食品衛生学 第13章:洗浄・殺菌・消毒と食品の保存

第13章

食品衛生学 第四部 衛生管理

洗浄・殺菌・消毒と食品の保存

はじめに

前章では、施設と人の衛生管理を学んだ。本章では、器具や手指、食品を清潔に保つための具体的な方法として、洗浄、殺菌、消毒を学ぶ。あわせて、食品に微生物が増えないようにする保存の方法を、衛生の視点から整理する。

洗浄・殺菌・消毒は、食中毒予防の三原則のうち、「つけない」と「やっつける」を実際に行う方法である(第3章参照)。正しい方法で行わなければ、時間と手間をかけても効果がない。たとえば、汚れが残ったまま消毒薬をかけても、消毒薬の効果は大きく落ちる。アルコールは、ノロウイルスには効きにくい。逆性石けんは、汚れを落とす力をもたない。それぞれの方法の得意なことと苦手なことを知って、使い分けることが大切である。

食品の保存については、水分活性、低温、乾燥、塩蔵・糖蔵などの原理を、食品学の本の食品の加工と保存の章で詳しく扱っている。本章では、それらを「微生物をどう抑えるか」という衛生の視点から簡潔に整理し、とくに食品衛生法で定められた殺菌の条件を中心に学ぶ。

1. 用語の整理

1-1. 洗浄・殺菌・消毒・滅菌

食品衛生では、次の用語を区別して使う。試験でも、それぞれの意味の違いが繰り返し問われる。

用語意味
洗浄汚れ(食品のかす、油、たんぱく質など)を取り除くこと。微生物の多くも、汚れとともに取り除かれる
殺菌微生物を殺すこと。殺す範囲や程度は問わない、広い意味の言葉
消毒病原微生物を殺したり除いたりして、感染や食中毒の危険をなくすこと。すべての微生物を殺すわけではなく、芽胞は残ることがある
滅菌芽胞を含むすべての微生物を殺す、または取り除き、完全に無菌の状態にすること
除菌ろ過、洗浄などによって、微生物を取り除いて減らすこと
静菌微生物を殺さずに、その増殖を抑えること(低温保存、保存料など)
抗菌製品の表面で、微生物が増えるのを抑えること(抗菌加工のまな板など)

とくに、消毒と滅菌の違いが重要である。「消毒は芽胞を含むすべての微生物を死滅させること」は誤りで、それは滅菌である。

1-2. 洗浄が先、消毒はあと

衛生管理の基本は、「まず洗浄、それから殺菌・消毒」である。

  • 汚れが残っていると、その中に微生物がかくれて、熱や消毒薬が届かない
  • 消毒薬の多くは、汚れ(とくにたんぱく質)に触れると効果が落ちる(次亜塩素酸ナトリウム、逆性石けんなど)
  • 洗浄だけでも、多くの微生物を取り除くことができる

洗浄 → すすぎ → 殺菌・消毒 → (必要に応じて)すすぎ → 乾燥、の順で行う。最後の乾燥も大切で、ぬれたままの器具やふきんでは、残った菌がまた増える。

2. 洗浄

2-1. 洗浄剤

食品や食器の洗浄には、食品用の洗浄剤を使う。洗浄剤の主な成分は界面活性剤で、油汚れを水になじませて取り除く働きをもつ。

種類内容
脂肪酸系洗浄剤(石けん系)油脂からつくる。弱アルカリ性
脂肪酸系以外の洗浄剤(合成洗剤)石油などからつくる。中性洗剤が多い

中性洗剤には、汚れを落とす洗浄効果はあるが、微生物を殺す消毒効果はない。洗浄と消毒は、別の工程として行う。

2-2. 洗浄剤の使用基準

野菜・果実や飲食器を洗う洗浄剤には、食品衛生法にもとづく使用基準がある。

項目内容
使用濃度脂肪酸系以外の洗浄剤は、界面活性剤の濃度として0.1%以下、脂肪酸系の洗浄剤は0.5%以下で使う
浸す時間野菜・果実は、洗浄剤の溶液に5分以上浸してはならない
すすぎ(流水)洗浄後は、飲用に適する水ですすぐ。流水の場合、野菜・果実は30秒以上、飲食器は5秒以上
すすぎ(ため水)ため水の場合は、水を替えて2回以上すすぐ

