食品学 第8章:野菜類・果実類・きのこ類・藻類

第8章

食品学 第二部 食品の種類のはなし

野菜類・果実類・きのこ類・藻類

はじめに

本章で取り上げる野菜類・果実類・きのこ類・藻類には、共通した特徴がある。いずれも水分が多く(約80〜95%)、エネルギーが低く、そのかわりにビタミン、ミネラル、食物繊維を多く含む。また、色・香り・味の成分に富み、食卓に彩りと季節感を与える。

菓子づくりの中では、果実類が最も身近である。いちごのショートケーキ、りんごのタルト、柑橘のマーマレード、栗やかぼちゃの和菓子、寒天を使った羊羹や錦玉。どれも、素材の色・香り・酸味、そしてペクチンや寒天のゲル化という性質を生かしてつくられている。

本章では、野菜類・果実類・きのこ類・藻類の順に、分類と成分の特徴を学ぶ。特に、果実のペクチンとたんぱく質分解酵素、藻類からとれる寒天などの多糖類は、菓子の仕上がりに直接かかわる。

1. 野菜類

1-1. 野菜類の特徴

成分特徴
水分約90%以上と非常に多い
エネルギー低い
ビタミンカロテン(プロビタミンA)、ビタミンC、ビタミンK、葉酸の重要な供給源
ミネラルカリウムが多い。カルシウム、鉄を含むものもある
食物繊維セルロース、ヘミセルロース、ペクチンなど
その他色素(クロロフィル、カロテノイド、アントシアニン)、辛味・香気成分、ポリフェノール

1-2. 野菜の分類(食べる部分による)

分類食べる部分例
葉菜類葉キャベツ、はくさい、ほうれんそう、こまつな、レタス
茎菜類茎・若い芽・りん茎アスパラガス、たけのこ、セロリ、玉ねぎ(りん茎)、にんにく
根菜類根・地下茎だいこん、にんじん、ごぼう、かぶ、れんこん(地下茎)、しょうが(根茎)
果菜類果実・種子トマト、なす、きゅうり、かぼちゃ、ピーマン、オクラ
花菜類花・つぼみブロッコリー、カリフラワー、なばな、みょうが

いちご、メロン、すいかは、畑でつくる草本植物であるため、農業の分類では「野菜(果実的野菜)」として扱われることがあるが、日本食品標準成分表では果実類に分類されている。

1-3. 緑黄色野菜

野菜は、カロテンの量によって緑黄色野菜と、それ以外の野菜(淡色野菜)に分けられる。

緑黄色野菜:原則として、可食部100gあたりカロテンを600μg以上含む野菜。ただし、トマトやピーマンなどのように、カロテンが600μg未満でも、食べる量や回数が多く、カロテンの供給源として重要なものも含める。

分類例
緑黄色野菜にんじん、かぼちゃ、ほうれんそう、こまつな、ブロッコリー、にら、春菊、トマト、ピーマン
淡色野菜キャベツ、はくさい、レタス、だいこん、玉ねぎ、きゅうり、なす、もやし

「色が濃い野菜はすべて緑黄色野菜」「600μg未満は必ず淡色野菜」とは限らない点に注意する。

1-4. 主な野菜の成分の特徴

野菜特徴
ほうれんそうカロテン・鉄・葉酸が多い。あくの成分シュウ酸を含み、ゆでて水にさらすと減る。シュウ酸はカルシウムの吸収を妨げる
だいこん根に、でんぷんを分解するアミラーゼ(ジアスターゼ)を含む。すりおろすと辛味成分(イソチオシアネート類)ができる。葉はカロテン・カルシウムが多い(緑黄色野菜)
にんじんβ-カロテンが非常に多い。アスコルビン酸オキシダーゼ(ビタミンCを酸化する酵素)を含む
玉ねぎ切ると酵素の働きで辛味・催涙成分ができる。加熱すると辛味成分が揮発・分解し、もともと含まれる糖の甘味が目立つ。皮にケルセチン
トマト赤い色はリコピン。うま味成分のグルタミン酸が多い
ごぼう食物繊維(イヌリン、リグニン)が多い。クロロゲン酸による褐変
れんこんタンニンなどによる褐変。酢を加えてゆでると白く仕上がる
かぼちゃ西洋かぼちゃはでんぷんが多く、ほくほくとして甘い。カロテン・ビタミンEが多い
たけのこえぐ味成分ホモゲンチジン酸。米ぬかでゆでてあくを抜く。白い粒はチロシン(アミノ酸)
しょうが辛味成分ジンゲロール(加熱でショウガオール)。たんぱく質分解酵素を含む
きゅうり水分約95%。へた近くの苦味はククルビタシン。アスコルビン酸オキシダーゼを含む

