食品衛生学 第四部 衛生管理
洗浄・殺菌・消毒と食品の保存
はじめに
前章では、施設と人の衛生管理を学んだ。本章では、器具や手指、食品を清潔に保つための具体的な方法として、洗浄、殺菌、消毒を学ぶ。あわせて、食品に微生物が増えないようにする保存の方法を、衛生の視点から整理する。
洗浄・殺菌・消毒は、食中毒予防の三原則のうち、「つけない」と「やっつける」を実際に行う方法である(第3章参照)。正しい方法で行わなければ、時間と手間をかけても効果がない。たとえば、汚れが残ったまま消毒薬をかけても、消毒薬の効果は大きく落ちる。アルコールは、ノロウイルスには効きにくい。逆性石けんは、汚れを落とす力をもたない。それぞれの方法の得意なことと苦手なことを知って、使い分けることが大切である。
食品の保存については、水分活性、低温、乾燥、塩蔵・糖蔵などの原理を、食品学の本の食品の加工と保存の章で詳しく扱っている。本章では、それらを「微生物をどう抑えるか」という衛生の視点から簡潔に整理し、とくに食品衛生法で定められた殺菌の条件を中心に学ぶ。
1. 用語の整理
1-1. 洗浄・殺菌・消毒・滅菌
食品衛生では、次の用語を区別して使う。試験でも、それぞれの意味の違いが繰り返し問われる。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 洗浄 | 汚れ(食品のかす、油、たんぱく質など)を取り除くこと。微生物の多くも、汚れとともに取り除かれる |
| 殺菌 | 微生物を殺すこと。殺す範囲や程度は問わない、広い意味の言葉 |
| 消毒 | 病原微生物を殺したり除いたりして、感染や食中毒の危険をなくすこと。すべての微生物を殺すわけではなく、芽胞は残ることがある |
| 滅菌 | 芽胞を含むすべての微生物を殺す、または取り除き、完全に無菌の状態にすること |
| 除菌 | ろ過、洗浄などによって、微生物を取り除いて減らすこと |
| 静菌 | 微生物を殺さずに、その増殖を抑えること(低温保存、保存料など) |
| 抗菌 | 製品の表面で、微生物が増えるのを抑えること(抗菌加工のまな板など) |
とくに、消毒と滅菌の違いが重要である。「消毒は芽胞を含むすべての微生物を死滅させること」は誤りで、それは滅菌である。
1-2. 洗浄が先、消毒はあと
衛生管理の基本は、「まず洗浄、それから殺菌・消毒」である。
- 汚れが残っていると、その中に微生物がかくれて、熱や消毒薬が届かない
- 消毒薬の多くは、汚れ(とくにたんぱく質)に触れると効果が落ちる(次亜塩素酸ナトリウム、逆性石けんなど)
- 洗浄だけでも、多くの微生物を取り除くことができる
洗浄 → すすぎ → 殺菌・消毒 → (必要に応じて)すすぎ → 乾燥、の順で行う。最後の乾燥も大切で、ぬれたままの器具やふきんでは、残った菌がまた増える。
2. 洗浄
2-1. 洗浄剤
食品や食器の洗浄には、食品用の洗浄剤を使う。洗浄剤の主な成分は界面活性剤で、油汚れを水になじませて取り除く働きをもつ。
| 種類 | 内容 |
|---|---|
| 脂肪酸系洗浄剤(石けん系) | 油脂からつくる。弱アルカリ性 |
| 脂肪酸系以外の洗浄剤(合成洗剤) | 石油などからつくる。中性洗剤が多い |
中性洗剤には、汚れを落とす洗浄効果はあるが、微生物を殺す消毒効果はない。洗浄と消毒は、別の工程として行う。
2-2. 洗浄剤の使用基準
野菜・果実や飲食器を洗う洗浄剤には、食品衛生法にもとづく使用基準がある。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 使用濃度 | 脂肪酸系以外の洗浄剤は、界面活性剤の濃度として0.1%以下、脂肪酸系の洗浄剤は0.5%以下で使う |