洗浄剤は、「濃いほどよく落ちる」わけではない。決められた濃度を守らないと、すすぎが不十分になり、洗浄剤が残る原因になる(第8章参照)。

2-3. 器具の材質と洗い方

材質洗い方の注意
ガラス急な温度の変化で割れることがある。ぬるま湯とスポンジで洗う
陶磁器スポンジでていねいに洗う。欠けたものは使わない
金属傷がつかないよう洗う。さびやすいものはすぐに水気をふき取る。次亜塩素酸ナトリウムは金属を腐食させるため、使ったら水でふき取る
合成樹脂(プラスチック)やわらかいスポンジで洗う。傷に汚れや菌が入りこみやすいため、傷が多くなったまな板などは交換する。耐熱温度をこえる熱湯は避ける
木製品長時間水につけない。使用後はよく乾燥させる。漆器に漂白剤は使わない

2-4. ふきん・スポンジ

ふきんやスポンジは、ぬれていて食品のかすが残りやすく、菌が増えやすい。使い終わったら、洗剤でよく洗い、煮沸(ふきんは100℃で5分以上が目安)や次亜塩素酸ナトリウムで消毒し、よく乾燥させる。台ふきんと食器用のふきんは分けて使う。使い捨てのペーパータオルを使うのも有効である。

3. 物理的な殺菌・消毒の方法

3-1. 加熱による方法

方法条件の目安特徴と用途
熱湯消毒80℃以上で5分間以上器具、食器、ふきん、まな板、包丁。薬剤が残らず、手軽で確実。やけどに注意する
煮沸消毒沸騰した湯の中で数分〜5分以上ふきん、器具。芽胞は死滅しない
乾熱殺菌160〜180℃で30〜60分程度熱風で加熱する。ガラス器具や金属器具
高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)121℃で15〜20分加圧した蒸気で加熱する。芽胞も死滅させる(滅菌)。実験器具、医療器具

食器の消毒には、食器消毒保管庫(熱風で乾燥・消毒しながら保管する)なども使われる。

3-2. 食品の加熱殺菌

食品そのものを加熱して殺菌する方法には、次のようなものがある。牛乳の殺菌の方法は、試験でよく問われる。

方法温度と時間特徴
低温保持殺菌(LTLT、パスツリゼーション)63〜65℃で30分間フランスのパスツールが考案した方法。風味や栄養の変化が少ないが、すべての微生物は死なないため、冷蔵が必要
高温短時間殺菌(HTST)72℃以上で15秒以上牛乳。風味の変化が少ない
超高温瞬間殺菌(UHT)120〜130℃で2〜3秒日本の市販の牛乳の多くがこの方法。大量に処理できる
超高温滅菌(LL牛乳)135〜150℃で1〜4秒程度殺菌後、無菌の状態で特殊な容器に詰める。常温で長期間保存できる(ロングライフ牛乳)
容器包装詰加圧加熱殺菌(レトルト)中心部を120℃で4分間以上、またはこれと同等以上レトルト食品、缶詰。ボツリヌス菌の芽胞を確実に殺すための条件(第5章参照)

牛乳について、乳等命令(乳及び乳製品の成分規格等に関する命令)では、「63℃で30分間加熱する方法、またはこれと同等以上の殺菌効果を有する方法」で殺菌することとされている。高温短時間殺菌や超高温瞬間殺菌は、この「同等以上の方法」にあたる。

低温保持殺菌(パスツリゼーション)は、低い温度で処理するため、風味の劣化を防ぐことができる殺菌方法である。

3-3. 紫外線

紫外線は、波長が260nm(ナノメートル)付近のものに強い殺菌作用がある。

特徴内容
よい点薬剤が残らない。器具や水、空気の殺菌に使える
弱い点光が当たった表面だけに効果があり、影の部分や内部には効かない。透過力がない
注意人の目や皮膚に長く当てると害がある
用途包丁やまな板の殺菌庫、水の殺菌、空気の殺菌