1-5. 野菜の鮮度と保存

収穫したあとの野菜も生きており、呼吸(糖などを使ってエネルギーを得る)と蒸散(水分の放出)を続けている。このため、時間がたつと糖やビタミンCが減り、しおれていく。野菜の多くは低温で保存すると呼吸が抑えられ、鮮度が保たれる。

ただし、きゅうり、なす、ピーマン、さつまいもなど、もともと暖かい地域の野菜は、低すぎる温度で保存すると、かえって変色やくぼみが生じて傷みやすくなる。これを低温障害という。

2. 果実類

2-1. 果実類の特徴

成分特徴
水分約80〜90%
糖果糖・ブドウ糖・ショ糖が主。熟すほど増える
有機酸クエン酸、リンゴ酸、酒石酸など。さわやかな酸味のもと
ビタミンビタミンCが多い(柑橘類、いちご、キウイフルーツ、かきなど)。カロテンを含むもの(マンゴー、かき、みかん)
ミネラルカリウムが多い
食物繊維ペクチンなど
脂質ほとんど含まない。例外はアボカド(脂質約18%)、ココナッツ

果実のおいしさは、甘味と酸味のつり合い(糖酸比)で決まる。また、果実に多い果糖は冷やすと甘味が増すため、果物は冷やして食べるとより甘く感じられる(第3章参照)。

2-2. 果実の分類

分類内容例
仁果類花托(花の付け根)が発達して果肉になったもの。中心に芯があるりんご、なし、西洋なし、びわ、かりん
準仁果類子房が発達して果肉になったものかき、柑橘類(みかん、オレンジ、レモン、ゆず)
核果類中心にかたい核(種)があるもも、うめ、さくらんぼ、あんず、すもも
漿果類果肉がやわらかく、果汁が多いぶどう、いちじく、キウイフルーツ、ブルーベリー、いちご
堅果類かたい殻に包まれるくり、くるみ(成分表では種実類)
熱帯果実熱帯・亜熱帯で育つ果実バナナ、パイナップル、マンゴー、パパイヤ、アボカド

2-3. 果実の有機酸と色・香り

果実主な有機酸主な色素主な香り
柑橘類クエン酸カロテノイド(β-クリプトキサンチン)リモネン、シトラール
りんごリンゴ酸アントシアニン(皮)エステル類
ぶどう酒石酸、リンゴ酸アントシアニン(皮)アントラニル酸メチル
いちごクエン酸アントシアニンエステル類、フラネオール
ももリンゴ酸、クエン酸カロテノイド・アントシアニンγ-ウンデカラクトン
うめクエン酸、リンゴ酸—ベンズアルデヒド
バナナリンゴ酸—酢酸イソアミル

2-4. 追熟

果実の中には、収穫したあとも熟成が進み、甘く、やわらかく、香りが強くなるものがある。これを追熟という。

追熟する果実は、熟す時期に呼吸量が急に増え、熟成を進める植物ホルモンであるエチレンを多く出す。このような果実をクライマクテリック型という。

型特徴例
クライマクテリック型(追熟する)熟す時期に呼吸とエチレンが急増する。収穫後も甘くやわらかくなるバナナ、西洋なし(洋なし)、キウイフルーツ、アボカド、メロン、もも、りんご、マンゴー、トマト
非クライマクテリック型(追熟しにくい)呼吸の急増がない。収穫後に甘さは増えない柑橘類、ぶどう、いちご、さくらんぼ、パイナップル

バナナは、緑色の未熟な状態で輸入され、国内でエチレンをあてて追熟させてから出荷される。追熟の間に、でんぷんが分解されて糖が増え、甘くなる。

りんごはエチレンを多く出すため、ほかの果実や野菜と一緒に保存すると、それらの熟成を早めることがある。逆に、未熟なキウイフルーツをりんごと一緒に袋に入れておくと、早く食べごろになる。

2-5. ペクチン

ペクチンは、植物の細胞と細胞をつなぐ多糖類で、果実の皮や芯、柑橘類の白いわた(アルベド)に多く含まれる。果実が熟すにつれて、ペクチンは次のように変化する。

時期ペクチンの状態果実のかたさ
未熟プロトペクチン(水に溶けない)かたい
成熟ペクチン(水に溶ける)適度にやわらかい。ゲル化しやすい
過熟ペクチン酸(分解が進む)やわらかすぎる。ゲル化しにくい