| 浸す時間 | 野菜・果実は、洗浄剤の溶液に5分以上浸してはならない |
| すすぎ(流水) | 洗浄後は、飲用に適する水ですすぐ。流水の場合、野菜・果実は30秒以上、飲食器は5秒以上 |
| すすぎ(ため水) | ため水の場合は、水を替えて2回以上すすぐ |
洗浄剤は、「濃いほどよく落ちる」わけではない。決められた濃度を守らないと、すすぎが不十分になり、洗浄剤が残る原因になる(第8章参照)。
2-3. 器具の材質と洗い方
| 材質 | 洗い方の注意 |
|---|---|
| ガラス | 急な温度の変化で割れることがある。ぬるま湯とスポンジで洗う |
| 陶磁器 | スポンジでていねいに洗う。欠けたものは使わない |
| 金属 | 傷がつかないよう洗う。さびやすいものはすぐに水気をふき取る。次亜塩素酸ナトリウムは金属を腐食させるため、使ったら水でふき取る |
| 合成樹脂(プラスチック) | やわらかいスポンジで洗う。傷に汚れや菌が入りこみやすいため、傷が多くなったまな板などは交換する。耐熱温度をこえる熱湯は避ける |
| 木製品 | 長時間水につけない。使用後はよく乾燥させる。漆器に漂白剤は使わない |
2-4. ふきん・スポンジ
ふきんやスポンジは、ぬれていて食品のかすが残りやすく、菌が増えやすい。使い終わったら、洗剤でよく洗い、煮沸(ふきんは100℃で5分以上が目安)や次亜塩素酸ナトリウムで消毒し、よく乾燥させる。台ふきんと食器用のふきんは分けて使う。使い捨てのペーパータオルを使うのも有効である。
3. 物理的な殺菌・消毒の方法
3-1. 加熱による方法
| 方法 | 条件の目安 | 特徴と用途 |
|---|---|---|
| 熱湯消毒 | 80℃以上で5分間以上 | 器具、食器、ふきん、まな板、包丁。薬剤が残らず、手軽で確実。やけどに注意する |
| 煮沸消毒 | 沸騰した湯の中で数分〜5分以上 | ふきん、器具。芽胞は死滅しない |
| 乾熱殺菌 | 160〜180℃で30〜60分程度 | 熱風で加熱する。ガラス器具や金属器具 |
| 高圧蒸気滅菌(オートクレーブ) | 121℃で15〜20分 | 加圧した蒸気で加熱する。芽胞も死滅させる(滅菌)。実験器具、医療器具 |
食器の消毒には、食器消毒保管庫(熱風で乾燥・消毒しながら保管する)なども使われる。
3-2. 食品の加熱殺菌
食品そのものを加熱して殺菌する方法には、次のようなものがある。牛乳の殺菌の方法は、試験でよく問われる。
| 方法 | 温度と時間 | 特徴 |
|---|---|---|
| 低温保持殺菌(LTLT、パスツリゼーション) | 63〜65℃で30分間 | フランスのパスツールが考案した方法。風味や栄養の変化が少ないが、すべての微生物は死なないため、冷蔵が必要 |
| 高温短時間殺菌(HTST) | 72℃以上で15秒以上 | 牛乳。風味の変化が少ない |
| 超高温瞬間殺菌(UHT) | 120〜130℃で2〜3秒 | 日本の市販の牛乳の多くがこの方法。大量に処理できる |
| 超高温滅菌(LL牛乳) | 135〜150℃で1〜4秒程度 | 殺菌後、無菌の状態で特殊な容器に詰める。常温で長期間保存できる(ロングライフ牛乳) |
| 容器包装詰加圧加熱殺菌(レトルト) | 中心部を120℃で4分間以上、またはこれと同等以上 | レトルト食品、缶詰。ボツリヌス菌の芽胞を確実に殺すための条件(第5章参照) |