3-4. 放射線

放射線(ガンマ線)は、透過力が強く、包装したままでも殺菌できる。医療器具などの滅菌に使われるが、食品については、日本ではじゃがいもの発芽防止に限って照射が認められている(第11章参照)。

3-5. ろ過

細かい穴のフィルターで液体や空気をこし、微生物を取り除く(除菌)。加熱しないので、風味を損なわない。生ビール、清涼飲料水、水の処理、クリーンルームの空気などに使われる。ウイルスのように非常に小さいものは、ふつうのフィルターでは取り除けない。

4. 化学的な殺菌・消毒の方法(消毒薬)

4-1. 主な消毒薬の比較

消毒薬特徴主な用途注意点
次亜塩素酸ナトリウム塩素系。殺菌力が強く、ノロウイルスにも有効。食品添加物(殺菌料)で、野菜などの食品にも使える器具、ふきん、まな板、野菜・果物、嘔吐物の処理金属を腐食させる。汚れがあると効果が落ちる(先に洗浄する)。時間がたつと濃度が下がるため、使うたびに作る。酸性の洗剤と混ぜると有毒な塩素ガスが出る。換気する
アルコール(エタノール)70〜80%程度の濃度で殺菌力が強い。すぐに乾き、残らない手指、器具、作業台対象がぬれていると濃度が下がって効果が落ちる(水気をふき取ってから使う)。ノロウイルスには効きにくい。引火しやすい
逆性石けん(陽イオン界面活性剤)塩化ベンザルコニウムなど。殺菌力は強いが、洗浄力はほとんどない。無色・無臭手指、器具、作業台普通の石けんと混ざると効果がなくなる(石けんをよく洗い流してから使う)。食品添加物ではないため、食品には使えない
次亜塩素酸水塩酸や食塩水を電気分解してつくる。食品添加物(殺菌料)野菜、器具、作業台時間がたつと効果が落ちる。強い酸性のものは金属を腐食させやすい
オゾン水強い酸化力で殺菌する。しばらくすると酸素に変わり、残留しにくいカット野菜、器具効果が長続きしない

4-2. アルコールの濃度

アルコールは、濃ければ濃いほどよく効くわけではない。70〜80%程度の濃度が最も殺菌力が強く、それより濃い(95%以上など)と、菌の表面だけが固まって、中まで浸透しにくくなる。また、水でぬれたところに使うと、薄まって効果が落ちる。

4-3. 普通の石けんと逆性石けん

項目普通の石けん逆性石けん
種類陰イオン界面活性剤陽イオン界面活性剤
洗浄力あるほとんどない
殺菌力弱い強い
食品への使用洗浄剤として使用基準あり使えない(食品添加物ではない)

普通の石けんと逆性石けんは、電気的に正反対の性質をもつため、混ざると互いの効果を打ち消し合う。手指を消毒する場合は、普通の石けんで汚れを落とし、よく洗い流してから逆性石けんを使う。

4-4. 次亜塩素酸ナトリウムの濃度の目安

用途濃度の目安
野菜・果物の殺菌0.01〜0.02%(100〜200ppm)に浸し、そのあと流水でよくすすぐ
器具、ふきん、まな板、ドアノブなど0.02%(200ppm)
嘔吐物・便の処理0.1%(1,000ppm)

(ノロウイルスの消毒については第6章参照)

5. 衛生の視点から見た食品の保存

5-1. 保存の原理

食品の保存は、微生物が増える条件(栄養・水分・温度・酸素・pH)のどれかを、微生物にとって不利にすることで成り立っている(第2章参照)。

保存の方法微生物を抑えるしくみ主な例
低温保存(冷蔵・冷凍)温度を下げて、増殖を抑える(静菌)。菌は死なない冷蔵品、冷凍食品
乾燥水分活性を下げる干物、乾めん、焼き菓子、乾燥果実
塩蔵・糖蔵食塩や砂糖で水分活性を下げる塩辛、漬物、ジャム、砂糖漬け
酢漬け(酸の利用)pHを下げるピクルス、マリネ
加熱殺菌微生物を殺す缶詰、レトルト食品、殺菌した牛乳
包装(密封、ガス置換、脱酸素剤)酸素を除いて好気性の微生物や油脂の酸化を抑える。外からの汚染を防ぐ真空包装、窒素充填、脱酸素剤
燻煙煙の成分と乾燥によるくん製品
保存料などの添加物微生物の増殖を抑える保存料、日もち向上剤(第10章参照)