ペクチンは、条件がそろうとゲルをつくる。この性質を利用したものがジャムやマーマレードである。ペクチンは、その構造によって2種類に分けられ、固まる条件が異なる。

種類固まる条件(目安)用途
高メトキシルペクチン(HMペクチン)糖濃度約55〜65%以上、pH約3前後の酸性一般的なジャム、マーマレード、ゼリー
低メトキシルペクチン(LMペクチン)カルシウムなどの2価の金属イオンがあれば、糖が少なくても固まる低糖度ジャム、ミルクを使ったデザート

一般的なジャムがよく固まるためには、ペクチン・糖・酸の3つがそろうことが必要である。ペクチンや酸の少ない果実でジャムをつくるときは、ペクチンの多いりんごや柑橘の皮を加えたり、レモン果汁で酸を補ったりする。

2-6. たんぱく質分解酵素を含む果実

いくつかの果実は、たんぱく質を分解する酵素(プロテアーゼ)を含む。

果実酵素
パイナップルブロメライン
キウイフルーツアクチニジン
パパイヤパパイン
いちじくフィシン
メロンククミシン

これらの果実を生のままゼラチンのゼリーに入れると、酵素がゼラチン(たんぱく質)を分解するため、ゼリーが固まらない。また、牛乳や生クリーム、ヨーグルトと合わせて長く置くと、乳のたんぱく質が分解されて苦味が出ることがある。

対策として、果実を加熱して酵素を失活させるか、加熱処理された缶詰の果実を使う。または、たんぱく質ではない寒天(炭水化物)やカラギーナンを使えば、酵素の影響を受けない。

2-7. 柑橘類

成分・性質内容
ビタミンC多い。果汁にも果肉にも含まれる
β-クリプトキサンチン温州みかんの橙色のカロテノイド
ヘスペリジンみかんの白い筋や袋に多いフラボノイド。みかんの缶詰のシロップが白く濁る原因
ナリンギングレープフルーツ・夏みかんの苦味
リモネン皮の油胞に含まれる香りの成分
ペクチン白いわた(アルベド)と袋に多い。マーマレードがよく固まる理由

みかんの缶詰では、果肉の袋(じょうのう膜)を、薄い酸とアルカリの液に順に通して溶かして除いている。

2-8. 果実の加工品

加工品内容
ジャム類果実を砂糖と煮詰め、ペクチンのゲル化を利用したもの。ジャム(果肉)、マーマレード(柑橘類の皮を含む)、ゼリー(果汁だけ)、プレザーブスタイル(果実の形を残す)
果汁ストレート果汁、濃縮還元果汁
ドライフルーツ果実を乾燥させたもの。糖が濃縮され、水分活性が低い(第2章参照)
缶詰・びん詰・コンポート果実をシロップで煮て密封・殺菌したもの
砂糖漬け(コンフィ)果実や皮を濃いシロップに漬け、糖を浸透させたもの
冷凍果実、果実ピューレ製菓で広く使われる
果実酒・リキュール第11章参照

果実の自給率は低く、カロリーベースの品目別自給率は約28%(令和7年度)である(第14章参照)。

3. きのこ類

3-1. きのこ類の特徴

きのこは、植物ではなく菌類(かびや酵母の仲間)が、胞子をつくるためにつくった子実体である。

成分特徴
水分約90%と多い
エネルギー非常に低い
食物繊維多い。β-グルカン、キチン(細胞壁の成分)
ビタミンビタミンB群、ビタミンD(プロビタミンD₂であるエルゴステロールを含む)
糖トレハロース、糖アルコール(マンニトール)
うま味グアニル酸、グルタミン酸

3-2. きのこの成分の特徴

ビタミンD:きのこには、ビタミンDのもとになるエルゴステロールが含まれ、紫外線を当てるとビタミンD₂に変わる。干ししいたけを天日に干すと、ビタミンDが増える。

うま味:干ししいたけのうま味成分グアニル酸は、生のしいたけにはほとんど含まれず、干したしいたけを水で戻して加熱する過程で、しいたけ自身の酵素の働きによってつくられる。干ししいたけは、低温の水でゆっくり戻すと、うま味が引き出されやすいといわれる。