牛乳について、乳等命令(乳及び乳製品の成分規格等に関する命令)では、「63℃で30分間加熱する方法、またはこれと同等以上の殺菌効果を有する方法」で殺菌することとされている。高温短時間殺菌や超高温瞬間殺菌は、この「同等以上の方法」にあたる。
低温保持殺菌(パスツリゼーション)は、低い温度で処理するため、風味の劣化を防ぐことができる殺菌方法である。
3-3. 紫外線
紫外線は、波長が260nm(ナノメートル)付近のものに強い殺菌作用がある。
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| よい点 | 薬剤が残らない。器具や水、空気の殺菌に使える |
| 弱い点 | 光が当たった表面だけに効果があり、影の部分や内部には効かない。透過力がない |
| 注意 | 人の目や皮膚に長く当てると害がある |
| 用途 | 包丁やまな板の殺菌庫、水の殺菌、空気の殺菌 |
3-4. 放射線
放射線(ガンマ線)は、透過力が強く、包装したままでも殺菌できる。医療器具などの滅菌に使われるが、食品については、日本ではじゃがいもの発芽防止に限って照射が認められている(第11章参照)。
3-5. ろ過
細かい穴のフィルターで液体や空気をこし、微生物を取り除く(除菌)。加熱しないので、風味を損なわない。生ビール、清涼飲料水、水の処理、クリーンルームの空気などに使われる。ウイルスのように非常に小さいものは、ふつうのフィルターでは取り除けない。
4. 化学的な殺菌・消毒の方法(消毒薬)
4-1. 主な消毒薬の比較
| 消毒薬 | 特徴 | 主な用途 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 次亜塩素酸ナトリウム | 塩素系。殺菌力が強く、ノロウイルスにも有効。食品添加物(殺菌料)で、野菜などの食品にも使える | 器具、ふきん、まな板、野菜・果物、嘔吐物の処理 | 金属を腐食させる。汚れがあると効果が落ちる(先に洗浄する)。時間がたつと濃度が下がるため、使うたびに作る。酸性の洗剤と混ぜると有毒な塩素ガスが出る。換気する |
| アルコール(エタノール) | 70〜80%程度の濃度で殺菌力が強い。すぐに乾き、残らない | 手指、器具、作業台 | 対象がぬれていると濃度が下がって効果が落ちる(水気をふき取ってから使う)。ノロウイルスには効きにくい。引火しやすい |
| 逆性石けん(陽イオン界面活性剤) | 塩化ベンザルコニウムなど。殺菌力は強いが、洗浄力はほとんどない。無色・無臭 | 手指、器具、作業台 | 普通の石けんと混ざると効果がなくなる(石けんをよく洗い流してから使う)。食品添加物ではないため、食品には使えない |
| 次亜塩素酸水 | 塩酸や食塩水を電気分解してつくる。食品添加物(殺菌料) | 野菜、器具、作業台 | 時間がたつと効果が落ちる。強い酸性のものは金属を腐食させやすい |
| オゾン水 | 強い酸化力で殺菌する。しばらくすると酸素に変わり、残留しにくい | カット野菜、器具 | 効果が長続きしない |
4-2. アルコールの濃度
アルコールは、濃ければ濃いほどよく効くわけではない。70〜80%程度の濃度が最も殺菌力が強く、それより濃い(95%以上など)と、菌の表面だけが固まって、中まで浸透しにくくなる。また、水でぬれたところに使うと、薄まって効果が落ちる。
4-3. 普通の石けんと逆性石けん
| 項目 | 普通の石けん | 逆性石けん |
|---|---|---|
| 種類 | 陰イオン界面活性剤 | 陽イオン界面活性剤 |
| 洗浄力 | ある | ほとんどない |
| 殺菌力 | 弱い | 強い |
| 食品への使用 | 洗浄剤として使用基準あり | 使えない(食品添加物ではない) |
