お菓子の歴史 第17章:年表と人物

第17章

お菓子の歴史 巻末

年表と人物

時代:約1万4400年前〜現在(全時代のまとめ)

はじめに

約1万4400年前、狩猟採集民が野生の穀物で焼いた、平たいパン。岩壁に描かれた、蜂蜜を採る人の姿。そこから始まったお菓子の旅は、修道院の薄焼き菓子、大航海時代のカカオと砂糖、ハプスブルク家のウィーン菓子、カレームの砂糖の建築、産業革命のチョコレートへと続いた。

日本では、木の実や果物を「菓子」と呼んだ時代から、唐菓子、茶の湯の点心、南蛮菓子、江戸の上菓子、明治のあんぱん、そして現代のスイーツへと、外から来たものを受け入れ、自分たちの形に変えながら、独自のお菓子の文化を育ててきた。

この最後の章は、この本の「巻末」である。これまでの16章で学んだことを、年表と人物、そして伝説と史実の早見表で振り返る。知りたいことがあるときに、ここから各章へ戻るための「索引」として使ってほしい。

1. この本の地図

部章章の名前主な時代
第一部 甘さとパンのはじまり第1章甘味の起源約8000年前〜15世紀
第一部 甘さとパンのはじまり第2章パンの起源約1万4400年前〜5世紀
第一部 甘さとパンのはじまり第3章中世ヨーロッパの菓子5世紀〜15世紀
第二部 ヨーロッパの菓子の物語第4章大航海時代と砂糖・カカオ約5400年前〜19世紀
第二部 ヨーロッパの菓子の物語第5章イタリアからフランス宮廷へ16世紀〜18世紀
第二部 ヨーロッパの菓子の物語第6章ハプスブルク家とウィーン菓子13世紀〜20世紀
第二部 ヨーロッパの菓子の物語第7章カレームと近代フランス菓子18世紀〜19世紀
第二部 ヨーロッパの菓子の物語第8章産業革命とチョコレート19世紀
第二部 ヨーロッパの菓子の物語第9章20世紀の洋菓子20世紀〜21世紀
第三部 日本の菓子の物語第10章菓祖神と唐菓子縄文時代〜平安時代
第三部 日本の菓子の物語第11章茶の湯と点心平安時代初め〜安土桃山時代
第三部 日本の菓子の物語第12章南蛮菓子戦国時代〜江戸時代初め
第三部 日本の菓子の物語第13章江戸の菓子江戸時代
第三部 日本の菓子の物語第14章明治の洋菓子とパン幕末〜大正時代
第三部 日本の菓子の物語第15章昭和から現代へ昭和時代〜現在
第四部 行事と菓子第16章世界と日本の行事の菓子古代〜現代
巻末第17章年表と人物全時代

2. 総合年表

世界と日本のできごとを並べて見ると、同じ時代に、それぞれの場所で何が起きていたかがわかる。( )の数字は、くわしく学べる章である。

2-1. 古代〜中世

年世界日本
約1万4400年前ヨルダンで最古の平焼きパン(2)
約8000年前スペインの洞窟に蜂蜜を採る人の絵(1)
縄文時代木の実の粉を焼いた「縄文クッキー」(10)
約5400年前エクアドルでカカオの利用(4)
古代エジプト発酵パンとビール、宮廷のパン工房(2)
紀元前4世紀ネアルコスが「蜂がいなくても蜜を生む葦」を伝える(1)
紀元前2世紀ローマに職業のパン屋が現れる(2)
350年ごろインドで結晶の砂糖(1)
6世紀まで製糖の技術がペルシャへ(1)
630〜894年遣唐使。唐菓子が伝わる(10)
753年鑑真が日本に到着(10)
756年正倉院『種々薬帳』に「蔗糖」(10)
815年永忠が嵯峨天皇にお茶を差し上げる(11)
970年『口遊』に八種唐菓子(10)
10世紀末〜11世紀初め『枕草子』の削り氷、『源氏物語』の椿餅(10)
11〜13世紀十字軍。ヴェネツィアが砂糖の取り引きの中心に(1)
1191年栄西が宋から帰国(11)
1214年栄西が源実朝にお茶をすすめる(11)
1227年三日月形のパン(キプフェル)が詩に登場(6)
1241年円爾が宋から帰国(11)
1270年パリのウーブリ職人の組合の規約(3)
1349年林浄因が来日したとされる(11)
1425年マデイラ島にサトウキビ(1・4)
1474年ドレスデンでシュトーレンの記録(6・16)
1490〜1491年教皇の「バター勅書」(6・16)
1493年コロンブスがイスパニョーラ島にサトウキビ(4)