香り:干ししいたけの独特の香りはレンチオニン、まつたけの香りはマツタケオールとケイ皮酸メチルによる(第4章参照)。

毒きのこ:ツキヨタケ、クサウラベニタケ、カキシメジなどの毒きのこは、食用のきのこと間違えて食べられ、食中毒を起こすことがある。野生のきのこは、確実に見分けられないものは食べない(食品衛生学の本(準備中)参照)。

4. 藻類

4-1. 藻類の分類

藻類は、海や川で育つ光合成を行う生物で、色素の違いによって分けられる。

分類主な色素例
緑藻類クロロフィルあおのり、あおさ、ひとえぐさ
褐藻類クロロフィル+フコキサンチン(褐色のカロテノイド)こんぶ、わかめ、ひじき、もずく
紅藻類クロロフィル+フィコエリトリン(赤)あまのり(のり)、てんぐさ、おごのり、ふのり、すぎのり

4-2. 藻類の成分

成分特徴
炭水化物主に人が消化できない多糖類(食物繊維)。褐藻はアルギン酸・フコイダン、紅藻は寒天・カラギーナン
ミネラルヨウ素が特に多い(こんぶ)。カルシウム、カリウム、鉄、マグネシウム
たんぱく質干しのりは約40%と多い
ビタミンカロテン(のり、わかめ)、ビタミンB群
うま味こんぶのグルタミン酸

4-3. 主な藻類

藻類特徴
こんぶうま味のグルタミン酸が多い。表面の白い粉は糖アルコールのマンニトールで、うま味・甘味のもとなので洗い流さない。ぬめりはアルギン酸など
わかめアルギン酸、フコイダン。生のわかめは褐色で、湯通しすると、熱に弱いたんぱく質と結合した色素が変化し、鮮やかな緑色になる
ひじき食物繊維とカルシウムが多い
のり紅藻のあまのり類を薄くすいて乾燥させたもの。たんぱく質・カロテンが多い。あぶると緑色になる(第4章参照)
てんぐさ・おごのり寒天の原料
すぎのり・つのまたカラギーナンの原料

ひじきの鉄:ひじきは、かつては鉄の多い食品として知られていた。しかし、日本食品標準成分表2015年版(七訂)から、製造に使う釜の種類によって値が分けられ、ステンレス釜でつくったほしひじきの鉄は、鉄釜でつくったものの約10分の1であることが示された。ひじきの鉄の多くは、ひじき自体ではなく、鉄釜から溶け出したものだったのである。現在流通しているひじきの多くはステンレス釜でつくられている。

4-4. 藻類からとれる多糖類

藻類の多糖類は、水と加熱すると溶け、冷やすとゲルになる性質を持ち、食品や菓子のゲル化剤として広く使われる。

多糖類原料性質用途
寒天てんぐさ・おごのり(紅藻)アガロース(固まる力が強い)とアガロペクチンからなる。常温で固まり、溶けにくい羊羹、水羊羹、錦玉、あんみつ、ところてん
カラギーナンすぎのり・つのまた(紅藻)透明感があり、弾力のあるゲル。牛乳のたんぱく質と反応してゲルを強くするゼリー、プリン、乳製品
アルギン酸(アルギン酸ナトリウム)こんぶ・わかめ(褐藻)カルシウムと反応して瞬時にゲルになる人工いくら、増粘剤

寒天は、てんぐさを煮出して得た液を固め(ところてん)、それを凍結と解凍を繰り返して乾燥させたもの(角寒天・糸寒天)や、工業的に乾燥させて粉末にしたもの(粉寒天)がある。

4-5. ゲル化剤の比較

菓子づくりでよく使うゲル化剤を比較する。

項目寒天ゼラチンカラギーナン
原料紅藻(てんぐさ・おごのり)動物の皮・骨(コラーゲン)紅藻(すぎのり・つのまた)
主成分炭水化物(多糖類)たんぱく質炭水化物(多糖類)
溶かす温度沸騰させて溶かす(約90℃以上)約40〜60℃(沸騰させない)約70〜80℃以上
固まる温度(目安)約30〜40℃(常温で固まる)約10〜20℃以下(冷蔵が必要)約30〜50℃(常温で固まる)
溶ける温度(目安)約70℃以上(常温で溶けない)約25℃前後(口の中で溶ける)約60℃前後
食感かたく、歯切れがよい。透明度はやや低いやわらかく弾力があり、口どけがよい弾力があり、透明度が高い
酸の影響酸と加熱すると固まりにくい強い酸で固まりにくい酸と加熱すると固まりにくい
生の果実の酵素影響を受けないプロテアーゼで分解され固まらない影響を受けない
菓子の例羊羹、水羊羹、錦玉、あんみつゼリー、ババロア、ムース、マシュマロゼリー、ミルクプリン