普通の石けんと逆性石けんは、電気的に正反対の性質をもつため、混ざると互いの効果を打ち消し合う。手指を消毒する場合は、普通の石けんで汚れを落とし、よく洗い流してから逆性石けんを使う。
4-4. 次亜塩素酸ナトリウムの濃度の目安
| 用途 | 濃度の目安 |
|---|---|
| 野菜・果物の殺菌 | 0.01〜0.02%(100〜200ppm)に浸し、そのあと流水でよくすすぐ |
| 器具、ふきん、まな板、ドアノブなど | 0.02%(200ppm) |
| 嘔吐物・便の処理 | 0.1%(1,000ppm) |
(ノロウイルスの消毒については第6章参照)
5. 衛生の視点から見た食品の保存
5-1. 保存の原理
食品の保存は、微生物が増える条件(栄養・水分・温度・酸素・pH)のどれかを、微生物にとって不利にすることで成り立っている(第2章参照)。
| 保存の方法 | 微生物を抑えるしくみ | 主な例 |
|---|---|---|
| 低温保存(冷蔵・冷凍) | 温度を下げて、増殖を抑える(静菌)。菌は死なない | 冷蔵品、冷凍食品 |
| 乾燥 | 水分活性を下げる | 干物、乾めん、焼き菓子、乾燥果実 |
| 塩蔵・糖蔵 | 食塩や砂糖で水分活性を下げる | 塩辛、漬物、ジャム、砂糖漬け |
| 酢漬け(酸の利用) | pHを下げる | ピクルス、マリネ |
| 加熱殺菌 | 微生物を殺す | 缶詰、レトルト食品、殺菌した牛乳 |
| 包装(密封、ガス置換、脱酸素剤) | 酸素を除いて好気性の微生物や油脂の酸化を抑える。外からの汚染を防ぐ | 真空包装、窒素充填、脱酸素剤 |
| 燻煙 | 煙の成分と乾燥による | くん製品 |
| 保存料などの添加物 | 微生物の増殖を抑える | 保存料、日もち向上剤(第10章参照) |
それぞれの原理の詳しい説明は、食品学の本の水分と水分活性の章、食品の加工と保存の章を参照。
5-2. 保存についての注意
衛生の視点から、とくに注意したいことは次のとおりである。
| 注意点 | 内容 |
|---|---|
| 低温は殺菌ではない | 冷蔵・冷凍しても菌は死なない。室温に戻せば増える。リステリアやエルシニアは冷蔵庫の中でも増える(第4章参照) |
| ウイルスは保存で減らない | ノロウイルスは、冷蔵・冷凍しても感染力を保つ(第6章参照) |
| 毒素は保存で消えない | 黄色ブドウ球菌のエンテロトキシン、ヒスタミン、カビ毒は、一度できると冷凍や加熱でも消えない |
| 酸素がないと増える菌もいる | 真空包装や脱酸素剤は、ボツリヌス菌などの嫌気性菌を抑えない(第5章参照) |
| 再凍結しない | 解凍したものを再び凍らせると、品質が落ち、解凍中に増えた菌も残る |
| 期限表示 | 消費期限(品質が急に悪くなる食品。この日までは安全に食べられる)と、賞味期限(品質の劣化が比較的遅い食品。この日までおいしく食べられる)を区別する(表示の詳細は、衛生法規の食品表示法の章を参照) |
5-3. コールドチェーン
生鮮食品や冷凍食品を、生産から消費まで、途切れることなく低温に保ったまま流通させるしくみをコールドチェーン(低温流通体系)という。冷凍、氷温、冷蔵などの温度帯がある。どこか一か所でも温度が上がると、その間に菌が増えたり、品質が落ちたりする。コールドチェーンは、フードチェーン全体で食品の安全を守る考え方(第1章参照)の、温度管理の面での実践である。
6. 製菓とのつながり
6-1. 菓子店の器具と洗浄・消毒
菓子店の器具には、汚れが残りやすく、乾きにくいものが多い。
| 器具 | 注意点 |