それぞれの原理の詳しい説明は、食品学の本の水分と水分活性の章、食品の加工と保存の章を参照。

5-2. 保存についての注意

衛生の視点から、とくに注意したいことは次のとおりである。

注意点内容
低温は殺菌ではない冷蔵・冷凍しても菌は死なない。室温に戻せば増える。リステリアやエルシニアは冷蔵庫の中でも増える(第4章参照)
ウイルスは保存で減らないノロウイルスは、冷蔵・冷凍しても感染力を保つ(第6章参照)
毒素は保存で消えない黄色ブドウ球菌のエンテロトキシン、ヒスタミン、カビ毒は、一度できると冷凍や加熱でも消えない
酸素がないと増える菌もいる真空包装や脱酸素剤は、ボツリヌス菌などの嫌気性菌を抑えない(第5章参照)
再凍結しない解凍したものを再び凍らせると、品質が落ち、解凍中に増えた菌も残る
期限表示消費期限(品質が急に悪くなる食品。この日までは安全に食べられる)と、賞味期限(品質の劣化が比較的遅い食品。この日までおいしく食べられる)を区別する(表示の詳細は、衛生法規の食品表示法の章を参照)

5-3. コールドチェーン

生鮮食品や冷凍食品を、生産から消費まで、途切れることなく低温に保ったまま流通させるしくみをコールドチェーン(低温流通体系)という。冷凍、氷温、冷蔵などの温度帯がある。どこか一か所でも温度が上がると、その間に菌が増えたり、品質が落ちたりする。コールドチェーンは、フードチェーン全体で食品の安全を守る考え方(第1章参照)の、温度管理の面での実践である。

6. 製菓とのつながり

6-1. 菓子店の器具と洗浄・消毒

菓子店の器具には、汚れが残りやすく、乾きにくいものが多い。

器具注意点
口金、絞り袋口金の内側やすき間にクリームが残りやすい。ブラシで洗い、熱湯や消毒薬で消毒し、よく乾かす。布の絞り袋は、裏返して洗い、煮沸して完全に乾かす。使い捨ての絞り袋は一回で捨てる
泡立て器針金の根元に汚れが残りやすい。分解できるものは分解して洗う
ミキサー、フードプロセッサー刃の裏、パッキンの溝に汚れが残る。部品を外して洗い、乾燥させる
型(とくに複雑な形のもの)すみに生地や油が残りやすい。焼成で殺菌されても、残った汚れは油の酸化や異物の原因になる
まな板・包丁果物用と、生の肉などを扱う場合の用途を分ける。傷の多いまな板は交換する
ふきん台ふきんと器具用を分け、使用後は煮沸または消毒し、よく乾かす

6-2. 消毒薬の使い分け

菓子店で使う消毒薬は、目的に合わせて使い分ける。

場面適した方法
手指石けんでよく洗い、ペーパータオルでふいたあとにアルコール
作業台、器具(ふだん)洗浄して水気をふき取ってからアルコール。または熱湯
まな板、ふきん、口金熱湯、次亜塩素酸ナトリウム(0.02%)
果物の殺菌(皮ごと使うものなど)次亜塩素酸ナトリウム(食品添加物)で殺菌し、流水で十分にすすぐ
冬季、嘔吐があったとき次亜塩素酸ナトリウム(ノロウイルスにはアルコールが効きにくいため)
逆性石けん食品には使わない

アルコールは手軽で便利だが、ぬれた場所では効かない、ノロウイルスには効きにくいという弱点がある。「とりあえずアルコールを吹きかける」だけの消毒は、効果が不十分になりやすい。