寒天は、溶ける温度と固まる温度の差が大きいため、常温で形を保つ菓子(羊羹)や、夏の和菓子に向いている。ゼラチンは、体温で溶けるため、口どけのよいムースやババロアに向いている。ゲル化剤の詳しい扱い方は、製菓理論の本で扱う。

5. 製菓とのつながり

5-1. 果実の個性を生かす

果実は、色(アントシアニン・カロテノイド)、香り(エステル・テルペン)、酸味(クエン酸・リンゴ酸)、甘味(果糖)、そしてゲル化の力(ペクチン)を併せ持つ。いちごのムースにレモン果汁を加えると、色が鮮やかになり、香りと酸味が引き締まる。りんごや柑橘の皮のペクチンを利用すれば、ジャムやパート・ド・フリュイがしっかり固まる。

5-2. 追熟と食べごろ

バナナ、洋なし、キウイフルーツ、マンゴー、ももなどは、追熟によって香りと甘さが増す。タルトやコンポートに使う果実は、熟度によって仕上がりが変わる。追熟しないいちご、ぶどう、柑橘類は、収穫後に甘くならないため、仕入れの時点で熟度を見きわめることが大切である。

5-3. 果物とゼリーの相性

生のパイナップル、キウイフルーツ、パパイヤ、いちじく、メロンをゼラチンで固めると、ゼリーが固まらない。これらの果物を使うときは、加熱したものや缶詰を使うか、寒天やカラギーナンを使う。また、これらの果物を生クリームやヨーグルトと合わせたまま長く置くと、苦味が出ることがある。フルーツサンドやパフェでは、組み合わせてから食べるまでの時間にも注意する。

5-4. 野菜の菓子

かぼちゃのプリン、にんじんのケーキ、さつまいもや栗の和菓子、ほうれんそうや抹茶を使った緑の生地など、野菜を使った菓子も多い。野菜の色素(カロテン、クロロフィル)は、熱・光・酸・アルカリで色が変わるため(第4章参照)、生地の配合や焼成の条件で仕上がりの色が変わる。

5-5. 寒天の菓子

羊羹、水羊羹、錦玉、琥珀糖、あんみつは、寒天のゲルの性質を生かした和菓子である。寒天は常温で固まり、溶けにくいため、夏でも形を保てる。水羊羹のようにやわらかい菓子では、寒天の量を減らすため、時間がたつと離水しやすい。

試験対策:よくある間違いポイント

試験に出る文です。正しい文(○)と間違った文(×)がまざっています。選んでから答えを確かめてください。

Q1ステンレス釜でつくったほしひじきの鉄は、鉄釜でつくったものより大幅に少ない

この文のとおりです。(成分表2015年版から釜の種類で値を分けている)⚠️ 古い教材では「ひじきは鉄が非常に多い」とだけ書かれていることがある。

Q2寒天ゲルは常温で溶けにくく、ゼラチンゲルは体温に近い温度で溶ける

この文のとおりです。

Q3寒天は、てんぐさやおごのりなどの紅藻類からつくられ、主成分はアガロースとアガロペクチンである

この文のとおりです。

Q4干ししいたけの主なうま味成分はイノシン酸である

正しくは:干ししいたけはグアニル酸

Q5生のパイナップルを加えたゼラチンゼリーが固まらないのは、パイナップルの酸がゼラチンを分解するためである

正しくは:たんぱく質分解酵素ブロメラインがゼラチンを分解するため

Q6果実が熟すにつれて、水に溶けるペクチンが、水に溶けないプロトペクチンに変わる

正しくは:逆。未熟な果実のプロトペクチンが、熟すとペクチンに変わる

Q7りんごはエチレンを多く出すため、ほかの果実の熟成を早めることがある

この文のとおりです。

Q8寒天とゼラチンは、どちらもたんぱく質である

正しくは:寒天は炭水化物(多糖類)、ゼラチンはたんぱく質

Q9きのこに含まれるエルゴステロールは、紫外線によってビタミンD₂に変わる

この文のとおりです。

Q10一般的なジャムがゲル化するには、ペクチンと糖があればよく、酸は不要である

正しくは:高メトキシルペクチンのゲル化にはペクチン・糖・酸の3つが必要

Q11野菜類は水分が多く、カロテン・ビタミンC・カリウム・食物繊維の供給源となる

この文のとおりです。

Q12バナナ、西洋なし、キウイフルーツは、収穫後に追熟する果実である

この文のとおりです。(クライマクテリック型)