|---|---|
| 口金、絞り袋 | 口金の内側やすき間にクリームが残りやすい。ブラシで洗い、熱湯や消毒薬で消毒し、よく乾かす。布の絞り袋は、裏返して洗い、煮沸して完全に乾かす。使い捨ての絞り袋は一回で捨てる |
| 泡立て器 | 針金の根元に汚れが残りやすい。分解できるものは分解して洗う |
| ミキサー、フードプロセッサー | 刃の裏、パッキンの溝に汚れが残る。部品を外して洗い、乾燥させる |
| 型(とくに複雑な形のもの) | すみに生地や油が残りやすい。焼成で殺菌されても、残った汚れは油の酸化や異物の原因になる |
| まな板・包丁 | 果物用と、生の肉などを扱う場合の用途を分ける。傷の多いまな板は交換する |
| ふきん | 台ふきんと器具用を分け、使用後は煮沸または消毒し、よく乾かす |
6-2. 消毒薬の使い分け
菓子店で使う消毒薬は、目的に合わせて使い分ける。
| 場面 | 適した方法 |
|---|---|
| 手指 | 石けんでよく洗い、ペーパータオルでふいたあとにアルコール |
| 作業台、器具(ふだん) | 洗浄して水気をふき取ってからアルコール。または熱湯 |
| まな板、ふきん、口金 | 熱湯、次亜塩素酸ナトリウム(0.02%) |
| 果物の殺菌(皮ごと使うものなど) | 次亜塩素酸ナトリウム(食品添加物)で殺菌し、流水で十分にすすぐ |
| 冬季、嘔吐があったとき | 次亜塩素酸ナトリウム(ノロウイルスにはアルコールが効きにくいため) |
| 逆性石けん | 食品には使わない |
アルコールは手軽で便利だが、ぬれた場所では効かない、ノロウイルスには効きにくいという弱点がある。「とりあえずアルコールを吹きかける」だけの消毒は、効果が不十分になりやすい。
6-3. 菓子の保存と表示
菓子の種類によって、保存のしくみと注意点が異なる。
| 菓子 | 保存のしくみ | 衛生上の注意 |
|---|---|---|
| 焼き菓子(クッキー、フィナンシェ) | 水分活性が低い | 湿気を吸うと水分活性が上がる。防湿包装、脱酸素剤、乾燥剤 |
| ジャム、砂糖漬け、ようかん | 糖蔵(水分活性が低い) | 開封後はカビが生えやすい。糖度の低いジャムは冷蔵が必要 |
| 生菓子(生クリーム、カスタード) | 低温(静菌) | 冷蔵しても菌は死なない。消費期限を短く設定し、早めに食べてもらう |
| 冷凍菓子(アイス、冷凍ケーキ) | 冷凍(静菌) | 解凍後は生菓子と同じ扱い。再凍結しない |
菓子の期限表示は、生菓子のように品質が急に悪くなるものには消費期限、焼き菓子のように比較的日もちするものには賞味期限を表示する。期限は、製品の保存試験(保存しながら微生物や品質の変化を調べる)などの根拠にもとづいて設定する。
試験対策:よくある間違いポイント
試験に出る文です。正しい文(○)と間違った文(×)がまざっています。選んでから答えを確かめてください。
Q1エタノールは、対象物の水分をふき取ってから噴霧する
Q2逆性石けんは、食品の消毒にも使うことができる
Q3レトルト食品の殺菌条件は、中心部を75℃で1分間以上加熱することである
Q4乳等命令では、牛乳は80℃で1分間以上加熱殺菌することとされている
Q5中性洗剤には、洗浄力に加えて強い消毒効果もある
Q6アルコールは、器具がぬれたままの状態で噴霧するのが最も効果的である
Q7ろ過除菌は、加熱しないため風味を損なわず、生ビールなどの製造に使われる
Q8次亜塩素酸ナトリウムは金属を傷めないため、金属製の器具に使ったあとにすすぐ必要はない
Q9逆性石けんは、普通の石けんと混ぜて使うと殺菌力が強くなる