6-3. 菓子の保存と表示

菓子の種類によって、保存のしくみと注意点が異なる。

菓子保存のしくみ衛生上の注意
焼き菓子(クッキー、フィナンシェ)水分活性が低い湿気を吸うと水分活性が上がる。防湿包装、脱酸素剤、乾燥剤
ジャム、砂糖漬け、ようかん糖蔵(水分活性が低い)開封後はカビが生えやすい。糖度の低いジャムは冷蔵が必要
生菓子(生クリーム、カスタード)低温(静菌)冷蔵しても菌は死なない。消費期限を短く設定し、早めに食べてもらう
冷凍菓子(アイス、冷凍ケーキ)冷凍(静菌)解凍後は生菓子と同じ扱い。再凍結しない

菓子の期限表示は、生菓子のように品質が急に悪くなるものには消費期限、焼き菓子のように比較的日もちするものには賞味期限を表示する。期限は、製品の保存試験(保存しながら微生物や品質の変化を調べる)などの根拠にもとづいて設定する。

試験対策:よくある間違いポイント

試験に出る文です。正しい文(○)と間違った文(×)がまざっています。選んでから答えを確かめてください。

Q1エタノールは、対象物の水分をふき取ってから噴霧する

この文のとおりです。(ぬれていると濃度が下がる)

Q2逆性石けんは、食品の消毒にも使うことができる

正しくは:逆性石けんは食品添加物ではないため食品には使えない

Q3レトルト食品の殺菌条件は、中心部を75℃で1分間以上加熱することである

正しくは:レトルト食品(容器包装詰加圧加熱殺菌食品)は中心部を120℃で4分間以上、またはこれと同等以上

Q4乳等命令では、牛乳は80℃で1分間以上加熱殺菌することとされている

正しくは:牛乳は63℃で30分間加熱する方法、またはこれと同等以上の殺菌効果を有する方法で殺菌する⚠️ 教材によっては、低温保持殺菌を「65℃30分」「63〜65℃30分」と書いているものがある。乳等命令の基準は63℃30分間。

Q5中性洗剤には、洗浄力に加えて強い消毒効果もある

正しくは:中性洗剤には洗浄効果はあるが、消毒効果はない

Q6アルコールは、器具がぬれたままの状態で噴霧するのが最も効果的である

正しくは:ぬれていると濃度が下がるため、水気をふき取ってから噴霧する

Q7ろ過除菌は、加熱しないため風味を損なわず、生ビールなどの製造に使われる

この文のとおりです。

Q8次亜塩素酸ナトリウムは金属を傷めないため、金属製の器具に使ったあとにすすぐ必要はない

正しくは:次亜塩素酸ナトリウムは金属を腐食させるため、使ったら水でふき取る

Q9逆性石けんは、普通の石けんと混ぜて使うと殺菌力が強くなる

正しくは:普通の石けんと混ざると効果がなくなる。石けんをよく洗い流してから使う

Q10冷蔵・冷凍は、食品中の微生物を死滅させる殺菌の方法である

正しくは:低温は微生物の増殖を抑える静菌で、微生物は死滅しない

Q11LL牛乳は、超高温で殺菌し、特殊な容器に無菌的に充填したもので、常温で保存できる

この文のとおりです。

Q12次亜塩素酸ナトリウムは、汚れがついたままでも殺菌力はまったく落ちない

正しくは:次亜塩素酸ナトリウムは汚れ(たんぱく質など)があると効果が落ちるため、先に洗浄する

Q13熱湯消毒は、80℃以上で5分間以上行う

この文のとおりです。(薬剤が残らず、手軽で確実)

Q14洗浄後の飲食器は、流水で1秒すすげばよい

正しくは:流水では、飲食器は5秒以上、野菜・果実は30秒以上すすぐ。ため水では水を替えて2回以上

Q15野菜・果実は、洗浄剤の溶液に30分以上浸してよく洗う

正しくは:野菜・果実は、洗浄剤の溶液に5分以上浸してはならない

Q16消毒とは、病原微生物を死滅させて、感染症や食中毒の危険をなくすことである

この文のとおりです。

Q17一般の病原微生物は、芽胞菌を含め、100℃で5分間加熱すれば完全に殺菌できる

正しくは:芽胞は100℃でも死滅しにくい。芽胞を死滅させるには121℃・15〜20分の高圧蒸気滅菌などが必要

Q18パスツリゼーションとよばれる低温殺菌法は、食品の風味の劣化を防ぐことができない

正しくは:低温保持殺菌は、低い温度で処理するため風味の劣化を防ぐことができる

Q19消毒とは、芽胞を含めてすべての微生物を死滅させることである

正しくは:それは滅菌。消毒は病原微生物を死滅させて感染の危険をなくすことで、芽胞は残ることがある

Q20食品用洗浄剤以外の洗浄剤で、野菜や飲食器の洗浄を行ってはならない

この文のとおりです。

Q21殺菌・消毒の前には、まず洗浄して汚れを取り除くことが大切である

この文のとおりです。(汚れがあると消毒薬の効果が落ちる)