2-2. 16世紀〜18世紀

年世界日本
1519年コルテスがモクテスマ2世に会う(4)
1533年カトリーヌ・ド・メディシスがフランス王子と結婚(5)
1543年ポルトガル人が種子島に来航(12)
1544年ケクチ・マヤの貴族がスペインの王子にカカオを献上(4)
1552年ラブレーの作品に「マカロン」(5)
1569年フロイスが織田信長に金平糖を献上(12)
16世紀後半千利休が茶の湯を大成(11)
1599年パヴィアの帳簿にパネトーネの記録(16)
1624年長崎の福砂屋が創業(12)
1639年ポルトガル船の来航禁止(12)
1651年ラ・ヴァレンヌ『フランスの料理人』(5)
1650年代後半伏見で寒天が見つかったとされる(13)
1657年ロンドンでチョコレートの広告(4)
1683年オスマン帝国のウィーン包囲(6)江戸の桔梗屋が172種の菓子目録(13)
1685年ウィーン最初のカフェ(6)
1686年パリのカフェ・プロコープ(5)
1717年長命寺の桜餅(13)
1718年『御前菓子秘伝抄』(13)
1730年ストレールがパリに菓子店を開く(7)
1747年マルクグラーフがビートから砂糖を取り出す(7)
1753年リンネがカカオを「テオブロマ」と命名(4)
1755年「シャンティイ」の名がクリームに(5)
1773年大名の日記に「ねりやうかん」(13)
1786年ウィーンのデメルの前身が創業(6)
1789年フランス革命(7)
1791年フランスでギルドが廃止される(7)
1799年讃岐の向山周慶が白い砂糖に成功したとされる(13)

2-3. 19世紀

年世界日本
1801年アシャールが最初のテンサイ糖工場を開く(7)
1815年カレーム『パリの王室製菓人』(7)
1825年ブリア=サヴァラン『美味礼讃』(7)
1828年ファン・ハウテンのココアの圧搾機(8)
1838〜1839年ザングがパリに「ウィーン風パン屋」を開く(6)
1842年江川太郎左衛門が兵糧パンを焼く(14)
1847年フライ社の板チョコ(8)
1869年町田房蔵のあいすくりん、木村安兵衛の文英堂(14)
1873年宮中晩餐会がフランス料理に(14)
1874年木村屋の酒種あんぱん(14)
1875〜1876年ごろペーターのミルクチョコレート(8)1875年、明治天皇に桜あんぱんを献上(14)
1876年ホテル・ザッハー開業(6)
1879年リンツのコンチング(8)
1880年テンサイ糖が世界の砂糖の半分を超える(7)
1890年ラカンの本にビュッシュ・ド・ノエルのレシピ(16)
1899年森永太一郎が2坪の工場を開く(14)

2-4. 20世紀〜現在

年世界日本
1904年中村屋のクリームパン(14)
1910年不二家が横浜で創業(14)
1919年モッタがドーム形のパネトーネ(16)ユーハイムが広島でバウムクーヘン(14)
1922年グリコ発売、不二家のショートケーキ(ごろ)(14)
1924年第1回MOFコンクール(9)コロンバン開店(14)
1927年シフォンケーキが考案される(9)
1940年砂糖が配給制に(15)
1947年ルノートルが店を開く(9)学校給食が本格的に再開(15)
1952年砂糖の統制がなくなる(15)
1955年ダロワイヨでオペラが生まれたとされる(9)
1959年度技能検定の制度が始まる(15)
1966年製菓衛生師法(7月4日)(15)
1971年ルノートルがプロのための学校を開く(9)
1979年6月16日が「和菓子の日」に(16)
1989年第1回クープ・デュ・モンド(9)
1991年クープ・デュ・モンドで日本が初優勝(9)
1998年ピエール・エルメが東京に第1号店(9)
2009年コンビニスイーツの大ヒット(15)
2020年度「シュガーロード」が日本遺産に(12)
2021年HACCPに沿った衛生管理が原則として義務化(15)
2023年・2025年クープ・デュ・モンドで日本が2大会連続優勝(9)