Q10冷蔵・冷凍は、食品中の微生物を死滅させる殺菌の方法である
Q11LL牛乳は、超高温で殺菌し、特殊な容器に無菌的に充填したもので、常温で保存できる
Q12次亜塩素酸ナトリウムは、汚れがついたままでも殺菌力はまったく落ちない
Q13熱湯消毒は、80℃以上で5分間以上行う
Q14洗浄後の飲食器は、流水で1秒すすげばよい
Q15野菜・果実は、洗浄剤の溶液に30分以上浸してよく洗う
Q16消毒とは、病原微生物を死滅させて、感染症や食中毒の危険をなくすことである
Q17一般の病原微生物は、芽胞菌を含め、100℃で5分間加熱すれば完全に殺菌できる
Q18パスツリゼーションとよばれる低温殺菌法は、食品の風味の劣化を防ぐことができない
Q19消毒とは、芽胞を含めてすべての微生物を死滅させることである
Q20食品用洗浄剤以外の洗浄剤で、野菜や飲食器の洗浄を行ってはならない
Q21殺菌・消毒の前には、まず洗浄して汚れを取り除くことが大切である
Q22逆性石けんは、洗浄力と殺菌力の両方をもっている
Q23次亜塩素酸ナトリウムを酸性の洗剤と混ぜると、有毒な塩素ガスが発生する
Q24紫外線は、260nm付近の波長で強い殺菌作用を示す
Q25高温短時間殺菌(HTST)は、72℃以上で15秒以上加熱する方法である
Q26アルコール消毒は、一般的に95%以上の濃度のものが最も効果が高い
Q27次亜塩素酸ナトリウムは食品添加物(殺菌料)であり、野菜などの殺菌にも使うことができる
Q28紫外線殺菌は、透過力が強く、食品の内部まで殺菌できる
Q29コールドチェーンとは、生産から消費まで、途切れることなく低温で流通させるしくみである
まとめ
洗浄は汚れを取り除くこと、殺菌は微生物を殺すこと、消毒は病原微生物を殺して感染の危険をなくすこと(芽胞は残ることがある)、滅菌は芽胞を含むすべての微生物を殺して無菌にすることである。衛生管理は「まず洗浄、それから殺菌・消毒、最後に乾燥」の順で行う。
洗浄剤には使用基準があり、界面活性剤の濃度(脂肪酸系以外は0.1%以下、脂肪酸系は0.5%以下)、野菜・果実を5分以上浸さないこと、すすぎは流水で野菜・果実30秒以上、飲食器5秒以上、ため水なら水を替えて2回以上が定められている。中性洗剤に消毒効果はない。
物理的な方法には、熱湯消毒(80℃以上・5分以上)、煮沸消毒、高圧蒸気滅菌(121℃・15〜20分、芽胞も死滅)、紫外線(260nm付近、表面だけ)、ろ過除菌などがある。牛乳の殺菌は、乳等命令で63℃・30分間またはこれと同等以上とされ、低温保持殺菌(パスツリゼーション)、高温短時間殺菌(72℃以上・15秒以上)、超高温瞬間殺菌(120〜130℃・2〜3秒)、LL牛乳がある。レトルト食品は中心部120℃・4分間以上である。
化学的な方法では、次亜塩素酸ナトリウム(殺菌力が強くノロウイルスにも有効、食品添加物、金属を腐食、汚れで効果が落ちる)、アルコール(70〜80%、水気をふき取ってから使う、ノロウイルスに効きにくい)、逆性石けん(殺菌力は強いが洗浄力はない、普通の石けんと混ぜると効果がなくなる、食品には使えない)を使い分ける。
食品の保存は、低温、乾燥、塩蔵・糖蔵、酸、加熱殺菌、包装などで、微生物の増える条件を不利にすることで成り立つ。低温は殺菌ではなく静菌であり、ウイルスや毒素は保存で減らない。菓子店では、口金や絞り袋など汚れが残りやすい器具の洗浄・乾燥と、消毒薬の使い分けが大切である。次章では、本書の衛生管理の総まとめとして、HACCPによる衛生管理の考え方と方法を学ぶ。
※ 本書は、令和8年10月時点の法令・制度、令和7年の食中毒統計にもとづいています。