Q22逆性石けんは、洗浄力と殺菌力の両方をもっている

正しくは:逆性石けんは殺菌力は強いが洗浄力はほとんどない

Q23次亜塩素酸ナトリウムを酸性の洗剤と混ぜると、有毒な塩素ガスが発生する

この文のとおりです。(換気して使う)

Q24紫外線は、260nm付近の波長で強い殺菌作用を示す

この文のとおりです。(表面だけに効果がある)

Q25高温短時間殺菌(HTST)は、72℃以上で15秒以上加熱する方法である

この文のとおりです。

Q26アルコール消毒は、一般的に95%以上の濃度のものが最も効果が高い

正しくは:殺菌力が最も強いのは70〜80%程度の濃度

Q27次亜塩素酸ナトリウムは食品添加物(殺菌料)であり、野菜などの殺菌にも使うことができる

この文のとおりです。

Q28紫外線殺菌は、透過力が強く、食品の内部まで殺菌できる

正しくは:紫外線は光が当たった表面だけに効果があり、影や内部には効かない

Q29コールドチェーンとは、生産から消費まで、途切れることなく低温で流通させるしくみである

この文のとおりです。(冷凍・氷温・冷蔵の温度帯がある)
結果:

まとめ

洗浄は汚れを取り除くこと、殺菌は微生物を殺すこと、消毒は病原微生物を殺して感染の危険をなくすこと(芽胞は残ることがある)、滅菌は芽胞を含むすべての微生物を殺して無菌にすることである。衛生管理は「まず洗浄、それから殺菌・消毒、最後に乾燥」の順で行う。

洗浄剤には使用基準があり、界面活性剤の濃度(脂肪酸系以外は0.1%以下、脂肪酸系は0.5%以下)、野菜・果実を5分以上浸さないこと、すすぎは流水で野菜・果実30秒以上、飲食器5秒以上、ため水なら水を替えて2回以上が定められている。中性洗剤に消毒効果はない。

物理的な方法には、熱湯消毒(80℃以上・5分以上)、煮沸消毒、高圧蒸気滅菌(121℃・15〜20分、芽胞も死滅)、紫外線(260nm付近、表面だけ)、ろ過除菌などがある。牛乳の殺菌は、乳等命令で63℃・30分間またはこれと同等以上とされ、低温保持殺菌(パスツリゼーション)、高温短時間殺菌(72℃以上・15秒以上)、超高温瞬間殺菌(120〜130℃・2〜3秒)、LL牛乳がある。レトルト食品は中心部120℃・4分間以上である。

化学的な方法では、次亜塩素酸ナトリウム(殺菌力が強くノロウイルスにも有効、食品添加物、金属を腐食、汚れで効果が落ちる)、アルコール(70〜80%、水気をふき取ってから使う、ノロウイルスに効きにくい)、逆性石けん(殺菌力は強いが洗浄力はない、普通の石けんと混ぜると効果がなくなる、食品には使えない)を使い分ける。

食品の保存は、低温、乾燥、塩蔵・糖蔵、酸、加熱殺菌、包装などで、微生物の増える条件を不利にすることで成り立つ。低温は殺菌ではなく静菌であり、ウイルスや毒素は保存で減らない。菓子店では、口金や絞り袋など汚れが残りやすい器具の洗浄・乾燥と、消毒薬の使い分けが大切である。次章では、本書の衛生管理の総まとめとして、HACCPによる衛生管理の考え方と方法を学ぶ。

※ 本書は、令和8年10月時点の法令・制度、令和7年の食中毒統計にもとづいています。

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