ブドウ球菌 | 手指の化膿した傷がある人は食品に直接触れない。毒素は加熱で壊れない | 5 |
| 餡とセレウス菌 | 炊いたら浅く広げて急速に冷やす | 5 |
| はちみつ | 1歳未満の乳児に与えない。焼いても芽胞は死なない | 5 |
| ノロウイルス | 体調の悪い人は作業しない。アルコールだけにたよらない | 6 |
| 種と豆 | 苦扁桃・苦杏仁のアミグダリン。製あん用の輸入豆は生あんの原料に限る | 7 |
| 飾りの葉・花 | 食用として栽培されたものを使う | 7 |
| 揚げ菓子 | 揚げ油の劣化に注意。酸価・過酸化物価の指導基準 | 8 |
| 添加物の表示 | 原材料に含まれる添加物も確認する。「無添加」の表示は誤解を招かないように | 9 |
| 着色料 | カステラ・スポンジケーキにタール色素は使えない | 10 |
| ナッツ・カカオ | アフラトキシン。カビが見えたら全体を使わない | 11 |
| 器具・包装 | 食品用として販売されているものを使う | 11 |
| 作業区域 | 卵を割る場所と仕上げの台を離す | 12 |
| 器具の洗浄 | 口金・絞り袋は汚れが残りやすい。洗浄→消毒→乾燥 | 13 |
| HACCP | 菓子店は手引書による衛生管理。加熱後に手作業が入る菓子(ケーキ、シュークリーム、餅菓子)は二次汚染の防止が重要 | 14 |
試験対策:ひっかけ問題BEST20
試験に出る文です。正しい文(○)と間違った文(×)がまざっています。選んでから答えを確かめてください。
Q1ノロウイルスの消毒には、アルコールが最も有効である
Q2食品添加物の指定は、令和6年4月から内閣総理大臣(消費者庁)が行う
Q3令和3年6月から、原則としてすべての食品等事業者に、HACCPに沿った衛生管理が求められている
Q4冷蔵庫で保存すれば、食品中の細菌は死滅する
Q5令和7年の全国の食中毒では、ノロウイルスが事件数・患者数ともに1位であった
Q6消毒とは、芽胞を含めてすべての微生物を死滅させることである
Q7水俣病の原因物質は、カドミウムである
Q8芽胞は、100℃で5分間加熱すればすべて死滅する
Q9一日摂取許容量(ADI)の安全係数は1/10であり、日本ではJECFAがADIを定める
Q10ヒスタミンは加熱すれば分解されるため、魚を十分に加熱すれば食中毒は防げる
Q11アニサキスは、食酢やわさびで死滅する
Q12カンピロバクター食中毒の潜伏期間は、30分〜6時間と短い
Q13ノロウイルスは、食品の中で増殖する
Q14保存料には、食品中の微生物を殺す強い殺菌作用がある
Q15腸炎ビブリオは、真水の中でよく増殖する
Q16黄色ブドウ球菌がつくるエンテロトキシンは、熱に弱いため加熱すれば壊れる
Q17大量調理施設衛生管理マニュアルでは、検食を50g程度ずつ、−20℃以下で2週間以上保存する
Q181歳未満の乳児には、乳児ボツリヌス症を防ぐため、はちみつを与えない
Q19逆性石けんは、洗浄力と殺菌力の両方をもつ
Q20フグ毒は、十分に加熱すれば無毒化できる
Q21発色剤は、食品に色をつける添加物である
Q22ボツリヌス菌は芽胞が熱に強く、毒素は熱に弱い
Q23三類感染症の患者と無症状病原体保有者は、飲食物に直接接触する業務への就業が制限される
Q24ウエルシュ菌は、好気性菌である
Q25HACCPでは、最終製品の検査を最も重視する
Q26じゃがいもの芽に含まれる毒は、アフラトキシンである
Q27カステラやスポンジケーキには、タール色素を使用できない
Q28ノロウイルスを不活化するには、中心温度75℃で1分間以上加熱すればよい
まとめ
食品衛生学は、食品の安全を微生物、化学物質、施設と人の衛生管理の三つの面から学ぶ科目である。
食中毒では、ノロウイルスが事件数・患者数とも最も多く(令和7年)、食品の中では増えず、手指から広がり、アルコールが効きにくい。細菌性食中毒は、生きた菌による感染型(サルモネラ・腸炎ビブリオ・カンピロバクター・腸管出血性大腸菌・ウエルシュ菌など)と、食品中の毒素による毒素型(黄色ブドウ球菌・ボツリヌス菌・セレウス菌嘔吐型)に分けられ、潜伏期間と熱への強さが問われる。自然毒、寄生虫、ヒスタミンの多くは加熱しても壊れない。
化学物質では、食品添加物の指定の制度(令和6年4月から内閣総理大臣)、ADI(無毒性量×1/100)、表示(用途名併記8種類・一括名14種類)、用途の取り違え(保存料と殺菌料、着色料と発色剤)が重要である。有害物質では、アフラトキシン、公害と事故の区別、残留農薬の一律基準0.01ppm、放射性セシウムの基準値を押さえる。
衛生管理では、汚染作業区域と非汚染作業区域の区分、手洗い、検便(無症状病原体保有者の発見)、消毒と滅菌の違い、消毒薬の使い分け、そしてHACCP(7原則12手順、令和3年6月からの制度化)が中心となる。
菓子は、加熱したあとに人の手が入る工程が多い食品である。菓子をつくる人にとって、食品衛生学の知識は、試験のためだけでなく、毎日の作業の中で客の健康を守るための技術そのものである。
※ 本書は、令和8年10月時点の法令・制度、令和7年の食中毒統計にもとづいています。