3. 人物事典

この本に登場した主な人物を、五十音順に並べた。( )の数字は、登場する章である。

3-1. 世界の人物

人物時代ひとことで章
アシャール18〜19世紀最初のテンサイ糖工場を開いた7
アンジェロ・モッタ20世紀背の高いドーム形のパネトーネを広めた16
アントナン・カレーム1783または1784〜1833年砂糖の建築ピエス・モンテを復活・体系化した7
アンナ・パブロワ20世紀パブロバの名の由来になったバレリーナ9
ヴァテール17世紀シャンティイ城の宴会の責任者5
オーギュスト・ザング19世紀パリに「ウィーン風パン屋」を開いた6
ガストン・ルノートル1920〜2009年軽く甘さひかえめのフランス菓子を広めた9
カトリーヌ・ド・メディシス16世紀フランス王妃。多くの菓子伝説の主人公5
カール・ユーハイム20世紀日本で初めてバウムクーヘンを焼いたとされる14
コルテス16世紀アステカでカカオに出会ったスペインの征服者4
コロンブス15〜16世紀新大陸にサトウキビを運び、カカオ豆を見た1・4
ダニエル・ペーター19世紀練乳を使ってミルクチョコレートをつくった8
ニコラ・ストレール18世紀パリ最古の菓子店を開いた7
ネアルコス紀元前4世紀「蜂がいなくても蜜を生む葦」を伝えた1
ハリー・ベイカー20世紀シフォンケーキを考案した9
ピエール・エルメ1961年〜「パティスリー界のピカソ」と呼ばれる9
ピエール・ラカン19世紀ビュッシュ・ド・ノエルのレシピを本に記した16
ファン・ハウテン19世紀ココアの圧搾機を発明した8
ブリア=サヴァラン1755〜1826年『美味礼讃』を書いた美食家7
フランツ・ザッハー19世紀ザッハートルテの考案者と伝えられる6
マリア・テレジア18世紀ハプスブルク家の女帝6
マリー・アントワネット1755〜1793年フランス王妃。多くの菓子伝説の主人公6
マルクグラーフ18世紀ビートから砂糖を取り出した7
ミルトン・ハーシー19〜20世紀アメリカのチョコレート王8
ラ・ヴァレンヌ17世紀『フランスの料理人』を書いた5
ルイ9世13世紀フランス王。その時代にパリのウーブリ職人の組合の規約が定められた3
ロドルフ・リンツ19世紀コンチングでなめらかなチョコレートをつくった8

3-2. 日本の人物

人物時代ひとことで章
江川太郎左衛門江戸時代後期兵糧パンを焼いた「パン祖」14
永忠平安時代嵯峨天皇にお茶を差し上げた僧11
栄西1141〜1215年『喫茶養生記』を書き、お茶の習慣を広めた11
円爾鎌倉時代酒饅頭を伝えたという話が残る禅僧11
織田信長戦国時代フロイスから金平糖を贈られた12
門倉國輝大正〜昭和コロンバンを開いた洋菓子職人14
鑑真奈良時代渡航の積荷に砂糖があったとされる高僧10
木村安兵衛明治時代あんぱんを生んだ木村屋の創業者14
清少納言平安時代『枕草子』に甘葛のかき氷を書いた10
千利休1522〜1591年茶の湯を大成した11
田道間守伝説の時代非時香菓(橘)を持ち帰った菓祖神10
徳川吉宗江戸時代中期サトウキビの栽培を奨励した将軍13
林浄因南北朝時代小豆あんの饅頭を伝えた菓祖神11
フロイス戦国時代信長に金平糖を贈った宣教師12
町田房蔵明治時代横浜で「あいすくりん」を売り出した14
美濃屋太郎左衛門江戸時代前期寒天を見つけたと伝わる伏見の宿の主人13
向山周慶江戸時代後期讃岐で白い砂糖づくりに成功したとされる13
森永太一郎明治〜昭和2坪の工場から森永製菓を築いた14
山本新六江戸時代中期長命寺の桜餅を売り出した13
米津松造明治時代米津凮月堂を開き、西洋菓子をつくった14