Q13柑橘類やぶどうは、収穫後に追熟して甘くなる

正しくは:柑橘類・ぶどう・いちごは追熟しにくい(非クライマクテリック型)

Q14きのこ類は、植物性食品に分類される

正しくは:きのこは植物ではなく菌類

Q15低メトキシルペクチンは、糖濃度60%以上でなければゲル化しない

正しくは:低メトキシルペクチンはカルシウムなどの2価イオンでゲル化し、糖が少なくても固まる

Q16緑黄色野菜とは、可食部100gあたりカロテンを100μg以上含む野菜である

正しくは:基準は600μg以上

Q17生のパイナップルで寒天ゼリーをつくると、酵素のため固まらない

正しくは:寒天は炭水化物なので、プロテアーゼの影響を受けない

Q18高メトキシルペクチンは、糖濃度約55〜65%以上、pH約3前後でゲル化する

この文のとおりです。

Q19だいこんには、でんぷんを分解するアミラーゼ(ジアスターゼ)が含まれる

この文のとおりです。

Q20ももやうめは、仁果類に分類される

正しくは:もも・うめは核果類

Q21トマトやピーマンは、カロテンが600μg未満なので淡色野菜である

正しくは:トマト・ピーマンは食べる量や回数が多いため緑黄色野菜に含める

Q22りんごは、核果類に分類される

正しくは:りんごは仁果類。核果類はもも・うめ・さくらんぼなど

Q23パパイヤにはパパイン、いちじくにはフィシンというたんぱく質分解酵素が含まれる

この文のとおりです。

Q24たけのこのえぐ味の成分はシュウ酸カルシウムである

正しくは:たけのこのえぐ味はホモゲンチジン酸

Q25キウイフルーツに含まれるたんぱく質分解酵素はパパインである

正しくは:キウイフルーツはアクチニジン。パパインはパパイヤ

Q26寒天は、こんぶやわかめなどの褐藻類からつくられる

正しくは:寒天はてんぐさ・おごのりなどの紅藻類からつくられる

Q27こんぶの表面の白い粉はカビなので、よく洗い落とす

正しくは:白い粉はマンニトールで、うま味・甘味のもと
結果:

まとめ

野菜類は水分が約90%以上で、カロテン・ビタミンC・カリウム・食物繊維の供給源である。食べる部分によって葉菜類・茎菜類・根菜類・果菜類・花菜類に分けられる。緑黄色野菜は原則としてカロテン600μg以上の野菜で、トマト・ピーマンも含まれる。ほうれんそうのシュウ酸、たけのこのホモゲンチジン酸、だいこんのアミラーゼ、トマトのリコピンとグルタミン酸が特徴的である。

果実類は、果糖・ブドウ糖・ショ糖、有機酸、ビタミンC、ペクチンを含む。仁果類(りんご)、準仁果類(かき・柑橘)、核果類(もも・うめ)、漿果類(ぶどう)などに分けられる。バナナ・西洋なし・キウイフルーツなどはエチレンによって追熟するが、柑橘類・ぶどう・いちごは追熟しにくい。ペクチンは、未熟なプロトペクチンから熟したペクチンに変わり、高メトキシルペクチンは糖と酸で、低メトキシルペクチンはカルシウムでゲル化する。パイナップル(ブロメライン)、キウイフルーツ(アクチニジン)、パパイヤ(パパイン)、いちじく(フィシン)は、ゼラチンを分解して固まらなくする。

きのこ類は菌類で、食物繊維が多く、エルゴステロールが紫外線でビタミンD₂になる。干ししいたけのうま味はグアニル酸である。

藻類は緑藻・褐藻・紅藻に分けられ、ヨウ素などのミネラルと食物繊維が多い。寒天は紅藻(てんぐさ・おごのり)からつくられる炭水化物で、常温で固まり溶けにくい。ゼラチン(たんぱく質)と性質を比べて使い分けることが、菓子づくりでは重要である。

次章では、動物性食品の肉類・魚介類・卵類を学ぶ。

※ 本書は、日本食品標準成分表(八訂)増補2023年、令和7年度の食料自給率(令和8年8月公表)、令和8年4月施行の改正食品表示基準にもとづいています。

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