4. 伝説と史実 早見表

この本では、各章の「伝説と史実」で、よく語られる話と、確かな記録からわかることを比べてきた。その中から、代表的なものを章ごとにまとめた。

章よく語られる話史実からわかること
1アレクサンドロス大王がサトウキビをヨーロッパに持ち帰った提督ネアルコスが「蜜を生む葦」を伝えた記録がある
1十字軍が砂糖をヨーロッパに初めて伝えたそれ以前から、アラブの広がりとともにシチリアやスペインへ伝わっていた
2人類は農耕を始めてからパンを焼くようになった最古のパンは、農耕より少なくとも4000年前の狩猟採集民のもの
2古代ローマにウーブリやドラジェがあったどれも中世以降のフランス語の名前
3プレッツェルは610年に修道士がつくった伝説。確かな絵は12世紀の写本
4コルテスが1528年にカカオをスペインに持ち帰った記録に残る最初は1544年の献上
4チョコレートは最初から甘いお菓子だったもとは苦い飲み物だった
5カトリーヌ・ド・メディシスがシャーベットやマカロンを伝えた18〜19世紀に作られた話とされる
5ヴァテールがクレーム・シャンティイを発明した「シャンティイ」の名は1755年から
6マリー・アントワネットが「お菓子を食べればいい」と言ったルソーが書いた話で、当時の彼女は子ども
6クロワッサンは1683年のウィーン包囲で生まれた三日月形のパンは13世紀から。層の生地は20世紀
7カレームがピエス・モンテを考案した昔からあった技術を復活させ、体系化した
7ナポレオンがテンサイ糖を発明したマルクグラーフとアシャールの仕事を、ナポレオンが奨励した
8フライ社が世界で初めて板チョコをつくったそれより前にカイエやムニエがつくっている
9オペラはルノートルが考えたダロワイヨのガヴィヨン説もあり、元祖ははっきりしない
9パブロバは1935年にオーストラリアで生まれたニュージーランドで1928〜1929年にレシピの記録
10鑑真が日本に砂糖を伝えた砂糖を積んだのは失敗した渡航。確実なのは756年の正倉院の記録
10煎餅は空海が唐から伝えた奈良時代の文書にすでに「煎餅」がある
11日本で初めてお茶を伝えたのは栄西815年に永忠の記録がある
11羊羹には昔から小豆が使われていたもとは中国の羊の肉の汁物
12カステラの名は「城のように泡立てる」からカスティーリャ王国にちなむ説が有力
12カステラはポルトガルの菓子がそのまま伝わった四角い木枠や水飴などは日本の工夫
13練羊羹は1807年に喜太郎が考えた1773年の日記にすでに「ねりやうかん」
131683年に幕府の記録で菓子と水菓子が区別されたそうした記録は確認できない
14宮中の晩餐会は1870年にフランス式になった確認できるのは1873年
14ショートケーキは1910年に不二家がつくった1910年は創業。ショートケーキは1922年ごろ
15技能検定は1975年に始まった1959年度に始まった
15戦後すぐに砂糖が自由に手に入った統制がなくなったのは1952年
16嘉祥は848年に始まった伝承。確かなのは室町時代の武家の行事と江戸城の嘉祥頂戴
16菱餅は昔から桃色・白・緑だった江戸時代は緑・白・緑が多かった

5. この本の学び方

5-1. 三つの見方

この本を読み終えたら、次の三つの見方で、もう一度お菓子の歴史を振り返ってみてほしい。

見方問いかけ関係の深い章
材料の旅砂糖、カカオ、小麦、卵は、どこから来て、どう広まったか1・2・4・8・12・13
人と社会宗教、戦争、革命、貿易は、お菓子をどう変えたか3・5・6・7・11・15
技術と科学発酵、泡立て、結晶、冷凍は、どんなお菓子を生んだか2・8・9・12・13・14

5-2. 歴史を学ぶ意味

お菓子の歴史を学ぶと、目の前のひとつのお菓子の向こうに、何百年、何千年という人々の営みが見えてくる。カステラの泡立て、羊羹の練り、パンの発酵。今、私たちが実習で身につけている技術の一つひとつは、名前も残らなかった無数の職人たちが、失敗と工夫を重ねて受け継いできたものである。

また、「伝説と史実」を見分ける力は、菓子を売る仕事にも役立つ。お客様にお菓子の由来を伝えるとき、楽しい伝説は伝説として、確かな歴史は歴史として伝えることが、信頼につながる。

伝説と史実

よく語られるお話と、確かな記録からわかることを比べてみましょう。カードをタップすると、史実がめくれます。

🔮 よく語られる話「お菓子の名前の由来は、どれも有名人のエピソードから決まっている」
📜 史実では有名人にちなむ話の多くは、あとからつくられた伝説である。マリー・アントワネット、カトリーヌ・ド・メディシス、ナポレオンなどは、菓子伝説の「常連」として知られる。
🔮 よく語られる話「歴史の古いお菓子ほど、昔から今と同じ形だった」
📜 史実ではクロワッサンの層の生地は20世紀、菱餅の三色は江戸時代より後、カステラの水飴は日本での工夫。多くのお菓子は、時代とともに形を変えてきた。
🔮 よく語られる話「砂糖は、昔からお菓子の材料だった」
📜 史実では中世のヨーロッパでも、奈良時代の日本でも、砂糖はまず「薬」として扱われた。お菓子の材料として広く使われるのは、ずっと後のことである。
🔮 よく語られる話「日本の洋菓子は、ヨーロッパの菓子をそのまま輸入したもの」
📜 史実ではあんぱん、日本のショートケーキ、カステラのように、日本の職人は外から来た菓子を工夫して、独自の菓子を生み出してきた。
🔮 よく語られる話「元祖がはっきりしているお菓子のほうが多い」
📜 史実ではオペラ、ティラミス、パブロバ、パリ・ブレスト、黒い森のケーキなど、20世紀生まれの菓子でさえ、元祖をめぐる論争がある。

製菓とのつながり

歴史が教えてくれる技術の意味

この本で学んだ歴史は、製菓の技術を学ぶうえでも大きな助けになる。

技術歴史の中での始まり関係の深い章
発酵古代エジプトの発酵パン、酒種のあんぱん2・14
卵の泡立て南蛮菓子のカステラ、スポンジ生地12・14
砂糖の煮詰めアラブのシロップ、有平糖、カラメル1・12
砂糖の結晶金平糖、ドラジェ、和三盆3・12・13
チョコレートのテンパリング産業革命期の発明と20世紀の科学8
冷却・冷凍氷室とかき氷、氷菓、急速冷凍5・9・10
寒天・ゲル化寒天の発見と練羊羹13

衛生の歴史

食べ物の安全を守る仕組みも、長い歴史の中でつくられてきた。中世のギルドの品質検査、戦後の人工甘味料の問題、1966年の製菓衛生師法、そして現代のHACCP。おいしいお菓子をつくることと、安全なお菓子をつくることは、いつの時代も、菓子職人にとってひとつのことであった。衛生の決まりについては、衛生法規や食品衛生学の本で詳しく学ぶことができる。

まとめ

お菓子の歴史は、約1万4400年前の平焼きパンと、野生の蜂蜜から始まった。

第一部では、甘味とパンの起源、中世ヨーロッパの修道院とギルドの菓子を学んだ。第二部では、大航海時代の砂糖とカカオ、イタリアからフランスへの菓子の流れ、ハプスブルク家とウィーン菓子、カレームと近代フランス菓子、産業革命のチョコレート、そして20世紀の洋菓子を学んだ。第三部では、菓祖神と唐菓子、茶の湯と点心、南蛮菓子、江戸の菓子、明治の洋菓子とパン、そして昭和から現代へと続く日本の菓子の物語を学んだ。第四部では、世界と日本の行事の菓子を学んだ。

その中で何度も出会ったのは、「砂糖はまず薬だった」こと、「有名人の伝説の多くはあとからつくられた」こと、そして「お菓子は国境と時代を越えて、形を変えながら受け継がれてきた」ことである。

目の前のひとつのお菓子には、長い長い旅の物語がつまっている。この本が、お菓子をつくる人、学ぶ人、そして食べる人にとって、その物語に耳を傾けるきっかけとなれば幸いである。

※ 本ページは『sweets note. 図書館』のお菓子の歴史 第17章です。製菓衛生師養成課程の科目「社会」のうち、菓子の歴史と文化にあたる内容を扱っています。

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